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【執筆記】基礎から学ぶ推薦システム|動機

2022年7月1日に、コロナ社から推薦システムの教科書『基礎から学ぶ推薦システム~情報技術で嗜好を予測する~』が出版されました。当ブログでは、著書執筆にあたっての苦労話やこだわりなどを何回かにわたって書いていきたいと思います。

奥健太,『基礎から学ぶ推薦システム ~情報技術で嗜好を予測する~』,コロナ社,2022.

まず、今回は執筆の動機について書いてみます。

私は大学で、研究室では推薦システムをテーマとして学生に研究指導をしています。また、授業では学部2~3年生向けの「データインテリジェンス(旧科目名:知的問題解決法)」という科目で推薦システムの基礎について講義しています。

当時、推薦システムの指導のバイブルとしていたのが、主に『Recommender Systems: The Textbook』でした。本書は、推薦システムに関わるさまざまな手法について具体的な計算例と共に解説されているので、講義資料作成に大いに参考になりました。ただ、当然、英語の図書なので、これをそのまま初学者である学生に読ませるのはなかなかハードルが高い。いつか、学部生向けに具体的な計算例と共に推薦システムを基礎からわかりやすく解説したような教科書を書いてみたいなと考えていました。

そんな中、たまたま縁あって、コロナ社の編集部の方とお話する機会がありました。その際に、まだまだ妄想の段階であった教科書の構想についてお話したところ、興味をもっていただき、一度、企画書を作成してみてほしいと提案頂きました。これが、ちょうど2020年の1月頃でした。

企画書では、ページ数や出版趣旨、目次構成、脱稿時期などを書く必要がありました。ページ数もどのぐらいになるか想像できなかったので、教科書だと大体200~300ページぐらいかなという感覚で、そのページ数で提出しておきました。最初は、こんなに書けるものかなと思っていましたが、執筆を進めていくうちに、どんどんページ数が増えていき、逆に300ページで収まるかなと思うようになりました。最終的には300ページ強でした。

脱稿時期は、実は2021年度の後期の授業から教科書として採用したいと考えていたので、2021年の3月頃にしていました。が、実際には執筆が遅れて、脱稿はその1年後ぐらいになったのですが。今思うと、1年で執筆しようとしていたのには無理がありました。

2020年3月に企画書を提出しました。その後、なかなか連絡がなかったので、没になったのかな、と不安に思いながらも待ち続けました。すると1カ月後ぐらいに企画が承認されたと連絡を頂きました。実は、この期間に、複数の専門家の方から企画書の内容に関してヒアリングをしてくださっていたようです。執筆に向けて非常に有益な助言を頂きました。匿名ですので、どなたがコメントしてくださったかはわからないのですが、この場をお借りして御礼申し上げたいと思います。

これで晴れて企画が承認されたので、2020年4月にいよいよ執筆を開始しました。執筆開始後の経緯については、また改めて書きたいと思います。

最後に、おそらく、コロナ社の方とお話していなかったら、未だに教科書執筆は私の妄想の中のままだったかと思います。出版の機会を頂けたこと、出版に至るまで多大なサポートを頂けたこと、コロナ社編集部の方々に、この場をお借りして御礼申し上げます。有難うございました。

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