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有料メルマガライブラリから(518)「投資という戦闘を実行する兵士としての自分をいかに鍛えるか」

 有料メルマガ・石川臨太郎の「生涯パートナー銘柄の研究」の過去配信ライブラリ「銘柄研究」「コラム」のうち、コラムの一部を掲載いたします。
 自立した投資家、石川臨太郎のコンテンツをお楽しみ下さい。
 なお、内容は執筆当時の背景に基づいており、現在の状況と必ずしも一致しないことを予めご了承下さい。


=コラム「投資という戦闘を実行する兵士としての自分をいかに鍛えるか」=
 (有料メルマガ第64回・2010/3/16配信号)

※2010年3月現在の内容です。留意してお読み下さい。


【前略】


 2回前の62回目のコラムで、「有価証券報告書や決算短信の内容をよく読むことで、投資した企業や投資を検討している企業の将来の業績がある程度把握できる。また株価の無用な乱高下に付和雷同して、安値で持ち株を損切りする危険を乗り越えることが可能だ」ということを書きました。

 例として、過去の研究銘柄で取り上げた後に一番株価の下落率が大きかったトウアバルブグループ本社の例を取り上げました。原発というテーマ性があったこともあると思いますが、原稿を書いた2月26日時点の株価1902円からメルマガ配信日の3月2日の終値1933円までは、それほど株価は上昇しませんでしたが、そこからは右肩上がりで、この原稿を書いている3月12日の終値は2210円となりました。これからの更なる株価の上昇に期待したいと思います。


 本日は四半期ごとの有価証券報告書もチェックしておいたほうが良いという事例をご紹介しようと思います。

 私も四半期ごとに発表される決算短信は良く読むようにしています。しかし四半期ごとの有価証券報告書までチェックすることは、まずありませんでした。ところが、最近新しい研究銘柄の対象として電業社を検討していて、四半期ごとの受注高と受注残高が知りたくなって、IRに質問したり、資料を漁っているうちに、四半期ごとの有価証券報告書にでていることが分かりました。
 受注生産の企業の場合は四半期ごとの決算短信には出ていない場合もありますが(←開示している企業もあります)、四半期ごとの有価証券報告書には、「四半期ごと、すなわち3ヵ月ごとの受注高と、その期末の受注残高」が開示されていることに気がつきました。

 電業社の受注残高が大きく落ち込んでいたので、研究銘柄として取り上げることは中止して、受注残高が増加し始めたら研究銘柄として取り上げるかどうか再検討を行うことに決めました。

 そのとき過去の研究銘柄のうち、第3四半期の決算短信が発表されて、業績の進捗率がよいのに株価があまり上がらないので、自分の投資対象として買い増そうかと考えた企業がありました。買い増しを実行する前に「まてよ、会社の業績予想はずいぶん弱気だ。受注残高など受注動向についても有価証券報告書で調べてみるか」。このように考えて、四半期ごとの有価証券報告書をみて、あまりにも大きな受注高と受注残高の落ち込みに愕然としてしまった企業がありました。その企業は日本ヒュームです。

 日本ヒュームの資産価値は非常に高く、資産価値から見た株価は現状でも非常に安いと考えています。また日本の下水道の老朽化から考えて、中長期的に見れば日本ヒュームの事業価値は高いと考えています。しかし日本の株式市場では、どんなに資産価値や事業価値が高い企業でも、大きな減益決算などを発表した途端に大きく売られてしまう場合も出てきます。特にその前の決算短信などの業績が過去に比べて上向いていて、その後にマイナス情報がでてくると「がっかり」売りが加速してしまうこともよくあります。

 事前にその情報を知っていて、投資先企業の価値から考えて、持ち続けると決めていたなら、問題ありませんが、不意打ちを食らったような業績の悪化には、なかなか耐えることが出来ません。

 日本ヒュームの四半期ごとの受注額と受注残高を記載しておきます。第3四半期の決算短信も見ながら、四半期ごとの有価証券報告書を調査する重要性を確認していただければと思います。
 せっかく企業が出してくれている将来の業績を予想する有力な手段ですから、しっかりと利用するべきだと考えます。


 決算短信には業績について以下のように開示されています。

『3.連結業績予想に関する定性的情報
今後の日本経済の見通しにつきましては、経済対策の効果や、各分野における在庫調整の進展により、一部で底入れの兆しが見られるものの、景気の二番底の懸念が表明されるなど、不透明な経済情勢が続くことが予想されますが、最近の業績動向を踏まえ、平成21年11月11日に公表しました通期の連結業績予想を以下のとおり修正しました。平成22年3月期の業績は売上高が景気低迷に伴う建設投資の縮小等により減収となる見込みでありますが、損益は原価低減や為替の影響等により前回予想を上回る見込みであります。』

 決算短信には受注状況等の情報は出ていません。しかしEDINETには四半期ごとの有価証券報告書が開示されています。

■2009年3月期第2四半期有価証券報告書の
「生産、受注及び販売の状況」の欄

 第2四半期(08年7月~9月)の受注高8,539百万円。
 第2四半期末の受注残高7,638百万円。

■2009年3月期第3四半期有価証券報告書の
「生産、受注及び販売の状況」の欄
 第3四半期(08年10月~12月)の受注高7,969百万円。
 第2四半期末の受注残高7,827百万円。

■2009年3月期有価証券報告書の
「生産、受注及び販売の状況」(通期の数字から第4四半期の数字を計算)
 第4半期(09年1月~3月)の受注高8,438百万円。
 第4四半期末の受注残高7,259百万円。

■2010年3月期第1四半期有価証券報告書の
「生産、受注及び販売の状況」の欄
 第1四半期(09年4月~6月)の受注高10,124百万円。
 第1四半期末の受注残高11,604百万円。

■2010年3月期第2四半期有価証券報告書の
「生産、受注及び販売の状況」の欄
 第2四半期(09年7月~9月)の受注高5,169百万円。
 第2四半期末の受注残高4,932百万円。

■2009年3月期第3四半期有価証券報告書の
「生産、受注及び販売の状況」の欄
 第3四半期(09年10月~12月)の受注高4,609百万円。
 第2四半期末の受注残高2,962百万円。

 各期の期末の受注残高と比べて、2009年12月末時点の受注残高が激減していることに気づかされます。受注生産以外の売上高もあるでしょうし、持分会社の利益も別途で利益に加算されてきます。しかし、それにしても日本ヒュームの各期の販売高と受注残高との関係を見ると、この受注残高の急減は、今後の業績に懸念をもたらします。もちろん2010年1月から3月までの第4四半期に大きく受注を獲得できる可能性もあります。また株価が上昇していく可能性も考えられます。

 この数字を知った上で、日本ヒュームへの投資をどのように行うかは、各投資家の判断による(=投資家ごとに違う)と考えます。ただ、この状況を知っているのと、第3四半期までの業績の実だけを見て日本ヒュームを買い増そ
うなどと考えてしまった私のような投資家とでは、中長期的な投資の成績が違ってくる可能性は高いと思います。でも面白いことに、日本ヒュームの株価は第3四半期の有価証券報告書が開示された後でも少しずつ上昇しているのが、株式投資の不思議だと感じています。

 企業が発表してくれている情報はしっかり確認すべきだと、私自身が痛切に反省したことでもあり、今回のコラムで取り上げさせていただきました。


経済的独立ワクワク!サポーター 石川臨太郎


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