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続「浅香唯のドリームビリーバー 」番組ステッカーを夢見る日常。


【今までのあらすじ】

ラジオに初めて送ったメッセージが浅香唯さんに読まれ、ペンネーム「奥田庵」となった僕は、全ての活動ネームを奥田庵に変えた。
その後、楽しくラジオを聴いていた六月。新たに「番組ステッカー制度」が開始される。番組でメッセージが読まれた人の中から一名にだけ浅香唯さんがペンネーム、もしくは本名など、「書いてもらいたい名前」をステッカーに記入してくれるという企画。僕は、「奥田庵」になるきっかけとなった、浅香唯さんに、名前を記してもらおうと、メッセージを送り続け、11月の後半、再び番組で読まれる奇蹟が起きる。だが、抽選で一名にのみ与えられる希少なステッカーが僕のもとに届くことはなかった。

ステッカーの夢は叶わなかったが、番組に「奥田庵」としてメッセージを送れるという喜びを実感し、そのこと自体に感謝が生まれていた矢先、
「あと二回で最終回になります」
と、突然の発表。
僕は「空っぽ」になり、何も考えられなくなっていた……。


「浅香唯のドリームビリーバー~幸せの色2020~」
が、あと二回で終わってしまう。
そのショックは、日常にも引き継がれ、僕は謎の腹痛をこらえながら、日々仕事に追われていた。

楽しかったなぁ。
終わっちゃうんだなぁ。
僕は番組に感謝のメッセージを送り、「その瞬間」を受け入れようと心に決めた。

そんな最中、番組公式ツイッターより、最終回は「唯ドリ決定戦」を行うとツイートにて発表される。

「最終回に『唯ドリ決定戦』を……」
唯ドリ決定戦。浅香唯さんが、お題を出し、リスナーがそれぞれの意見を寄せ合い、最後は、浅香唯さんが決定するという、メッセージが多く寄せられる人気企画。

最後まで、楽しい時間を作り上げようとしている。
浅香唯さん、番組のスタッフさんの気持ちが僕の心を揺さぶる。
12/20最終回直前の放送で、お題、
「浅香唯にこれからやってもらいたいこと」
が、発表され、ラジオから
「沢山のメッセージ待っていますよ」
と、浅香唯さんが言う。

これが、ステッカー、ラストチャンス!
勿論、最終回、最大の盛り上がりにして、メッセージが殺到するに決まっている。
けれど、そんなことよりも、「奥田庵」を生み出してくれたこの番組、最後の企画に、参加しないわけがないじゃないか!

と、僕は、メッセージを書くことに集中。
山のように湧き出る「やってもらいたいこと」
よしっ、まず、山のように書いてしまおう!と、ツラツラ。

家の中で、バスの中で、カフェの店内で集中!
「ええいっ!」
と、送信。

今、僕の人生の中で、すべての「賞レース」が終わった。
もう、競わない。戦わない。比べない。ただ、ひたすら自由さに埋没し、繋がった先の喜びに対し最大限、奉仕しながら生きていこう。
唯ドリ決定戦。ステッカーよ……。

そんな僕の「熱」を横で見ていた妻が、
「私も送る~」
と、パソコンにカタカタ。

「送ったの~」
と、見せてくれる。
ペンネーム「奥田庵の妻」。エピソードに僕のことを交えつつ、書いてもらいたい名前には「奥田庵」とまで書いてくれてる。
おお、妻よ!
しかし、この激戦区、難しい戦いだよきっと。

メッセージの締め切りが12/23の10:00までと番組ツイッターでアナウンスされ、
「読まれるかな~」
と、妻もワクワク。放送日は12/27。

だけど、クリスマスの12/25に異変が。ツイッター上で、
ステッカーが届いたというリスナーさんのツイートを目撃する。

な、なんと!
って、12/23に収録が終わり、抽選にてこの方が選ばれ、ステッカーが届いたのでは?

