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「就労選択支援」についてアップデート-第42回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」より-

第42回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」で、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定に向けて(就労選択支援、障害児支援)の資料がUPされておりました!!!

今回は、就労選択支援について資料を見た上での私の解釈と感想をまとめたいと思います。

はじめに

就労選択支援の施行日(案):令和7年10月1日です。
支援対象者(案):就労移行支援又は就労継続支援を利用する意向を有する者及び現に就労移行支援又は就労継続支援を利用している者
などなど、具体的な枠組みができ始めています。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

また、就労選択支援の目的や利用方法へのイメージも概要ですがわかってきました。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫
厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫
厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

【論点1】就労選択支援の対象者について①、②

この図を見ると、就労継続支援B型を希望する障害のある方を対象に就労選択支援を活用していただき、本人のニーズに沿った就労形態になっているかどうか、就労アセスメントを通して把握していく流れになっていくのだろうと想像した。
福祉的就労から一般就労への移行を積極的に推し進めていく中で、このスライドの様に「一般就労等の可能性が向上したにもかかわらず、就労継続支援の利用を続けているとの指摘がある。」とあるが、もちろん事業所で訓練を受けながら就労を行っていきたいというニーズがある場合は、一般就労を推し進める必要はないと思うが、情報提供を行い選択肢を提示していくことは必要だと考えられる。また、支援員と利用者という権力構造から、自身のニーズを表出することが難しいという場合も考えられる、就労選択支援を導入する際は、そのようなことも踏まえて慎重に本人の選択を尊重するようなヒアリングと、サポートが必要だと考えられる。この辺りは、今後の課題になってきそうな気もする。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫
厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫
厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

【論点2】特別支援学校における取扱いについて

またこちらは、「特別支援学校における取扱いについて」早い段階から、就職に向けたイメージをつけてもらうことと、職業体験を通して本人が具体的に働きたい職種などのアセスメントを行い、福祉サービスもしくは就職(ここに進学は入らないかな?)の選択を本人の意向をもとにコーディネートしていく役割になっていくのだろう。学校にいながら、就労選択支援が入り職業選択のニーズを把握し情報提供を行なっていくことはとてもいいことだと思う。卒業後の支援についても継続して行ってくれるのならば尚よしである。例えば、卒業後にB型利用に繋がったとしても、本人が「短時間雇用で就職をしてみたい」と言った場合、就労アセスメントを取り直し、新たな就労先発掘に向けたコーディネート(ハローワークや企業などのつなぎ)をしてくれるのは、心強いと思う。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

【論点3】他機関が実施した同様のアセスメントの取扱いについて

さまざまな機関でアセスメントと称して何度も同じ話をしなければならない当事者の負担は考えなければならないが、本人の知らないところで支援員同士でアセスメント共有をされていることは本人と支援員との信頼関係の崩壊につながる可能性がある。必ず、本人にも承諾を得た上で共有はすべきである。また、事業所によってはアセスメントの形式が異なるため、就労選択支援においてどの様な内容がアセスメントとして必要かどうかが明確になっていると良い。連携を行う機会を増やして、それぞれの機関が共通認識を持って本人のニーズに沿った就労選択支援を行えることが一番良いのではないか。会議を行うにあたり、役割分担がしっかりできずどのサポータが主軸になって就労支援を行うのかわからなくなる場合もあるので、就労選択支援員がうまく全体をまとめ上げていけることが理想である。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

【論点4】実施主体の要件について

これは、就労系福祉サービス機関か就業・生活支援センター、就労支援センター、障害者職業センターになるのではないか。就労系福祉サービス事業所でもいいと思うが、同じ法人内で就労選択支援サービスを行うということがどうか、についてはさらに議論が必要だと思う。
メリット:情報共有がしやすく、本人の生活支援も行っている法人だと、生活支援から就労支援まで幅広くサポートすることができる。
デメリット:法人内の意見が通りやすく、外部の情報が限られてしまうことが可能性として考えられないか。
ただ、上記は予測なので、これから話し合いが進められるのだと思う。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

【論点5】中立性の確保について

上記【論点4】でも懸念で上がりそうなことを、あらかじめ想定し禁止していく流れになるか。枠組みを事前に決めておくことは大事。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

【論点6】従事者の人員配置・要件について①、②

「就労選択支援員」という新しい役割が生まれそう。サビ管配置はいらないのか???どうなるんだろう。まだわかりませんね。
でも同じ法人内で就労選択支援員と就労支援員を兼務した場合、行う支援ってなにか変わるのかな?よくわからない。連携や外部の情報が増えるとか?ちょっとイメージつかないので、そこはちょっと見守りで。
「就労選択支援員」を誰でも担えるのではなく、一定の研修を受講することは大事。ただその研究自体が、「就労選択支援」の専門性を補填する様な内容になっているかどうかはわからない。そもそも「就労選択支援」の専門性なんて誰も知らない。今後サービスをやってきながら、「就労選択支援の専門性とは」みたいな問いが生まれ、研究されていくのではと想像する。
個人的には、専門性がよくわからないままサービスが進められるのはちょっとどうかな、とも思う。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫
厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

【論点7】計画相談事業との連携・役割分担について

ここらへんは、このスライドを見てもパッとわからなかったなー。計画相談の方が優位?になるのかな?随時就労選択支援は計画相談と連携した方がいいのかなーとか。イメージがつかなかったな。計画相談ただでさえ忙しいのに、そんなことやってくれるかな?

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

【論点8】就労選択支援の報酬体系について

どうやって単価だしていくかなー?利用日ごとに算出の場合は、移行や継続支援事業所など収益性が見込めるかもしれない。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

【論点9】支給決定期間について

1ヶ月を原則として、本人の就労のアセスメントを把握していく。期間についてはどの程度が妥当かどうかは明らかになっていないので、横に置いておいて、1ヶ月を通してどのような状態になっていることを目指すのか、「就労選択支援」を行う上での目標があるといいよね。
信頼関係を構築していくことを考えると、1ヶ月って少し短い気もするし、就労へのニーズって情報が増えていけばいくほど、変わっていく可能性があるから、意外と期間で縛ることはシビアになるかもしれないなとも思ったりする。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 就労選択支援に係る報酬・基準について≪論点等≫

まとめ

「就労選択支援」やはり、まだまだよくわからないなー。福祉的就労から一般就労への移行を目的に創設されることは理解できたけど、中身がどのようになっていくんだろう。就労系サービスが利用者の可能性を狭めている?だから、就労をコーディネートする第三者が必要だよね!という話し合いから生まれているのかな。どうなんだろう。
一般就労に向けて大事なことって、本人の選択に沿ったサービスを提供・提案していくことももちろん大事だけれども、そもそも選択肢が少ない状況に置かれている場合があるから、受け入れる側(雇用先)の開拓がとても重要な気がするんだよなー。こういうの役割のことを「ジョブディベロッパー」というけど、そういう役割ではなさそうだよなー。
障害のある方も「働きたい」と思ったら、さまざまな選択の中で働く場所の選択や就職活動へのチャレンジする社会であることを願っているし、そうなる必要があると思うから、「就労選択支援」がそのような社会へインパクトを起こすようなものであるといいなと思う。

今回の内容とは関係ないけど、やっぱり一度立ち止まってさ、就労系福祉サービスが障害のある方の福祉と雇用にどのようなインパクトをもたらしているのかを、ミクロ・メゾ・マクロの視点でまとめていけたらいいなと思う。というかいつかまとめたい!


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