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炎上をワードクラウドにして考えてみる

チック症のタカハシさん、みなさんご存知でしょうか?
2年前に投稿された動画は一時期話題になり、あなたのYoutubeのおすすめ欄にも流れてきているかもしれません。わたしもタカハシさんを知ったのはこの時期でした。それから現在まで、不定期?で動画を更新しています。

そのタカハシさんが現在(2024-03-28 18:00)炎上をしてしまっています。X(旧Twitter)で発言したことが問題となっているようです。炎上に至った経緯は下で詳しく辿りますが、「健常者と障害者の認識の違い」が核心のようです。


このnoteでは、タカハシさんがどういう経緯で炎上し、Xで返信をしている人たちはどんな考えを持って火を噴かせているのか考察します。
わたしはXのみなさんと違ってできるだけ多くの人を擁護して解決したい人間なので、アツい言い争いでこの記事に来ていただいた方は下のリンクからどうぞ。

https://twitter.com/



炎上 あらすじ

わたしが理解した、見た範囲で説明します。このnoteに載っていない背景がありましたら教えていただけると幸いです。

※筆者はチック症、汚言症を持っていないため、本人目線で紹介はできません。以下の文章は、できる限り中立的な立場から説明しようとしていますが、筆者は多数派視点であることをご理解ください。
しかし、わたしも少数派を見捨てることができない性格なので、このnoteで汚言症、チック症などのやさしい理解が広まることをまた一つの目的としています。

「チック症」「トゥレット症」「汚言症」には明確な違いがありますが、ここではあまり違いに意味は持たないので気にしないで大丈夫です。それぞれを使い分けているのは、診断名が異なるためです。


汚言症のゲーム実況者

3月20日に、この動画がYoutubeに投稿されました。投稿者は日本財団で、3月31日時点で200万再生を超えており、このチャンネルの登録者や最近の動画と比較して段違いに伸びています。20分ほどのドキュメンタリーで、汚言症の日常がリアルに映っています。ぜひともご覧ください。
(通信費がかかるので、読み終わってWi-Fiがある環境になってからでも大丈夫です。見なくても、続きのnoteは読めます。)


小田中太一さんは『初恋さん』というハンドルネームでインターネットで活動をしています。汚言症を社会に広めることを目的としているようです。汚言症を隠さず配信を行っています。

太一さんは汚言症を持っていて”卑猥な発言や人を傷付けてしまう発言”をします。
わたしの知識で説明すると、その行動は汚言症由来なので、その言葉には「言葉のそのままの意味」はありません。そう思ったから言ってしまうのではなく、言わないとストレスがかかってしまうから言ってしまう、のようなものです(当事者の話では、健常者でいうくしゃみと似たものだそう)。

しかし、汚言症を知らない、初めて見た人からすると衝撃があると思います。とあるインフルエンサーが、そこにコンテンツ性を感じ、この動画を切り抜いたものをTwitterに投稿しました。
すると、たちまち話題になりチック症への認知が広まりました。でも、やはりみんながみんな同じ受け取り方をすることは無く、誤った(きびしい)考え方も一部ではありました。

そこで、同じチック症を持つタカハシさんが正しい(やさしい)知識や理解の仕方を広めようと出てきたというわけです。


同じトゥレット症として解説

元ポストはコミュニティノートが付けられ補足されていますが、あまり良いものとは言い切れないのでここでは引用しません。(探して見るのは自由ですが、見るならば支持せず否定せず「あーこんな考え方の人もいるんだな」程度をオススメします。)
元ポストに「チック症って人を選ぶのかな?」の疑問を持ったユーザーが引用でその疑問を載せたものを、タカハシさんが引用で解説したのが最初です。解答を要約したものが以下になります。

女性に嫌われたくないと思っている。けど、そう思うほど嫌われる行動をしてしまう。優先順位の低い人には症状は出ない。
同じく本当にヤバい相手には症状は出ない。僕の場合は、適度な緊張感があるのは症状を抑えるのに効果がある。

チック症のタカハシさんポスト032613131330

この文章をいま読んだとき、あなたはどう感じましたか?
(わたしは色々考えすぎて自分の意見が出てこなくなりました🥲)

このツイートの返信は、初めてチック症を見た人が大勢いました。わたしが見たときに刺さったのは「人を選んでいる」「便利だね」などでした。たしかに、そう受け取れます。

「みんなヤバい相手だと思っていればいいじゃん」などの安易な解決案もありましたが、それで解決できていれば太一さんもタカハシさんもこんなインフルエンサーになっていないです。そんなんで解決できていたらよいのですがね。

