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アクティビスト

 組織トップが売上や寄付金をネコババしても「知らない」と言えば経理担当者の不正で済んでしまうなど、民間ではあり得ない話が永田町では常識となっています。知らないと言えば罪にならない法律を自ら作っているからです。
 こんな連中が立法府に居座っている訳ですが、検察が手を出せないなら有権者が断罪しなければなりません。この方達の選挙区の民度が問われています。もちろん野党こそ本気になって欲しい。無責任な発言で少数票を求める(ニッチで生きる)だけでは無く。


 さて、11月のコラムでは介護事業を充実すべきとの観点から書きましたが、あちらこちらで介護されているお年寄りの話しを聞くにつけ、どうすれば幸せな老後を全う出来るのか、などと考えるようになりました。
 歳をとるのは止むを得ないことだし、紛争の無い安全な場所に住んでいれば危険も無いままに、徐々に老化していくだけです。
 最近は施設の方々との交流も増え、簡単には解決策を見つけられないものの、自身を含めた高齢化について様々なことを考えさせられることが増えました。

 高齢化が加速する日本に於いて介護事業にかかわる皆さんからは、これからの介護には国が責任を持たねば現在のサービスを維持できないと聴く事が多いのですが、政府の方針はひたすら在宅介護を推奨しています。
 7割以上の方が「自宅で死を迎えたい」とのアンケート結果を公表していますが、きちんとお話を聴くと実は「自宅で最期を迎えたいが家族の負担になるなら施設や病院でも構わない」という方が多くいらっしゃると言います。関係する方達にお聞きすると、このアンケートの問題点は、自宅か施設かの二択になっているからこのような結果になる(誘導されている)と言います。何故か。

 介護事業を営む知人は、
「各家庭で介護を担うのは実は効率が悪く負担が重過ぎるために介護離職が起こってしまう。被介護者を集めて世話をする方が効率が良いし、効果的な医療も提供出来るはずだが、そのために国民への負担が増える事を政治家は言い出せない。」
「医療業界も診療所の収入を気にして効率的な介護を口にしない。今のままでは10年後には介護を担う人材を確保できなくなる。」
と言います。

 効果的な介護が出来れば実質的な国民負担は減るはずです。ところが日本全体でこれからの超高齢化に対峙しなければいけないにもかかわらず、議論を誘導すべき立場の人達が自身の損得や保身ために本当の議論が出来ない現実があります。

 必要な議論が出来ず、変化を恐れるのはこの国の慣習なのか。この課題を口に出来る(挑戦する)政治家の登場が待たれます。


 一方、株式市場では変化が起きています。

 10年ほど前に書きましたが、時価総額200億円程の調味料企業の買収を阻止するために財界が大騒ぎしました。裁判の結果、買収は失敗しましたが、当時、スティール・パートナーズは短期売り抜けの為に短期間で株式を買い集めたのではなく、数年をかけて正当な手順で株式を取得し買収をすることで、漫然と内部留保を増やし、主に国内でソースを製造販売するだけの事業に変革をもたらせると考えたのではないかと感じました。
 もちろん投資利益を踏まえた行動のはずですが、(恐怖を覚えた財界主導で)如何にもスティール社がグリーンメーラー(短期投機家)のように報道され、当時日本に珍しかった敵対的買収は失敗に終わりました。

 当時の筆者の感想として、きちんとした手順を踏み買収提案に踏み切ったスティール社の提案が覆されたことで、外人投資家は日本市場の異質性を感じ取ったと書きました。この件により日本の市場改革は再び周回遅れになったのでは無いでしょうか。

 スティール社が買収提案をした当時の国内市場の株式時価総額は570兆円ほど。現在の65%程度ですから、引き直せば時価総額約300億円の企業買収です。今では何とも小さな買収劇だと感じるのではないでしょうか。
 確かに国内では認知度の高い調味料メーカーですが世界では名も無い会社でした。国内には他にも幾つものソース会社がありましたが、ソース市場自体が小さいために事業拡大は容易ではありませんでした。が・・・、もしこの買収が成功していたら今頃この企業は世界的な企業に変身していたかも知れません。

 内向きの経営陣(財界)が保身を優先する経営によって企業の成長が抑えられ、日本市場の潜在力、アクティビティーが失われ続けていたのではないでしょうか。

 それが昨年あたりから大きな変化が出てきました。
 取引所が資本の効率化に言及し始めるとともに、アクティビストの増加など、大きな外圧によっても昼行燈経営が変化を余儀なくされるケースが増えてきました。取引所の新たな行動により開示の悪い企業へのプレッシャーも増すことと思います。
 今年に入ってからも(今は大型株主導ですが)割安株の物色が続いていますし、本当のコーポレート・ガバナンスが効果を発揮するようになれば日本市場には大きな変化が訪れそうです。不公正な投機では無く、正当なアクティビストが本当の投資家オリエンテッドな市場へ導いてくれるよう、今年の株式市場を見守りたいと考えています。


(街のコンサルタント)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)

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