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むじのこと

昨晩、あまり体調がよくなくて、早くから死んだように眠った。
充分に熟睡したのか明け方に目が覚めて、そのままウトウトしていると久々に夢をみた。

昨年11月にお別れしたハムスターの“むじ” が登場する夢だった。
目が覚めた時、夢か現かと迷うこと無く「ああ、もういないんだなぁ」と思った。
私が迷わなくてすむ、充分な時間が経ったから出てきてくれたんだな。
静かな朝だった。

大人になってもふとっちょにならず、ずっと運動が大好きでスリムで元気なアスリートのようだったむじは、体調を崩してからも数週間この世での生活を頑張っていた。

うちで飼っていた他のハムたちほど甘えん坊でもなかったので、触れ合う機会は多くはなかったけれど、体調を崩してあまり動けなくなってからは、抱っこされるのも温められるのも嫌がらず爪も立てずに身体を預けてくれた。

私たち飼い主のことを信頼はしてくれていたんだぁなというのがわかって嬉しかった。

少しずつ近づいてくるお別れのときを覚悟しながら、生きているあいだは少しでも苦しまずに安らかな毎日になるように、と思ってお世話していた。
飼い主のエゴだけれど、少しでも長く一緒に居たくてなるべく家で過ごした。

お別れした日は、不思議と朝からそんな予感がしていた。
仕事で外出しなければならず、祈るような気持ちで出掛けた。

帰ってきて抱き上げると、少し身じろいだ後、いつものように手の中で眠った。
好きなパンをちょっとだけ食べて、私の手の中でそのまま眠った姿でいってしまった。

あれから60日とすこし。
美味しいパンや野菜が手に入った時、パスタをゆでた時、「むじにもわけてあげよう」と残しておきたくなって、不在に気付く。
わずか体調15cmの小さな生き物の存在感。
寂しく哀しい。けれど、愛おしい。

PCで打った文字の変換時に「かなしい【悲しい・哀しい・愛しい】」が同義で出てきた。
そうなのか。

きっと一生愛しているんだろうなと思う。

日がのぼり、今日もネコとスズメが庭でにぎやかにしている。



(2015年1月24日の日記) ※閉じるブログに書いた日記をnoteに移動させました。

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