補足しておくと、タカハシさんは自身のチックについて色々と試しており、自分なりの見解を持っている人です。チック症自体、医学のほうでも明確な原因がわかっておらず、いまは様々な見解が存在しています。チックは不随意運動(自分の意識とは関係なく起こるもの)ですが、タカハシさんの場合はまわりに影響されるものもあると考えているということです。これが太一さんにも同じことを言い切れるとはわかりません。


発散方法

「声が出るならマスクを付ければいいじゃない」というベルサイユみたいなアイデアも飛んできました。でも、タカハシさんはこれを既に試していて、「上手く発散されなくて逆にストレスになる」という結果だったそうです。

少しきつい言い方になりますが、チック症自体を知らなかった人たちにとって、チック症の概要を少し知るとこのような考え方になりがちです。問題とも言える行動が起きてしまう障害であるため、多数派になるためには「我慢する」「隠す」などのアイデアが思いつくと思います。しかし、チック症の知識をここからさらに学びこの行動が起きる原因を知ると、また違った考え方になるはずです。

この辺りから、同じ人間に向かって言っているとは思えないほどの差別的な扱いや発言をする人たちが増えてきました。


「間違っていない」

炎上し批判の声が大きくなるにつれて、タカハシさんの意見を支持する声が聞こえにくくなっていました。そのとき、タカハシさんの友人がLINEで励ましのメッセージを送ってくださったそうです。

ここまでなら何ら問題の無い状況でしたが、批判する人の目がタカハシさんを睨み付けているこの状況だったのが良くなかったですね。SNSの反応は「たかが友人一人に励まされたくらいで自分の意見を正しいと言い切るな」でした。普段なら何気ないポストの一つでしたが、批判の目がこちらを向いていた以上、炎上するのは避けられませんでした。

たしかに炎上はしていましたが、果たして本当に批判の意見のほうが多かったのでしょうか。本当に支持する考え方を持っている人は間違っているのでしょうか。


謝罪動画

炎上のとりまとめがつかなくなってきたので、Youtuberであるタカハシさんは自身のチャンネルに謝罪の動画を投稿し、Twitterで共有しました。5分ほどの動画で、スーツを着て話をしているものです。サムネイルだけ見ると真面目な謝罪動画なのですが、動画はいつものタカハシさんでした(笑)

内容についてですが、これまでの炎上の経緯やポストの背景など、きちんと説明されていました。わたしはこの動画で「なるほどな」となりました。

しかし、批判の目のみなさんが持った感想は、そこではありませんでした。

この動画のタイトルに(広告なしです)と書いてありますね。この文章は投稿された当初はついていなかったのですが、この動画が炎上してしまったので後から付けられました。

なぜかというと、謝罪の動画なのに広告がついていたからです。「ふつう、謝ることで収益なんてもらいませんよね?こんなことしてまで稼ぎたい(炎上商法)んですか?」ということです。
でも、タカハシさんは広告をつけていない設定にしているそうです。つまりは、広告が流れるのはYoutubeの仕様であってタカハシさんの収益になるためではないのです。(ほんと、最近広告多くなりましたよね。しかも長いしスキップできないし。)

それでも謝罪で再生数が伸びるのは間違いないので、もっと別の謝罪方法があるだろうという批判もありました。それでタカハシさんが取った行動は文章にして謝罪する、でした。このnoteの最後の章で紹介してあります。



Xのみんなの反応ワードクラウド

さて、それではSNSの具体的な声を見てみます。

ワードクラウドを初めて聞いた方に向けて、作り方を説明します。
1.あるテキストファイルの中身を単語ごとに分析する。
2.単語の出現回数をカウントする。
3.文章の傾向をつかむのに不要なワード(接続詞などの品詞で判定)を消す。
4.1枚の画像に単語を表示する。このとき、出現回数が多い単語はサイズが大きくなる。

以下が、今回作成したワードクラウドの詳細です。
範囲:2024-03-28 18:00まで
対象:タカハシさんの動画引用リポスト、動画リプライ、その他炎上したポストの引用リポスト、リプライの4種
方法:内容をコピーし.txtファイル化、プログラミングで処理

そうしてできたものがこちらになります。


ワードクラウド① takahasi_dougarp

タカハシさんの『チックの症状が酷い日にイオンに行ってみた』の動画についたリプライ(返信)です。
素材が少ない(850文字)ので、あまり傾向は見つけられませんね。中身を見てみると、質問が多いことがわかります。「?」が8回出ています。


