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「安全」を考える

こんにちは!
たけなが社労士事務所の武長です。

今回は労働安全衛生に欠かせない「安全」について考えてみたいと思います。

安全とは何か

まず「安全」という言葉の定義を確認すると以下の通りになります。

【定義】
許容できないリスクがないこと(ISO/IEC GUIDE 51:2014)

つまり、許容できるリスクは残るわけで決してゼロにはならないということです。
例えば、家から会社まで通勤することを考えてみましょう。
ある人はクルマ、ある人は自転車、ある人は歩く、電車に乗るなどいろいろな方法で通勤すると思いますが、クルマや自転車なら事故に遭う、ないしは不幸にも事故を起こすかもしれない。歩いていても交通事故に遭うかもしれない。なら電車はどうか?(可能性は低いかもしれないが)事故に巻き込まれるかもしれないし、あるいは急停車で転倒してケガをするなんてこともあるかもしれない。
(さらに常ならない日常、天気、自分の体調などいろいろな要素が絡む以上、リスクも変化する。)

リスクだらけの世界で(行動と認識)


では私たちはそんなリスクだらけでどう折り合いを付けて安全(だと考える)行動をとるのでしょうか。
私たちは自然と(ある人は安全ということをさほど意識せずに)その時その時でリスクの低い選択をしている。もし風が強い日なら、クルマや自転車はやめて歩くか電車にのる。雪が降るなら滑らない靴をはいて出かける。夏の暑い日なら水分補給を欠かさないよう準備したり、できるだけ日陰を目指して通勤ルートを見直すということも考えられるかもしれない。
そうやって私たちは(無意識かもしれませんが)「安全」を確保しているわけです。

ただそんな日々選択をしている私たちはそんな日常が続くとなぜかこんなことを考えてしまう。
「こうすれば絶対安全」
「○○の安全神話」

しかしながらリスクがゼロでない以上、「絶対安全」「安全神話」というものはないのが現実です。
また「許容できるリスクがないようにする」ためには、絶対や神話に頼ることなく、日々直面する状況に合わせて、適切な行動・選択を行わなければ、「安全」にはたどり着かないことになります。
(まして労働の舞台である「職場」「現場」であればなおさらです)

労働安全衛生法で考える

さて視点を変えて労働安全衛生の一般法、労働安全衛生法で考えてみましょう。目的規定である第1条には以下の通り記載があります。

第一条
この法律は、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)と相まつて、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。

ここで第1条の構成を見てみると
(常に存在するリスクに対し、)
①危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講じることで、②労働災害を防止し、③職場における労働者の安全と健康を確保する。という形となっており、
つまり「安全」(と「健康」)は
リスクに対して①で記載された措置を講じ、労働災害を防止することではじめて確保されるものであって、自然に存在するものではないことを強く示しているものと考えることができます。
(参考文献:畠中信夫『労働安全衛生法のはなし』)
労働安全衛生法のはなし | 図書 | 中災防:図書・用品 (jisha.or.jp)


まとめ

「安全」について、定義や身近な事例、労働安全衛生法を見ながら考えてみました。
いずれにせよ、「安全」は自然に存在するものでもなければ、「絶対」も「神話」もなく、あくまでも多くの人の(安全を求める)行動や組織の努力の積み重ねがあって初めて「許容できないリスクをがなくなる」=安全となるということです。
そこを基本として
日々の行動を考えてみる。職場を見渡してみる。なんとなくやっているKY活動をやってみる。
とまた一つ身近な「職場」や「現場」が安全になり、より安全が確保された社会が作られるのかもしれませんね。

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#安全#労働安全衛生法#リスク
#社会保険労務士

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