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夏ごろ

童貞捨てたんだよ、って笑う君を見ながら私はオナニーしたい。足元に落ちていた乾電池を蹴り飛ばした私が悪いのだ。買ってきたばかりの桃をあきらめた火曜日。日差しの強い窓枠に放置してダメにしたのも、きっと君にどうしたの? って話しかけて欲しかったから。飲みかけのココアが乾いていることにすら気が付かなかったことに気づいてもらえなかった。落ち度。だからこそ、ぼんやり光る蛍光灯の先に止まるユスリカを、ひとつひとつ剝がしていく。雨が降っても傘をささなくなったのは君のせいだから。

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