小俣 荘子

幼稚かなと躊躇して書かなかったことを書いてみたりしている。 誰のためでもなく、自分のための文章であるけれど、読んで欲しい気持ちもある。 しょうじきに書きたい。https://linktr.ee/omata_shoko

向こう側の景色

一緒に海を眺めていたら、言葉なんていらないのかもしれない。

平日の人影まばらなミュージアムカフェ。
義母とふたり、コーヒーを飲みながらふとそんなことを思った。

ガラスの向こうには、一面の海と大きな橋。
瀬戸内の海は、今日もおだやかだ。

「お母さん、その後体調はどうですか?」

そうたずねると、物静かな母は、ポツリポツリと自分の体のことを話し出す。

本州と四国をつなぐ瀬戸大橋の色はライトグレ

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眠れる森の雪

「真っ白な代々木公園って見たことある?」

明治神宮へと続く大通り沿いのフルーツパーラー。
私たちが座る窓際の席からは、振袖姿の女の子たちが行き交う様子が見える。
それを愛おしそうに眺める彼女に、そう問いかけられた。
年に一度、こうして会うときの義姉は少し饒舌だ。

「私が二十歳の年の大晦日ね、東京は大雪だったの。
私、そのころ渋谷のデパートでアルバイトをしていてね。31日も遅番でシフトが入ってて

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祈るカワウソくん

祈るカワウソくん。
先月から我が家に仲間入りした子。

羊毛フェルトで動物をモチーフに制作活動を行う作家、YOSHiNOBUさんの作品。(どの子もみんな素敵なんです→ @yoshinobu4690 )

カワウソは手先が器用。道具だって使える。観察してると何も持ってない時も手をこんな風に合わせてることがあるんだって。
人によって何してる姿に見えるかはきっと違う。(私が初めて会った時は「いただきまー

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美術館にまつわる、書き残し

美術館は、ある種の駆け込み寺だと思う。

私は別にアートに詳しいわけでも、歴史が特別好きなわけでもない。
だけど、心が求めるときがあるのだ。

あのすっきりとした空間が、すーっと心を落ち着かせてくれる。

「美術館にでかける」という一連の行為が、ひとつのセラピーになっているように思う。

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心身を病んで会社を休んでいた時、母がなんども美術館へ連れ出してくれた。
はじめはな

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むじのこと

昨晩、あまり体調がよくなくて、早くから死んだように眠った。
充分に熟睡したのか明け方に目が覚めて、そのままウトウトしていると久々に夢をみた。

昨年11月にお別れしたハムスターの“むじ” が登場する夢だった。
目が覚めた時、夢か現かと迷うこと無く「ああ、もういないんだなぁ」と思った。
私が迷わなくてすむ、充分な時間が経ったから出てきてくれたんだな。
静かな朝だった。

大人になってもふとっちょにな

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