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#40 プラネット(2391)&ビジョナリーホールディングス(9263) 2019/12/24

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       山本潤監修「グロース銘柄発掘隊」 第40号

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 山本潤氏率いる「株の学校」で、山本氏をはじめとする講師陣の薫陶を受けた精鋭アナリスト達が、成長株を発掘し、その内容を詳細にレポートします。

 毎週火曜日配信、1回に1銘柄の深掘りレポートです。


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               【目次】


■はじめに
■プラネット(2391) 客員アナリスト みなとみらい
■ビジョナリーホールディングス(9263) 客員アナリスト 武藤 悟史
■モデルポートフォリオ


※本メルマガの一部内容を、億の近道へ抜粋の上掲載することがございますので、あらかじめご了承下さい。


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■お知らせ


 いつもご愛読ありがとうございます。
 本号は年内最終号として、12月24日+12月31日合併号として、増量2銘柄のレポートを配信させていただきます。
 年末年始の銘柄研究にお役立て下さい。

 本年もご愛読ありがとうございました。
 年始は1月7日より配信開始します。

 良いお年をお迎え下さい。


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■はじめに


 NPO法人イノベーターズ・フォーラムのご協力により、客員アナリスト
たちのレポートの有料メルマガを提供しております。

 グロース銘柄発掘隊の隊長は東京2期生です。
 彼の指揮下、隊員たちは、週に一本のフルレポートをディープに発表します。
 どれも個性あふれるレポートです。

 投資家のみなさまにおかれましては、ぜひ、グロース銘柄発掘隊の客員アナリストたちへのご支援をよろしくお願い申し上げます。

(山本潤)


【発掘隊より】

 グロース銘柄発掘隊は、5年から10年以上の長期投資に耐えると思われる銘柄を発掘し、調査分析するものです。配信した銘柄は短期的に株価調整する場合もありますが、対象企業の前提条件が変化しない限り、問題ないと考えます。
 配信した銘柄は定期的にチェックしております。もし、前提条件が変わったりビジネス環境が大幅に変化した場合には、あらためてフォローコメントを配信致します。

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プラネット(2391)

【会社概要】

 現在、「データは21世紀の石油」と呼ばれるほどデータの持つ重みが私たちの日々の生活の中で増している。その中で、同社は情報技術(IT)を活用する消費財流通業界の「業界特化型」電子データ交換サービス(EDI)を提供する企業である。

 「業界特化型」EDIサービスとは、日用品、化粧品などを始めとする消費財流通業界の企業間(メーカーと卸店の間)の商品受発注や請求・決済、出荷・納品などの様々な取引のデータやり取りを行う企業間取引(BtoB)である。
 業務での紙伝票の送付や電話・FAXでのやり取りで発生する膨大な手間とコストをデジタル化により省力・自動化し、労働生産性を高めるため、企業間で広く利用されている。

 同社の事業内容はメーカーと卸店が相乗りし、共同利用できる「情報基盤
(プラットフォーム)サービス」を提供することである。その結果、複数の企業のシステム開発競争を避けることができ、社会的コストを低減し、経済合理性を実現するプラットフォームビジネスを展開している。

 同社は今期、設立35周年を迎える。

 「システムは共同で、競争は店頭で!」のユニークなキャッチフレーズのもと、企業活動の業務プロセスにおける社会的課題を解決する経営理念は、現代風に言い換えれば、BtoBシェアリング・エコノミーサービスに値する。

 成長は緩やかでも持続ある経営を維持できる企業の一つと捉える。


 ◆事業

  同社の事業は大きく分けて2つある。

  1)EDI事業(基幹EDI=メーカーと卸店、資材EDI=資材サプライヤーとメーカー)
  2)データベース事業(商品DB、医薬品説明書DB、取引先DB)
  である。売上の比率は、EDI事業が9割を占める。

