おまつ

社会人6年生。 惚気けたり分析したり考えたりする。

おまつ

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最近の記事

愛ゆえに

「私のすべてになんて気が付かなくていいから、大事なものを大事にしてほしかったよ。」 泣くのをこらえた鼻声で、彼女はぼそぼそとつぶやいた。 最後に、彼女が曇りのない表情を見せてくれたのはいつだったかなと一人で振り返る。綻びが見えたのは年末のこと。クリスマスイヴにわざわざ有休をとってまで会いに来て一緒に過ごした彼女を大泣きさせた。説得したつもりだったけど、結局僕の都合ばっかりで何も解決などしていなかった。年が明けてから何度か会いに来てくれたけど、結局僕は何も変わっていなかったし

    • それでも私は食べていく②

      【伝説のわらびのたたき】  ひいおばあちゃんが亡くなったのはもうずいぶんと前のことだけど、忘れられない味がある。娘であるおばあちゃんに聞いても、 「作り方、よく知らないのよね。私味になっちゃう。」と言っていた。孫であるお母さんにも聞いてみたけれど、 「味もうっすらとしか覚えてないし、直接は聞いたことないかも。」とまるで戦力にならなかった。  たぶん、私も数えるほどしか食べたことはないのだけど。ひいおばあちゃんが作ってくれた「わらびのたたき」は伝説だった。当時の私は今ほ

      • それでも私は食べていく①

        【彼女と唐揚げ定食】 人生で一度だけ、ご飯を食べられなくなったことがある。 正確に言うと、食べられなくなったのではなく、食べることをやめた。 無理やり食べてみたけれど、戻してしまうのが切なくて、やりきれなくて、食べることをやめた。生まれて初めて、二十歳の夏。  当時の私は塾講師のアルバイトをしていて、夏休み真っ盛りの超繁忙期だったのが救いだったかもしれない。唯一の栄養源は出勤前に寄るコンビニで買う栄養ドリンクだった。人間は思っている以上に食べなくても生きていけるんだなと思っ

        • クリスマスプレゼント

           先輩後輩をしていた時から7年という時間が経ったいま、この関係でいられることは奇跡以外のなんでもない。だからって、いろんな問題を見ないふりをして二人で生きていこうなんて世の中はそんなに甘くない。ちょっとずつ、関係性だって前に進まなきゃいけない。「好き」という感情だけでない、「生きていく」という関係づくりが必要になる年齢になっていたようだ。  「1年も経てばお互いの嫌なところだったり、分かり合えないところだったり、出てきて当然だし、そのうえで歩み寄っていくしかないわけでしょ。

        愛ゆえに

          タイトル未定

          久しぶりの電話で、先週の社員旅行の話を聞いた。写真を色々送ってくれながら、楽しい話を聞いていたのだけど。送られてきた写真の中には前から話では聞いていた、仲のいい友達だという年下の彼女とのツーショット写真が何枚か送られてきた。私はやっとの思いで笑いながら、「クリスマス、上乗せ決定ね。」とだけ告げた。 以前から彼の話の中には何度か登場していた彼女は、どうやら私と似ている部分もあって彼の仲良しのグループの中の一員らしい。みんなに愛される、いじられキャラでギャグセンスも高くて面白い

          タイトル未定

          1年分の話。

           1年という時間が経って、一緒にいられた時間はきっと全部足して1か月になるかどうかくらいだけれど。私自身の気持ちの持ち方とか、考え方とか、身の振り方とか…去年どんだけひどかったんだよ(笑)ってなるくらい「まとも」になったなと実感する。今のこの関係に戻れたことが私の人生にとっていい影響を及ぼしていることは言うまでもない。  1年前にスタートした私たちの交際は、実は2度目のスタートだった。4年半ぶり、2度目。前回のピリオドを打ったのは私で、今回のスタートを申し込んだのも私だ。「

          1年分の話。

          新しい共感のカタチ

          仕事も、生活リズムも、住んでいる場所も環境も、置かれている状況もそれぞれな私たちは「大変さ」に対する共感を求めることをやめた。 「大変さ」に共感を求めてしまうと、共感する側は「自分の方が大変だよな」と思ってしまうし(少なくとも私は思う)、それがきっかけでケンカに発展することも想定されうる。 私には私の、彼には彼の「大変さ」があって、前述の通り環境が違う以上、どちらかがより大変ということは比べようがないのだ。 そこで、私たちは相手の「大変さ」に着目するのではなく、それをして

          新しい共感のカタチ

          過保護な二人

          君は仕事柄あちこちへ行く。ある日は房総半島の端っこへ、ある日は富士山の山頂へ。 君から「無事帰ったよ」の連絡がきて胸をなでおろすのもようやく慣れてきた。 私のことを「幼稚園児だから心配」と君はよく言うけれど、私だって君のことは心配だ。 仕事はきっと君のことだからそつなくこなしているだろうなと思うけれど。 君はうっかり無理をしてしまうタイプだし、不摂生ばっかりだし(私が思うに)。今日はちゃんとご飯食べたかなとか、よく眠れたかなとか、気圧低いみたいだけど頭痛いの平気かなとか、床で

