聴けなかったバンド

今でもうっすらとは覚えている。

嫌な予感がしたあの夜のこと。
その予感が当たった日のこと。
精神的ダメージでご飯を食べても戻した夜のこと。
食べられなくなった3日間のこと。

それからの苦くて真っ黒に塗りつぶされた日々。

もう、4年も前のことなのに。
克服したと思ってはぶり返していた。

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私には聴けなかったバンドがある。
それは4年前、当時20歳の私に人生最大のダメージを与えた彼が「最近ハマってる」と言っていたバンドだったし。
その彼は後にそのバンドを教えてくれた女の子と長いこと付き合っていたことも知っている。

そのバンドはインディーズだったし、当時まだバンド好きでもなかった私は全く知らなかったので
真っ暗な世界に一人だけ取り残された気持ちだった。

YouTubeで探して、聴いてみたけれど
当時の私は今ほどバンド好きではなかったし
ジャニヲタ120%、メジャーなj‐pop聴くくらいの人間だったので好きになれそうですらなかった。

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実はでも、その彼と別れたことをきっかけに
色んな友達と遊ぶようになって
友達と行ったカラオケでたまたま聴いた
「夏のせい」にするあのバンド
にハマったのをきっかけにバンド好きの私があるのだが。

バンド好きになってからの私も、彼が好きだと言ったあのバンドをずーっと聴けないまま3年以上の時間が経っていた。
YouTubeで聴いたことはあったし、歌詞が真っ直ぐで
曲もバチバチのロックバンドというか、popというか、とても聴きやすいことも知っている。
というか、知っていた。
今考えると、「好きかも」を認めることすらも嫌だったのかもしれない。それだけは絶対に認めたくなかった気もする。

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果たして、いつ聴けるようになったのか。この文章を書き始めてからすごく思い出そうとしてるんだけど、一向に思い出せる気配がない。(笑)

去年、富士山が見える夏フェスに行くことを決めたとき、そのバンドの名前を見つけた。
ずーっと気になっていた、その名前を。

そのフェスに行くにあたって、何個か気になっていたバンドのCDをレンタルで借りた。
すごく迷って借りたそのバンドのCDは、別れてすぐYouTubeで聴いたことのある曲が収録されていて、思い出すようにかじりついて聴いた。

ただ、どんどん思い出せなくなるんだなと気がついた。かじりついて聴いても、当時の痛みはうっすらと思い出す程度で、痛むことはもうなかった。

それどころか、むしろめっちゃいい曲。

他に収録されていた曲も聴く。

めっちゃいい

フェスにいく、参戦する

めっちゃいい

結局、いいものはいいんだから、いいじゃないか。

そこからの私はそのバンドをよく聴くし、そのバンドから元気をもらうし、素直な気持ちで聴けるようにまでなっている。

大人になるって、素敵じゃない。

今回のJAPAN JAM2019
私の中で、一番グッと来たあのバンド
聴けるようになって、本当に良かった。

そして何よりも、
穏やかな気持ちで聴けるようになった今の
この環境をくれる全てに感謝を。

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