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余談をゆるす


はじめに

2023年のMIMIGURIのAdvent calendar企画。今年は以下の6つのテーマでMIMIGURIメンバーが12/25まで毎日記事を公開していきます!
Co-CEOの安斎さんに始まり、今回の記事にも登場する臼井さんときて3番手でバトンを受け取りました。テーマは僕がMIMIGURIで本気でやっている「遊び」について書いてみようと思います。

自己紹介

MIMIGURIでは、コピーライターとしてブランディングや組織開発のプロジェクトで、ネーミングやコンセプトやパーパスなど言葉を作っています。

また、アナという音楽ユニットで2005年にソニーミュージックからデビューして、最近では、Lyrical Schoolというアイドルグループの楽曲を割と多く作っています。
今年はアナで、イラストレーターで漫画作家の北村みなみさんとコラボした「きっといつか 」という久々の新曲をリリースしました。

生産性はないが、きわめて生産的な時間

MIMIGURIには「MIMIGURI ch(ミミグリチャンネル)」というzoomを使った社内放送局があり、毎日のように社内のメンバーが何かしらの番組を配信しています。
これは、MIMIGURIのまさに遊び場だと思っています。
メンバーが企画して、番組のルールを作り、それぞれがその番組内での役割を演じる。非日常的で、社内コンテンツなのに無駄にみんな凝っていて、いわゆる生産性は低いけど、きわめて生産的でMIMIGURIにとって大きな価値を生んでいると思っています。

今年、そのチャンネル内で「余談をゆるすラジオ」という番組を始めました。
不確実性の高いプロジェクトや、カレンダーを埋めつくしていくタスク。
アジェンダ盛りだくさんのミーティングは、横道に逸れる隙もない。
そんな「予断も許さない」日々にこそ「余談」をゆるそうと言う番組です。

きっかけは、完全リモートで一日中一人で自宅勤務している自分が、日々の些細なエピソードや考えたことを誰かに話したかったからです。
1on1でも、チェックインでもなく無目的に。

そんな「遊び」で始めたラジオでしたが、最近、チームやプロジェクトの様々な場面で「もっと余談をゆるしていきたいなー」と思っています。

余談をゆるすこと

「探究」を大切にしているMIMIGURIでは、何かと深掘りがちです。
でも、「余談をゆるすラジオ」では以下のことを大切にしています。

  • 問いかけて深掘りするのではなく、ただ話してもらう/聞く

  • こんな話つまらないだろうなと自己検閲しないで、思い浮かんだ話を話す/聞いてもらう

  • ターンが誰かに偏らないようする

初回のゲストで番組に出てくれた臼井さんは、これを「互いの気分/ムードを混ぜあう」時間だったと言っていました。その場に集まった人の、互いのムードの色が混ざり、どちらかに染まるわけでもなく、色を持ち帰る。そんな時間。
臼井さんは、ファシリテーター/アートエデュケーターとして「異なるふたりが同じものを見ること」についてずっと向き合っている人です。

先日、彼が書いた☝️のnoteの記事には、こう書いてありました。

経験も感覚のあり方も嗜好性も異なる人同士が、同じものを見ようとするプロセスは美しい奇跡のようなものだと思っている。

感情経験記憶思考嗜好が入り混じった相手の景色を見ると同時に、自分の景色を見てもらう。これがこの文章でいう「同じものを見る」ということだ。

同じものを見ようとするプロセスで、その波長が重なり合い、会話ややり取りのリズムがグルーヴするなかで、心がほぐれ、ひらめきが浮かび、ことの進みが変わっていくことがあるのだ。

プロジェクトや仕事の中で、できるだけ余談を。僕が、そう思っているのはまさにこういうことでした。

チームやプロジェクトメンバーとは、必然的に同じ課題、同じサービスやプロダクト、同じ事業を見ることになる。
その時、共通の理論や互いのナレッジだけではない、もっと感覚的なもので信頼し合いたいと思う。
曖昧でぼんやりとしているけど、強く確かに僕らをつないでいるもの。そういう感覚やムードがチームを強くすると信じています。

ツアー帰りの深夜の高速。
長いレコーディングの束の間の休憩。
何を話したかは覚えていないけど、どれも忘れられない大切な時間。
それが、確実に作品や演奏に「良さ」として表現されています。
それは、音楽の現場でも、他のクリエイティブの現場でも、そしてブランドや事業や組織をつくる現場でも同じだと思うのです。

クリスマスの余談

ここでアドベントカレンダー企画なので、クリスマスの余談を。

暗い夜道はぴかぴかのお前の鼻が役に立つのさ

赤鼻のトナカイ

これは、クリスマスソングの赤鼻のトナカイの歌詞で、サンタのおじさんが言ったことです。

僕は長いこと、この部分を「暗いよ、道は。ピカピカのお前の鼻が役に立つのさ」だと思っていました。「暗い夜道は」だったことを、当時の恋人に教えられた時は衝撃的でした。

それまでイメージしていた「暗いよ、道は。」には、赤い鼻にコンプレックスを抱いていたトナカイに対して「暗い人生かもしれない。でも、その鼻が自分の人生を明るくする時があるかもしれない。今夜この道を照らすように」という、サンタのおじさんからの人生の肯定が含まれているイメージでした。

一方、「暗い夜道」に対して「ぴかぴかのお前の鼻が役に立つ」というのは、あまりにも直接的な課題解決で、なんだか道具としてのトナカイ鼻の機能性を褒めているように感じるのです。

作詞作曲家でもある僕としては、
「くーらーいーよー」の部分が4分音符で歌われているのも気になります。
仮に自分だったら「暗い夜道」という歌詞の場合、メロディーは「暗い」と「夜道」の間に休符を入れたくなるのです。

という余談を「余談をゆるすラジオ」でもしました。
その時、ゲストの臼井さんが言ったのは「暗いよ、道は。だとしたらサンタのおじさんから、トナカイへのクリスマスプレゼントですよねー」という、理論にも勝る最高の相槌でした。

最後に

MIMIGURIにいると日々難しい課題と向き合い、色んな知が開かれ、理論や問いに相変わらず、予断を許さぬ日々を送っています。
70名もいるメンバーの知や様々な理論は遊び道具と思えば、最高の遊び場です。チームやプロジェクトメンバーと、互いのムードを混ぜ合いながら、これからも本気で遊んでいきたいと思います。
たまに、余談と理論にも勝る相槌を挟みながら。

明日は、MIMIGURIの中でも一番同じ時間を過ごして、僕の余談を聞いてくれているコンサルタントの矢口さんです。お楽しみに!

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