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ゆず奥様ストーリー【3】


「ごめんなさい。ちょっとはしゃぎすぎちゃった……」
 向かう方向を正したゆずさんは、気恥ずかしそうにそう告げて来る。
 サイトの説明に「天然系」だとか「アホっぽい」みたいなことを書かれていただけはあった。
 でもそれがマイナスには感じない。
 むしろその隙のある感じがとても愛おしく感じられるというか、変な話だけど緊張が解れた気がする。
(まさかそれも全て計算の上で……!? ……って、さすがにないよなぁ)
 確かに天然な感じはするけれど、本当の意味で馬鹿な感じはしない。
 逆に、計算高い可能性はあるけれど、そんな風にも思えない。
 僕の緊張が解けたというのは事実で、それが全てだ。
「夢中になると、集中しちゃうって書いてありましたもんね」
 そうフォローを入れると、ゆずさんはこくりと頷く。
「そうなんです。見てくれたんですねぇ。ありがとうございます♡」
 にこやかな笑顔でそうお礼を言ってくれる。
 情報を見るのなんて当たり前のことではあるけれど、褒められて悪い気はしない。
 もしこれがゆずさんの術中なのだとすれば、喜んで受け入れよう。
 ホテルに向かう道すがら、僕は緊張することなく、ゆずさんと楽しい雑談を交わすことが出来た。
 
 

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