  ビジネスモデルはEDIデータの従量課金制ストック型ビジネスである。
  ニッチな消費財流通業界であるが、業界内に競合企業が存在せず、日用品、化粧品などの消費財は毎日使うものであることから長期に渡って売上げが見込める競争優位性を持つ。

  プラットフォームの特徴として、「顧客ユーザーのデータの中身を見ない」公正・中立・安全なEDIサービスを展開する。この点は、GAFAを始めとする巨大IT企業のプラットフォームビジネスとは異なり、データの中身を見ないことからユーザの厚い信頼と安心が寄せられている。

  同社は1985年電気通信事業法の成立を機に大手日用品メーカー8社
  (ライオン、ユニ・チャーム、資生堂、サンスター、ジョンソン、日本製紙クレシア、エステー、牛乳石鹸共進社)と通信会社(インテック)が出資し、設立された。
  インターネットが商用解禁される以前の1980年代に、当時の消費財流通業界における多数の企業間の大量データ交換ニーズの高まりを、新技術の「パケット交換技術」を応用し、各メーカーが卸店にそれぞれの端末を配置していた「多端末」課題をシステム共同利用により解決した。この課題解決は流通業界規模の大きな変革(イノベーション)であり、かつ、競合企業同志(ライオン-花王)による共創の先駆けであった。
  EDIに各社個別の設計仕様を持ち込まず「みんなが業界標準仕様に合わせる」という考え方は当時の流通業界では先進的なものであり、誰にでもオープンで、取引先と双方で業務効率化が期待できるサービスは、日用品・化粧品業界だけではなく、その後、ペットフード・ペット用品業界、一般医薬品業界にも採用され、現在は国内最大規模の消費財流通のプラットフォームとして定着している。

  業界のメーカーと卸店がEDI仕様の「標準化」と「統一化」に賛同と協力した結果、業界で大きな合理化効果につながった。同社はメーカーと卸店のビジネスプロセスを継ぎ目なく接続することによる業務の効率化と高度化、そして、流通サプライチェーンの全体最適化を目標に掲げ、業界貢献している。
  EDIプラットフォームのシステム運用と監視業務を株式会社インテックに委託しており、プラネットの従業員は43名の小規模組織である。
  2004年にジャスダック市場に上場した。


 ◆競争優位性について

 ・プラネットの強みと画期的なサービス
  同社は設立以来、ITの進展に合わせてEDI基幹情報システムの更改を7回、料金値下げを9回実施し、メーカーと卸店間のニーズの高まりに応じて、EDIデータメッセージを24種類へ拡大し、先進的なサービスを提供している。
  さらに、交換データフォーマットの標準化や小売り業を含めた「店舗統一コード」の設定を実施し、ユーザは当初の日用品・化粧品業界だけではなく、近隣業界に横展開されユーザ数は年々増加している。これは、他業界のユーザにもEDI対応がしやすいように伝票フォーマットを業界統一したことが大きな要因である。
  現在、EDI利用企業ユーザは大企業、中小企業を合わせて約1,200社、月間80億件を超えるデータ量を処理している。

  EDIデータ事業に支えられ、同社の売上高利益率は23%と高い利益率を維持している。良好な財務であり、自己資本比率86%、有利子負債ゼロ。18期連続増配を達成している。

  プラネットが業界に提供してきた合理化効果を以下に記す。
  ○受発注の業務効率化
  ○伝票の削減
  ○売上・仕入計上の業務効率化
  ○返品の削減、メーカー在庫の削減
  ○メーカー配送・保管コストの削減
  ○システム開発・保守コストの削減
  同社の推計によれば、32年間の合理化効果は約6,000億円である。
  さらに、サービス事業の創造的効果としては、消費者需要にマッチした商品開発、合理的なマーケティングの展開、事業所コードや商品コードの業界統一化、定期開催するユーザ会によるリアルな企業間コミュニケーションの強化などが挙げられる。

