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イヤリングのはなし

わたしはピアスを開けていない。

開けていない理由は、人に聞かれたとき答える用の「開けるの怖い、痛そうだもん」という理由と、自分の中に植え込まれた「身体に穴を開けたくない」という、正直どうでもいいような信念の2つだ。( 実は結構厳しい親の元で育ったので、親からも止められている。ただこれに関しては、自分のことを親に決められたくないし、その権利は親にはないと思っているので、理由としては成り立たないことにしている )

でも、だからといって耳になにかを付けるのは嫌いではなくて、ショートヘアというのもあるのだけれど、少し目立つイヤリングをよく付ける。でも、どうやらわたしはイヤリングととことん相性がよくないようなのだ。

わたしはこの相性の悪さを
「高いイヤリングほど仲良くなれない説」
と、呼んでいる。

イヤリングやピアスを買ったことがある人ならわかると思うが、お店や、素材などによって、値段の差が非常に大きい。わたしも安いものだと300円くらいのものから、高くて2000円くらいまでのイヤリングを持っている。

初めて少し高いイヤリングを買ったのは、地元の友だちと出かけたときだった。友だちはピアスを買って、わたしはお揃いのイヤリングを買った。くすんだゴールド色で、三角で少し大きめのそのイヤリングは、作りもしっかりしていて、デザインも気に入っていた。
自転車で大学に通っているわたしは、あるとき興味本位でいつもと違う道を通って帰ることにした。知り合いの先輩から「いちばん速く帰ることができる道」と聞いていた道だった。行ってみて、なるほどと思った。ありえないくらいの急な下り坂。どうしてもスピードが出てしまうくせに、山道だからガタガタしていて、確かに速いけれど、まるでジェットコースターだった。坂道を下りきって、ほっと一息ついたとき、ふと耳元が軽いことに気づいた。イヤリングが片方無くなっていた。

次に、これもまた友だちと遊びに行ったときに偶然みつけた、シルバーのイヤリングがある。少し高かったけれど、やっぱりデザインが気に入って買うことにした。
遅刻しそうになりながら、慌ててこのイヤリングを手に取ったある日、イヤリングが手から滑り落ちた。床に落ちたイヤリングは、パーツが分解して、壊れていた。なんとかペンチを使って直したけれど、それからまた2回落として壊れ、3回目でパーツを無くした。

3度目の正直!と思い、この間買ったイヤリングがある。かわいい洋服屋に売っていたもので、たくさんのデザインの中からあれこれ迷って買ったものだった。
ウキウキしながら家に帰って、早速袋から出してみると、片耳の留め具部分が壊れていて、耳に固定できなかった。お店に「不良品です」と交換しに行ってもよかったのだけれど、なんだか気分が乗らなくてやめた。諦めたと言った方が、わたしの気持ちには近いかもしれない。

結局ずっと愛用しているイヤリングは、300円前後で買った安いものばかり。それも可愛いからなんでもいいのだけれど、やっぱりなんとなくやるせない気持ちになる。そしてまた高いイヤリングを買ってしまう。

ネットショッピングのサイトを見ていたら、また可愛いイヤリングを見つけてしまった。

高かった。

#エッセイ #イヤリング #自己紹介

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