ワードクラウド② takahasi_dougart

タカハシさんのワードクラウド①と同じ動画についていた引用リポストです。
いろいろな意見が見られますね。「いる」「できる」「出る」が多いようです。一回り小さいものには「怖い」「不快」「理解」「分かる」が多いように見られます。

中身を見てみましょう。内容は要約してあります。(~をつけているせいでふんわりしちゃいました。)

「いる」
会社に勤めている人で~
なんで症状酷い時にって言っている人いるけど知ってもらうため~
変な人がいると思って放っといてほしい~
知らない人たくさんいると思う~

「出る」
基地外は家から外出るなw
わざわざ(外)出るのなんで。~
家から出るなって言っている人は生活費出して。~
言葉が出るトゥレット症辛い。~

「怖い」
周りにいたら怖い。~
初めてあったら怖い。~
知っているけどめちゃくちゃ怖いんよな。~
こっちが怖い思いしないといけないのなぜ。~

「理解」
理解してもらえず、苦しみました。~
自分は理解があるつもり。~
理解が広まってくれるといいな。~
理解したいけど不快で身構える。~

などでした。引用の数が多いと炎上しているように見えますが、チック症をまっすぐ受け取ってくれる引用が多いようなイメージがありました。


ワードクラウド③ takahasi_rp2

タカハシさんのその他炎上したポストについていたリプライです。
元テキストの文字数は12000を超えています。かなり傾向が出てきたのではないでしょうか。「チック」が最も大きく、「気持ち」「傷つく」「分かる」が目立ちますね。

「気持ち」
お気持ち伝わりました。
障害を押し付けないで欲しい気持ちを~。
ごめんなさいって気持ちを持ってほしい。~
相手にばかり理解してほしい気持ちを求める~。

「傷つく」
傷つく人が結構いる。~
いきなり暴言はかれたら傷つく~。
傷つく人の意見を~。
結果は傷つくになる。~

「分かる」
病気と分かるようにして。~
直近の投稿見れば分かるけど。~
病気と分かるなら説明した方が良い。~

チック症にある程度の認知はありつつも、チック症を知らない多数派が見たときの視点について指摘をするものが多い印象でした。いきなり暴言を自分に向けて言われたとしたら驚きます。相手にどんな背景があるにしても、道ですれ違う人全員を一瞬見ただけでどんな人かわかるはずはありませんから。


ワードクラウド④ takahasi_rt2

最後に引用リツイートについていたものです。
このファイルは18000文字ととても大きなものになっているので、色々な考えが見られます。「人」が最も大きく、「女性」「できる」「他人」「炎上」などが特徴的でしょうか。

「女性」
自分より弱そうな女性を~。
女性のほうに矛先を向けたまま。~
男性から女性に暴言をはかれる恐怖は~。
暴言いわれて平気でいられる女性はいない。~

「できる」
スルーできる人ばかりではない。~
通りすがりにいきなり判断できると思っている。~
我慢できる~。
悪意の選別ができるの?~

「炎上」
わざと炎上してYoutubeに~。
度を超えた表現してるから炎上してるの~。
何故か炎上とか、病気とか以前に~。
炎上商法。

炎上真っ盛りについた引用なので、やはり表現が少し過激なものが多く見られます。支持よりも批判する声のほうが多いですね。自分が見たときの感想というより、もしもこれだけを見た人がいたらどんな感想を持つのかの視点を持つ人もありました。

全てを纏めることはできませんでしたが、40000文字を超えるみなさんの反応をワードクラウドにしてみました。ここから、どんな視点でどんな考え方をしたのかを考察していきます。理解派理解していない人から派薪をくべる派の3つに分けました。


理解派

チック症に理解を示している人たちです。前から知っていた人、当事者、今回の件で新たに知った人がいます。タカハシさんの発信を受け取り、自分なりの意見を返していました。

返信欄ではどういう理由で行動が起きているのかやどういう対処法をしたら良いのかなどの疑問が多くありました。タカハシさんも、それに返信や引用で回答しているものもあります。

理解とはいえども、それでも怖いや逃げたいという反応を見せた人もいました。これは引用に多いです。チック症の人たちが見れば悲しいものではあるかもしれませんが、チック症を理解し危ない人ではないと言っても受け取り方は人それぞれですので、理解が広まった結果の一つと言えるでしょう。