 ・画期的な「販売レポートサービス」
  「販売レポートサービス」は、卸店が小売店に商品を販売した実績情報をメーカー側に毎日提供するサービスである。この販売実績データを「販売データ」と呼ぶ。
  「販売レポートサービス」は同社が卸店から「販売データ」を代行受信し、取引先データベース、商品データベースを付加し、データの加工・集計を行いメーカーに提供する優れた仕組みである。このサービスが出来る前にはメーカーは自分たちの商品が、どの小売店にどれだけの数量が入っていることを把握できなかった。それがこのサービスにより、メーカーはタイムリーに生産・出荷計画ができるようになった。
  本サービスは同社が長年整備してきた小売販売店名簿(43万店)の取引先データベースに小売店舗データに統一コードを付与したことで実現できた画期的なサービスである。統一コードにより、或るメーカーの商品を多くの卸店が同じ小売店に販売しても「名寄せ」ができるため、卸店から小売店の販売データを集計し、メーカーに提供できる仕組みである。
  この仕組みは同社の財産となっている。

 ・「配荷店舗検索サービス」について
  本サービスは、「販売レポートサービス」に含まれるサービスである。
  同社ユーザの商品が「どこのお店で商品を販売しているか」という、消費者からお問合わせに対応するサービスである。消費者のスマホ、PCから「地図形式」での商品の取扱い店舗が検索、表示ができる。「配荷店舗検索サービス」は同社のユーザーオプションサービスとして提供している。
  利用企業は現在、13社増加し総計38社になった。
  適用企業の一例として、自分が調査した限りでは(事例1)小林製薬、(事例2)アース製薬、(事例3)ミルボンが挙げられる。
  ところが、本サービスは同社が設立当初から整備・蓄積してきた「取引先店舗データベース(約40万件)」を使用しなければ提供できないサービスであるにも関わらず、同社は非公表である。これは同社が「縁の下の力持ち」の黒子に徹していると思われるが、是非とも、同社の存在意義の証し、ひいては、知名度向上のために社名公表していただきたいサービスである。

  以下に事例を示す。
  (事例1)
  小林製薬、製品情報から取扱店舗まで検索できる「販売店検索システム」をマピオンと共同開発 日本経済新聞 20180124
  https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP469325_U8A120C1000000/
  販売店検索システムURL:https://map.kobayashi.co.jp/b/kmap/

  (事例2)
  アース製薬、商品取扱い店舗がスマホ、PCで簡単検索 日本経済新聞
  20190221
  https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP503260_R20C19A2000000/?au=0
  製品販売検索システム
  https://corp.earth.jp/jp/news/2019/pdf/20190221-01.pdf

  (事例3)
  ミルボン、美容室専売品をオンラインで購入できるEC事業を本格始動
  日本経済新聞20190911 ~美容室にとって負担となるサイト運営・受注・物流業務をミルボンで受託~美容室専売品をオンラインで購入できるEC事業を本格始動
  2017年よりコーセーと業務提携しスタートしたスキンケアブランド「IMPREA/インプレア」を皮切りに、順次取り扱いブランドを拡大
  https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP518910_R10C19A9000000/?au=0


 ◆株式の特徴

 ・大株主は出資企業のメーカーが中心だが、設立当初の出資社以外の国内外優良企業が株主である。(花王、ユニリーバ・ジャパン、P&Gジャパン、クラシエホームプロダクツ、小林製薬、貝印、アース製薬、マンダム、パルタック、あらた、大木ヘルスなど)
 ・株式の流動性が低い・発行株式数が少ない。6,632,800株
 ・浮動株が6.0%と少ない(会社四季報2019年冬号)
 ・株主数:1,020名

【成長ドライバ】


 同社は、現在、業界標準EDIサービスの提供以外に、流通業界活性化や社会貢献を目指し「業界研究所」活動を開始し、IoT、AI、量子コンピュータ、ブロックチェーンなどの新しいテクノロジーとビッグデータの活用を研究し将来の事業の種まきを行っている。

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