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人間経済科学と賢人たちの教え その4

産業新潮
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
7月号連載記事


■その4 世界は「べき乗」の法則で動いている

●べき乗とは何か

 べき乗という言葉になじみが無くても、累乗という言葉は記憶の片隅にある方が多いかもしれない。どちらも似たようなものなのだが、微妙な違いがある。
 どちらも「aのn乗」という形で表現されるが、累乗の場合はnの値が日常使われる「1、2、3、4・・・・」などの自然数(正の整数)に限定されている。それに対してべき乗はnの値が実数全体(さらには複素数全体)にまで及ぶのだ。
 ちょっと頭の痛くなる話だが、この違いはこれからの話にさほど重要では無い。要するに、べき乗の方がより多くの範囲の現象を表現できるものだということを理解していれば問題ない。


●世の中の多くの出来事は二次曲線で表現される

 二次曲線も厳密に語れば色々なことがあるのだが、ホースで水を撒くときに描くような放物線が含まれるとだけ理解いただければ大丈夫だ。
 私が二次曲線を使って説明する代表例は「複利」である。投資の神様ウォーレン・E・バフェットの成功の核心にもこの「複利」があるし、ハンス・アルベルト・アインシュタインも「複利は人類が生み出した最高のアイディアだ」と絶賛している。

 例えば今100万円が手元にあるとする。この資金を15%の複利で運用したとしよう。三〇年後には6621万円になる。また、30%の運用であれば、30年後に26億2000万になる。
 複利というものがどれほどすごいのかがよくわかる事例だ。
 しかし今回注目いただきたいのは、15%での運用の場合10年後に405万円、20年後に1637万円、30%の場合には10年後に1379万円、20年後に1憶9005万円であることである。20年後から30年後の増大率が極めて大きいのである。


●人類の発展もべき乗である

 1800年頃の産業革命以降、人類の発展が猛スピードで加速していることはよく論じられる。それ以前の1万年間、あるいはさらにそれ以前の10万年間と比較すれば、どれほどの速さであるかがすぐにわかる。
 インターネットが普及し始めてからの20~30年間の間だけでも、その加速スピードを実感できるだろう。

 この人類の発展も前記のべき乗法則でかなりの部分が説明できる。
 要するに、人類の発展は複利のように考えるべきなのだ。

 人類を他の動物から区別するものに「知識・知恵・知性」があげられる。もちろん、チンパンジーも簡単な道具を枝から作って、巣穴のアリを捕まえたりするし、教えれば100個くらいの絵文字は理解できるようになる。
 しかし、人間の知恵はまったくステージが違うものだ。
 紙飛行機もジャンボジェット機も同じように空を飛ぶが同列に論じられることが無いように、チンパンジーの知恵と人間の知恵は全く違ったものとして区別されるべきである。


(続く)


続きは「産業新潮」
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
7月号をご参照ください。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。
★夕刊フジにて「バフェットの次を行く投資術」が連載されています。(毎週木曜日連載)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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