理解していない人から派

たぶん、この派閥の人たちもチック症には理解があると思われます。感想を述べるときの視点が「チック症を知らない人たち」であるということです。太一さんのドキュメンタリーを見て、もしもこんな人にまちなかで出会ったら…このドキュメンタリーに映り込んでいたあの人たちはどんなことを思っているのか…を発信していました。

突然見ず知らずの人から暴言を言われたら驚きます。暴言でなくとも、大声を出していたら気になります。わたしたちは理解をしたけれど、こういう人たちが社会にはいるんだよというのを伝えたいようです。


薪をくべる派

炎上しているのをたまたま見かけて、一緒になって批判をしていた人たちです。エンジョイだったと考えられます。特に引用で「外に出るな」「社会はそんな優しくない」など、ここでは表現できないような人権とは?のような発信がありました。

タカハシさんの全ての発信に批判をしていたので(視点が広がるのもまた一つ有益ではありますが)共感は一つもしていませんでした。反応を纏めているとき、アカウントもだんだん見覚えがあるものになってきました。


おわりとおわりに

タカハシさん

タカハシさんはいったんSNSの活動を止めて、炎上が落ち着いた3月31日に改めて謝罪の文章を載せました。

さすがに3日たち、炎上の炎を見に来た(薪をくべた)人たちはいなくなっていました。このポストの返信欄には、タカハシさんを擁護する意見がたくさんありました。


太一さん(汚言症のゲーム実況者)さんの裏垢?

2015年ごろに使用していたと考えられるTwitterアカウントが発見された、というネットニュースが流れました。どのようなツイートがしてあったのかというと、汚言症がそのまま文字に出ているかのようです。
「でも汚言症って、文字に書くほどに我慢できないものではないですよね?そしたらあのドキュメンタリーも噓ってことですよね?」と一部で炎上していました。(そのあと、わりと一瞬で落ち着きました)

わたしにもはっきりとした事実はわかりませんが、わかっている背景情報を並べます。
・太一さんは汚言症である
・発見されたTwitterアカウントは2015年頃のものである
・このアカウントは高校生あたりの頃に使われていた
・ドキュメンタリーによると、汚言症(トゥレット症)は小さな頃からあるものである

いかがでしょうか。この情報から汚言症が噓であること、それを判断する材料は足りていないはずです。


タカハシさん流、チック症の人がいたときどうしたらいいのか

キーワードは「温かい無視」「慈悲の心」です。
なかなか理解が難しい感覚なので、できるだけわかりやすく嚙み砕いて説明してみます。タカハシさんの考え方とインターネットの声、それをわたしの文章で表現します。もしも当事者の方や理解のある方でわたしの表現がダメなものだと思う方がいらっしゃいましたら、遠慮なくご連絡ください。

最近は発達障害の認識が浸透してきて、ADHDやASDやLDと言われたらどんな傾向があるのかパッと思い浮かぶのではないでしょうか。タスクを小さく分けるや、単純作業にするなど、その人の個性に合わせて仕事を与えるなどがありますね。

この考え方は障害を持っていない人でもどんな人でも応用が効くので、障害を持った人にもできるだけみんなと同じように対応することができます。

でもチック症も発達障害の一つではありますが、どうしたらよいのでしょうか。ここで出てくるのが「温かい無視」です。なぜこの対応をしてほしいのか、いくつか理由があります。

まずタカハシさんを始めチック症の知識がある人たちの1つの見解として、「チックの症状に反応をしないと落ち着きがち」というものがあります。もちろん、全員に効果があるものでもありませんし、無視をしても改善されないこともあります。

そして、チックを出している側に視点を向けてみると、無視をされることで社会に馴染めているようになれます。チックの症状がある自分は自分からしてみれば普通ですが、それは多数派ではありません。チック症を持っていない人(社会)に出ると、浮きます。でも、多数派のみんながその人を心で受け入れることによって、社会から否定されない存在になれることができます。

でもそんなに心を広くしていて、いざ犯罪者と巡り会ってしまったらという恐怖(本能?)がありますよね。ここはわたしの意見ですが、その感情は否定しなくて大丈夫です。人それぞれの価値観があるので、こういう見た目や仕草の人は怖いと思っていて良いです。

しかし、このnoteで一番伝えたいのはチック症という障害を持っている人がいるということです。あなたの「ふつう」の枠をちょっと広げて、一人でも多くの人が受け入れられ活躍できる社会になることを願っています。


最後まで読んでくださりありがとうございました。
4月2日の世界自閉症啓発デー
2日~8日の発達障害啓発週間に寄せて。