海沿いの人工都市

朝9時、私は千葉は海浜幕張駅に降り立つ。都心からでも電車で1時間ちかく。自宅からは電車を乗り継ぎ遠路はるばるといったところか。とにかく、やっと着く。

駅の改札口は、多くの乗客でごった返している。海浜幕張は数々の大企業が本社を構えるビジネス街でもある。朝は通勤のサラリーマンだらけである。

人ごみをかき分け、会議先のビルへ向かう。会議室はビルの14階、ふとエレベーターホールのわきの窓から景色を眺めると、ただっぴろい平野にビルやショッピングセンター、そして家々が並んでいる。普段山の方に住んでいる人間にとっては、こうした開けた景色は日本っぽくなくて新鮮である。

会議が終わり、再び駅に戻る。時間は昼前。お昼ご飯にする。

それにしても、駅の人混みは一向に減る気配がない。海浜幕張は、ビジネス街と同時に、アウトレットやモールをはじめとした一大商業エリアでもある。昼間は買い物客のファミリーや学生、朝とは違った顔ぶれで駅前があふれている。

駅すぐにアウトレット、そしてショッピングモールと買い物に申し分ない環境だ。お昼ご飯にも困らない。なんとなく午前中がんばったので、お寿司を食べる。回転ずしだが。

昼食後に少し街を歩く。ここは、住むには何の不便のない街だ。働くところも、買い物するところも同じエリアにある。街もきちんと計画的に整備されている。

町並みを見ていると、私は、自分の地元にも人工的に計画されたエリアがあったのを思い出した。あのエリアも不便のない計画されたきれいなところだった。エリアができてもう30年ほどになるだろうか。

でも、ふしぎなことに便利で申し分ないそのエリアは、その街のあらたな中心地にはなれなかった。あまりに人工的すぎて、まちの魅力がなかったののだろうか。自分も、同じ地元でも昔ながらの味のあるお店がある昔ながらの中心街の方が好きだったし、他の皆ともそちらに集まっていた。

海浜幕張は、10~20年後どうなっているんだろう。ただのキレイで便利な街とは違うかたちになっているのだろうか。


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