          過保護な二人

          いってらっしゃい

          「再来週、そっちで用事続くから週末から2泊3日を2回、中1日で帰るね〜」 と連絡が来たのは先週。 俺の出張が終わって帰ってきた日だ。 そこから行きたいところ、食べたい物のURLが次々と送られてきたのだった。  一緒にいる時間なんて、本当にあっという間で。彼女が行きたがっていた水族館、俺が行きたかったオムライス屋さん、たまたま通りすがったら「タピりたい!」と言うもんだから立ち寄ったタピオカ屋さん、急遽行くことにしたらスコアボロボロのボーリングも、「外食続いたから…」と俺の分

          いってらっしゃい

          友達以上恋人未満の話

          「恋人」という関係だったことは一度もない。 それに近い、それ未満の関係はずっとそうなのかもしれない。 こういうのをたぶん「友達以上、恋人未満」っていうんだと思う。 私のイメージだと、その言葉ってなんかもっとネガティブで未練たらたらであきらめの悪い感じだったんだけど。 でも彼はかなり私のことをわかってくれているし、なによりもこの人は彼氏でもないのに全部ばれる。隠し事をしようとも思わないけれど、大体のことは読まれている。逆もそうだ。 本心は言葉から捕まえられるし、話していれ

          友達以上恋人未満の話

          幼稚園児な彼女

          先に断りを入れておくが、もちろん彼女は幼稚園児ではない。 そんな犯罪臭がする話ではないということだ。 彼女を見るたび 「たぶん24時間365日ただ見てるだけでも楽しいだろうな」と思う。 「監視プレイ?」なんて聞かれたけれど、それも悪くないかもな。 大して広くもない部屋で走り回る、ばたばたとせわしなく動く、楽しくなるとすぐジャンプする、さみしがりですぐ泣くし、怒ったら機嫌が直るまで無視する、眠そうだなと思った30秒後には寝息が聞こえてくるし…並べていたら幼稚園児みたいな

          幼稚園児な彼女

          身だしなみの乱れは心の乱れ

          「「身だしなみの乱れは心の乱れ」なんて、そんな都合のいいことあるわけないじゃん。」と、思っていた。 【心の乱れは伝染する要素を持っていて学校の風紀が乱れる】 そうなると学校側としては非常に厄介だからそんなことを言っているんだろうなと解釈するような学生時代だった。 「心が乱れる」、とはどういうことなのだろうと考えたことはあるだろうか。 私はなんとなくぼんやりでしか捉えていなかったし、結局どういうことなのかはこの先の文章で初めて向き合って考えたことになる。 私が思うに、「心が

          身だしなみの乱れは心の乱れ

          昨日の成果品

          どうしても、仕事のやる気がないときもあるじゃないか。 2年目にして、そういうときがあることを仕方ないと思えるようになった。 やること・やれることはないのに有給がもったいなくて、帰りたいのに帰れない、職場で時間をつぶすだけの日もあるじゃないか。 2年目にして、そういう時は家でやらないことに全力で時間を使おうと思えるようになった。 webメディアとかを読み漁って知識や見識を広げようとしたり、調べたかったあれやこれや調べたりする時間に充てることにした。 いつも通り、そんなことをし

          昨日の成果品

          週に一度の

          ガラケーからスマホに移り変わって、ずいぶんと時がたったけれど、遠くにいる大切な人の声も映像もすぐに届けてくれるようになったことが一番の成果ではないかと思う。 すっかり当たり前になったことだけれど、タイミングさえ合えばいつだって声が聴けて、顔を見ることもできる現在のテクノロジーの素晴らしさを痛感する日々だ。 冷蔵庫を開けると、先週スーパーからスカウトした使いかけの食品が所狭しとその時を待っていた。 「レンチンで食べれるから食べちゃってね」 ってあれほど言ったのに。 TKGと

          週に一度の

          聴けなかったバンド

          今でもうっすらとは覚えている。 嫌な予感がしたあの夜のこと。 その予感が当たった日のこと。 精神的ダメージでご飯を食べても戻した夜のこと。 食べられなくなった3日間のこと。 それからの苦くて真っ黒に塗りつぶされた日々。 もう、4年も前のことなのに。 克服したと思ってはぶり返していた。 +++++++++++++++++++++++++++++++++++ 私には聴けなかったバンドがある。 それは4年前、当時20歳の私に人生最大のダメージを与えた彼が「最近ハマってる」

          聴けなかったバンド

          雪国のおもいやり

          こんばんは。相当久しぶりの投稿になってしまいました。かよすけです。 今季最大の寒波で全国的に雪に見舞われたこの冬。私の住む北国も当然のごとく大雪に見舞われました。 車を運転する方はわかるかと思うのですが雪が降って怖いのは車がハマってしまうことです。前に進もうにも後ろに退こうとも車が動かない 「だれか、助けてくれえええええええ!!!!」 まさにそんな状況になるのです。 つい先日、それこそ大雪の日にバイトに向かうために裏道を歩いていたら見慣れたタクシーが道端でハマって運

          雪国のおもいやり