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東京のラーメン/魚介動物MIXラーメン5撰/麺屋 はし本

中野/麺屋 はし本

中野駅、午後三時。
昼飯を食いそびれたのだ。
そのへんの立ちそば屋や、適当な店に入って腹を満たすのも手の一つだろう。
でもその「適当に」ってのが少し気に食わない。
食うにも限りがあり、飯を食ったら腹一杯になる。
当然の話だ。
その一食はもう来ないのだ。
一食満腹にした分、「適当な」所に入って満たしてしまったら知り得る情報量も限られてくる。
卑しいってのはこういうことで。
現代の平和なここ日本で言えることであってそんな贅沢がましいことを非常時では言ってられないわけで。
でも、今は非常時ではない。
なるべくなら美味いモノを食べたい。

と、いうことで役に立つのが「通し営業」の店だ。
簡単な話「休憩時間」の無い店。
消費者からしてみたら非常に有り難い話だが、店側に立つならば中々出来る努力ではない。
だからこういった食いそびれた日に最大限活用させて貰うとする。
中野駅から徒歩10分弱点といったところだろうか?
中野サンプラザを越えた交差点の先にある。

午後三時ともあらば並びはおろか、店内に客の姿すら見当たらない。

「食券先買い」

そそくさと券売機を買い手渡すと早速調理に入ってくれる。

前にも何度か伺ったことはあるが、フレンドリーで良い接客をされる店主さん。

細かいところにまで気が行き届いているというか。
氷水のサーバーにちょいとレモンなんかが入ってるだけで嬉しくなるもんで。

と、いう間に店には二、三組のお客さんが。
この時間なのに流行るねえ。

などと考えていると━━━━早い。
もう湯切りの音が聞こえる。

特製辛味らー麺(辛味別皿)
¥1,050

いいビジュアルだ。
昼飯の時間を数時間ズレこませるだけでこんなにも腹が減るモノか。
空腹は最高の調味料ともいうがこの鰹の立った香り、堪らない。

おなじみ三河屋製麺の太いストレート麺だ。
食べ応えがある。
サラッとしていてクドくない濃厚動物系スープに鰹出汁の立った魚介のWスープだ。
そこにすこし、唇がペトペトする要素のコラーゲンを感じる。
鶏ガラと豚足かな。
動物系の旨味がかなりしっかりしている。
東池袋大勝軒の味を色濃く受け継ぎそれを渋谷は魚介豚骨の名店「はやし」方面に落とし込み真っ当に進化させている。
なんというのか、変化球や奇を衒うわけではない正統派の真面目な味だ。

この圧巻のロースチャーシューよ。
大判過ぎて写真にも入り切らない。
ただでかいんじゃなく、しっかりと煮込まれていて歯応えも残し、脂身をトリミングしてあるので食べやすい。
丁寧な仕事をしている。

やはり、この系統は山盛りメンマが象徴ともいえるだろう。
柔く煮込まれたメンマはスープにも味を残す。
これがなくてははじまらない。

そして特筆すべきはこの辛味だ。
何も言わなければ丼に一緒に盛られて出されるがこの辛味、かなり特徴的でしっかり辛いので最初からスープの印象を変えてしまうため別皿で注文するに限る。

「チリパディ」というマレーシアの小さめな唐辛子を使ってるそうで、サンバル、カレー、レンダン、肉骨茶に欠かせない強い辛味が特徴のスパイスだ。

これを使用した辛味は確かにしっかり辛くスープの旨味を引き立てるようだ。
店主さんが食い終わりに「辛味足りてましたか?」なんて聞くのもコミュニケーションの一環だろう。

通し営業で食える超正統派の進化系。
明るい接客としっかり辛い辛味。
正統なことをやり続けることの大切さを味わうことが出来る。

営業時間

11:30~20:00
土曜 11:00~17:00

※売り切れ次第終了

定休日

日曜、第3月曜

座席数

9席

備考

昼時ともなれば多少の行列が出来るが非常に回転が早いので余り長い待ち時間になることはないだろう。