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YouTubeチャンネル『Webアプリ開発 奥野塾』を開設しました

こんにちは、クレスウェアの奥野賢太郎です。2018年8月1日付けでクレスウェアとして独立しましたが、さらにそこから丸2年が経過し、あっという間に3年目となりました。

個人事業主として3年目を迎えるというのは、税金や健康保険の面で壁があるといわれ、2年間のフリーランス・エンジニアを経て会社員に戻るという方も少なくありません。私は、それでも独立し続ける道を選択しました。

さて、2020年8月より、タイトルにもある通りYouTubeの動画チャンネル『Webアプリ開発 奥野塾』を開設し、継続的な動画投稿をスタートしたので、今回はその告知と、その理由などについて話そうかと思います。

Webアプリ開発 奥野塾とは

もともと音楽業界に居た人間が、わずか6年でここまでWebアプリケーション開発の専門家になるとは思ってもいませんでしたが、幸いなことに今はWebアプリケーションの設計・開発に関する知識や技術で、継続的に仕事を頂いています。そして、ここまでに得た知識や技術を世に還元すべく、YouTubeチャンネルを開設するに至りました。

日本のYouTubeのプログラマー向け、エンジニア向けの動画は、私を対象にしていないと感じることもあり、あまり熱心には観ていないのが本音ではあるのですが、表面的に見た限りだと、転職者向け・初心者向けの内容が多いと感じています。

YouTubeはチャンネル登録者数と再生数がすべてですので、リーチしやすい層に迎合するのは生存戦略として正しいと思います。ただし私は、あまり動画広告収入を重視しておらず、ブログ執筆・勉強会での登壇といった情報発信の手法のひとつとして動画投稿を認識しているため、多少再生回数が劣ったとしても、実務向け、中級者以上向けの業務知見を豊富に含めたいと予定しています。

そんなこともあって、私が業務内で技術について話す様について、これまでの会話の中で生まれた「奥野塾」というワードを由来に、チャンネル名としました。

アウトプットとインプットの均衡が崩れる恐怖

もともと動画投稿自体に関心はあったので、機会があればやってもいいとは思っていました。ただし、ng-japan OnAirといった既存の配信番組への定期的な出演や、各種勉強会・カンファレンスの登壇が続いていたことから、殊更に動画を収録して投稿するまではいいかなと考えていたのです。

今回決め手となったのは、まちがいなく感染症に関する一連の自粛によるものです。技術者向けのローカルな勉強会や、国際的なカンファレンスに至るまで、おそらく全てが中止となりました。もし中止になっていなくても、原則オンラインでの開催です。有名なところでは、AppleのWWDCが初めて完全オンラインによる開催をしました。

つまり、いままで動画投稿をしなくてもいいかと考えていた理由のひとつである、勉強会への定期的な出席が絶たれたのです。これは、自粛から約半年が経過して変化をもたらしました。ひとつにはアウトプット機会の激減です。

アウトプットというのは、なにも勉強会で登壇することのみで満たされるわけではない、と気付いたのはここ数ヶ月のことです。勉強会に観覧者として出席するだけでも、例えばその休憩時間に雑談したり、会終了後に友人と食事に行ったり、そういった場でもアウトプットを満たしていたことに気付きました。これらの「アウトプットとは認識していなかったけれどアウトプットをしていた機会」が失われるとどうなるか。深刻な問題が発生しました。

それがインプット機会の激減です。単純に、話す場がないからそのための準備をすることがないというのも、もちろんなのですが、アウトプットが無いとインプットは詰まりを起こしてしまうのです。これは感覚での話ですが、アウトプットとインプットの比率は1:1に近ければ近いほどスループットがよくなると思っており、アウトプットが滞ると、どれだけインプットのみに励んでも、それがいまいち習熟に結びついていないと体感しました。

