じゅん奥様ストーリー【3】
3:
駅前は、雨でもそれなりに混んでいた。
雨に降られない場所から行き交う傘を見続ける。スマホを見ても目が泳ぎ、そわそわとして落ち着けない。
シャワーを浴びて、歯を磨いて、ちょっといい服着てみたり……。
90分、即尺コース。
この響きだけで、想像と期待はばっちりだ。
「すみません、松本さんですか?」
声のかかった方を見ると、写真以上に綺麗な女性が立っていた。
彼女が、じゅんさん。
自然でいるつもりが、年甲斐なく照れが出てしまう。
「や……どうも、はじめまして。その、写真より綺麗でびっくりしました」
「え! 嬉しいです……! 今日はよろしくお願いしますね」
「はい。はは……」
落ち着いた雰囲気だが、こぼれる笑顔にハッとする。出会って数分でときめいてしまう。
(今日は呼んでよかった。会えてよかった……!)
さらに脳内にとびかうのは、“得意プレイ:色々教えてください”という一文。勝手に男のロマンが顔を出す。鼻の下も伸びて当然だ。
ふわりと良い香りが鼻に届いた。小さな感動を噛み締める。
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