「ダメだったか……」
「残念だったね」
と、夫婦でげんなり。

謎の胃痛が増し、目の奥もジンジン。
「でも、最終回を楽しみにしようよ……」
なんて、二人で話しながらも、寂しさが身体を蝕んでいく。

が、ここで異変。
次の日、別のリスナーさんに突如ステッカーが2枚届いたとのツイート。
「え?」

また別の方も、届いたとの情報も。
な? なにかが起きている!
「どういうことだろう……まだ望みはある!」 

そんな中、迎えた12/27。
ラジコを起動させて、放送待機。
毎週この時間に耳にすることになる前番組の松島さんの演歌を聴きつつ、PM9:30を待つ。

最終回放送開始。
浅香唯さんの声。いつものように楽しげな声で、まだ大掃除が残っている話をして、最終回だから、沢山いただいたメッセージを
「時間の許す限り1通でも多く紹介していきたいと思いますので」
と宣言。
のあとに、それでは一曲と、堺正章「北風小僧の寒太郎」をしっかりと2番まで。しんみり。

そして唯ドリ決定戦が始まり、皆さんの熱い「やってもらいたいこと」が浅香唯さんによって読まれていく中、
「続きまして、ペンネーム奥田庵の妻……」
「はっ」と、僕。
「いゃふぎぁっ」と、妻。

おおおお!
妻と二人で息を呑む!
よ、読まれてる妻!

「スゴーイ!」と、妻。
「やったねー!」と僕。

この最終回の激戦区に、妻が、読まれた!
この展開!
楽しい!

その後も多くリスナーさんの熱いメッセージが続く中、夫婦で、ドキドキが止まらない。最終的には、妻の提案とは別の、ビリーズブートキャンプならぬ、「ユイーズブートキャンプ」に決定。
異論はないのさ。素晴らしい。
良かった良かったと、二人で頷く。

元気に、楽しく放送していた浅香唯さんが、最後に感極まり涙声で、
「楽しかったよ」と言葉を詰まらせながら話し、そしていつものように元気に、
「また会おうね。バイバイ!」

と、番組は終了。

終わってしまった。


ツイッター上では感謝のメッセージがあふれる。そんな中、ステッカーが届いたという報告もまだ行われている。

やはり、なにかが起きている?
うちには届いていないけれど、その日は日曜日。
もしかしたら、土日が配達ないから、明日、なにかがうちにも起きるのかも?
最後だから、ステッカー希望者の皆さん、出来るだけ多くの方にプレゼントしてくれているのかもしれない。
奇跡が各地で起きている!

次の日の月曜。
もしかしての望みを持ちつつ。仕事。
届いたよ。報告が来るかもとドキドキしながらも。
郵便はきたけれど、ステッカーは届かなかったとのこと。

「……」
空っぽ。

2020年。溜息。仕事収め。

12/29。
もう、よく寝よう。疲れも取ろう。
そんな気持ちで横になっていると、犬にぺろぺろ舐められ、散歩に連れてけと起こしに来る。

僕と妻は犬の散歩に行き、戻るとポストに封筒。
「!」
みると、「ラジオ大阪」から!
「来た!」
「ええええー!」

封筒のあて先は妻になってる。
「夫のために書いたんだから、夫のだよ」
そう、妻はステッカーに「奥田庵」と書い欲しいとお願いしていたのだ。
奇蹟だ。凄い展開。願いは叶うんだ。
と、封筒を開けると、

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「奥田庵の妻……」
しっかりと、奥田庵の妻とラジオネームが書かれていた。

僕と妻は大笑いした。

最終回の寂しさも吹き飛ばすぐらい、この展開が楽しかった。
素晴らしい!

この「なにかしらフワッ」とくる楽しさが、浅香唯さんの人を元気にさせてしまうパワーを物語っているようで、また嬉しかった。

「浅香唯のドリームビリーバー~幸せの色2020~」
の奇跡。

2020年が終わる。




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