フリーランスで働く身としては、これは深刻です。フリーランスの市場価値というのは自己の新陳代謝でしか生み出し続けられず、賞味期限の切れた者の価値はどんどん薄れてしまうためです。株式会社トレタさんの現場で、深くサービスの開発にコミットできたこと(参考記事)はとても光栄ですが、ここに甘えてしまうと、私は社員ではありませんので、いつ何どき仕事を失うことになるか分かりません。その時、技術者としてなまくらになっていたら、次の仕事を見つけることには苦労するでしょう。

生配信による登壇のありかたへの見直し

私がng-japan OnAirに力を入れているのは、こういった理由で、少しでもインプット・アウトプットの機会が保てるものであれば、積極的に貢献したいと思ったからです。

ng-japan OnAirというのは、Angular日本ユーザー会が運営するYouTube Liveの定期的な生配信番組のことで、名前の通りフレームワーク “Angular” に関する情報を、ユーザー会の代表と私とゲストの数名で、トーク形式で生配信するというものです。ソロ出演と違い、出演者同士の掛け合いもひとつの特徴です。

共演者と思惑が一致していることもあって、かつてより機会を増やし、月1から月2となった番組ですが、ひとつ自分にとっては制約がありました。それがAngular縛りであるということです(正確には別にAngular以外でもよいのですが、立場上私は日本Angularユーザー会の人間として出演していることに拠ります)。それもあって、Angular以外の話題でも気軽に話す場が必要であると感じていました。

各種勉強会が軒並み中止になる中、2020年5月以降、徐々にオンライン勉強会という形式が確立してきました。登壇申し込みは従来どおりで、ただし登壇はYouTube Liveなどのプラットフォーム上で行われます。観覧者としてのメリットは、会場に足を運ぶ必要がない、ともすれば東京近郊に在住しているかは関係なく、全国から視聴可能であるということです。これは地方の技術者にとっては大きな魅力となるでしょう。登壇者のメリットも、やはり会場に足を運ぶ必要がない、仕事終わりにそのまま登壇できるという手軽さにあると思います。

ただし私はデメリットも感じました。登壇はMac付属のウェブカメラに向かって、自宅の自室で喋り続けるというスタイルになってしまいます。これは、想像以上に空虚さを実感することとなります(拍手もありません)。人によっては、視線を感じないことによる安心感を得るかもしれませんが、私はこれを苦痛に感じました。TwitterやYouTubeのコメント欄にてリアクションはあるのですが、意外にも従来のオフライン登壇では、観衆の視線や表情をリアクションとして得ていた事に気付きます。こういった主観的な空気の感触も、私は登壇中に得られる情報源として活用していたのです。

これは失ってみるまで気付かなかったものでした。どういうことかというと、例えば、あまり伝わってないなと感じたときには別の言い方に替えたり、関心を得ている手応えがあれば他の話を削る代わりに余談を増やすといった、求められている話題に応じたチューニングをリアルタイムにやっていたのです。それがオンラインではやりにくい、台本通りに時間内に喋り続けるしかアプローチがないと感じました。

このことから私は、単独での技術情報の発表は生配信である必然性が薄く、録画の配信でよいのではないかと感じました。もちろん生配信であれば、登壇後に即座に質問コメントを拾い回答するといったこともできます。しかし、個人的にはこれはTwitterのメンションで日常的にやっていたことであり、録画への質問を録画配信後に非同期に回答するでもかまわないと思っており、生配信に限ったメリットではないと思っています。これが、自分はオンライン勉強会での登壇よりも録画配信に力を入れるべきである、と実感した決め手です。

録画をどのように公開し観てもらうか

録画配信であればApple WWDCでも行われていたことで、これも特段珍しいものではありません。録画し公開することを前提としたオンライン勉強会だとしても、それで満たせそうではあります。しかし、ここに自分のこだわりが生まれてしまいました。

自分ならどういう動画が観たいか。そう考えたときに、60分や90分といった動画からシークバーを操作し、あるいはリンクをクリックし、該当の箇所にジャンプしてそこだけ観るというのは、あまり自分は好きではありませんでした。GUI上の制約というか、プレイリストでの見返しも難しく、どうにも運用でカバーしている気がしてしまうのです。音質のバラつきなども制御できません、基本的にイベント主催者任せになってしまいます。

