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競技別ではないスポーツファンの誕生とテレビのはたす役割

 準決勝を終えたラグビーW杯。日本に「にわかラグビーファン」を大量に発生させたとされるが、では、にわかファン、にわかではない熱心なラグビー愛好家はそれぞれ、他のスポーツに普段、どれほど関心を寄せているか。

 日本ではスポーツファンとはあまり言われない。ラグビーファン、野球ファン、サッカーファン、バスケファン、相撲ファン、ゴルフファン等々、ファンを競技別で括り、細分化しようとする。

 僕の場合ならサッカーファンにカテゴライズされそうだが、サッカーしか関心が抱けないサッカーオンリーのファンではまったくない。秩父宮は近所なので、ラグビー観戦にも時々、ふらっと散歩気分で出かける。旅行がてら香港で7人制ラグビーの大会を観戦したこともある。

 サッカーは野球より後発だ。ラグビーに対しても1993年にJリーグが発足するまで旗色は悪かった。つまりサッカーファンは野球ファン、ラグビーファンより、もともと他の競技のファンであった可能性が高いのだ。サッカーファン兼野球ファンは多いはずだし、サッカーファン兼ラグビーファンも少なくないと思う。

 サッカーファンと言われると、範囲を勝手に狭められたようで居心地が悪いのである。それ以外は関心ないんですねと決めつけられた気分だ。僕がスポーツライターと言い続けている理由でもある。実際、サッカー以外の原稿も、これまで山のように書いてきたわけだが、こう言ってはなんだが、サッカーの魅力、特異性は、サッカー以外の競技を取材することによって初めて浮き彫りになる。本来、相対的に語られるべきものであるはずなのだ。

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