自分が観たいクオリティの動画でなければ、自分は観ないだろうと考えたときに、これはもう自分で録画して自分で編集するしかないと決断しました。これは、開発者になる前に音楽制作に従事していたという自身のクリエーター魂が、まだ残っていたといってもよいでしょう。

もちろん編集には時間がかかりますし、何より撮影機材や道具の準備が必要です。話す内容を考えることも必要で、単純に勉強会で発表するより3倍程度の手間が掛かることは予想できました。それでもやると判断したのは、このスキルが、5年前でいう「技術記事を書く」といったスキルに今後匹敵してくる、現代のアウトプットスキルに直結する、投資する価値があるものだと判断したからです。

数年後、動画を編集・投稿するスキルは持っていて当たり前…、とまではならないかもしれませんが、かといって殊勝なものでは無くなってくると予想しています。感染症関連の自粛に伴い、アウトプットに工夫を始める方々は今後確実に増えます。であれば自分は、その時すでに動画投稿に慣れている身でいたい。これが動画編集への投資の理由です。

撮影した動画の公開プラットフォームは、もちろんYouTubeです。これが世界のデファクトであるからです。ここ2年でYouTube上には、イラストレーター、医師、アスリート、料理人、ありとあらゆる業界の専門家が動画を投稿するようになりました。4, 5年前はYouTubeといえば大食い、激辛、迷惑行為といった偏見を持たれることもあったでしょう。今はもう違うと感じています。

他の媒体との比較

私は、かつてから技術ブログのプラットフォームであるQiitaへの投稿を続けていました。投稿を繰り返していたからこそ出会えた人脈、得られた仕事は多く、Qiitaを続けていたことによる利益は多かったと思います。

現在は、いろいろ思うところあってQiitaを去ったのですが、技術記事への意欲が失われたわけではありません。ただ、noteは技術記事を書くにはタイポグラフィ(行間や文字数によるもの)の面であまり適切ではなく、かといってオンプレミスなブログシステムを構築するのも、個人的にはあまり関心が無かったため、見送っていました。

stand.fmというボイスブログを始めたこともありました。これは2ヶ月くらい毎日投稿し、音声配信という一定の手応えを感じたのではありますが、プラットフォームとしては自分に馴染みませんでした。

オーガニック流入がほぼ0で「バズった配信者しか上位にこない」という点と、私の想定していたリスナー層がまるで存在していないことがその理由です。技術系Podcast自体は珍しいものではありませんが、このサービス自体は技術トークをするのに適したプラットフォームではなかったのです。私は、このサービスのユーザー層に迎合してまで、再生回数を増やしやすい話題に傾倒する気持ちはありませんでした。

これらの感触から、私は技術情報を音声で発表し、かつサンプルコードや用語説明を文字情報として補足できる「動画投稿が最善である」と感じたのも、今回動画を始めた理由のひとつとなります。

YouTubeでは、3〜5分のVlogから、20〜30分のウェビナー的な内容まで受け入れる土壌がすでにあります。勉強会での登壇は多くが15〜30分なので、それと同等か、少し短いくらいが収まりよいと感じ、収録時間に対する選択の幅が広いのも魅力のひとつでした。

動画編集の作業は、実際にやってみると壮絶に大変で、慣れの側面は多いと思うのですが、これを毎日続けているYouTuberの方々は本当にすごいなと思いました。プログラミングと同じで効率化が重視される作業だと思うので、もう少し慣れてきたら編集手法などをnoteにまとめようかとも思います。

まずは継続を

友人の界隈ではすぐに飽きると思われているのですが、まずは継続が重要と思い、インプット・アウトプットの増量、編集の効率化を図りながら、動画投稿を重ねようと思っています。毎日投稿なんて大それたことは言うつもりありませんが、忘れられない程度に定期的には投稿したいものです。

もしこのチャンネルがいいねと思ってくださったのであれば、高評価、チャンネル登録をよろしくお願いします。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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