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身体の硬いロマーリオのプレーがなぜ柔らかく見えるか。サッカーらしさを象徴する案件だ

 動きの柔らかい選手といわれて、いの一番に想起する選手はロマーリオだ。吸い付くようなトラップ。胸トラップからの反転ターン。身体を傾け、片足立ちになりながら放つボレーシュート等々、ネコ科の動物を連想させる、まさに人間離れした身のこなしに目は釘付けにさせられたものだ。


 1995年バルセロナからブラジルのフラメンゴへ突然、戻ったロマーリオを追いかけて、現地を訪れた時のことだった。スタンド下のとある片隅で、ロマーリオがトレーナーの手を借りて、柔軟体操を行っていた。直ぐにロマーリオだと判明したわけではない。この選手、もしかしてロマーリオ? と近づき、確信を得るまで少々、間が空くことになった。


 身体は滅茶苦茶柔らかいものと想像していた。トレーナーが背中を押せば、上体はその開脚した体勢から、べったり地面に付くものと思い込んでいた。トレーナーが力一杯押しても、20〜30センチ手前でうんうん言いながら止まっているその姿に、ロマーリオを直ちにイメージできなかった。


 動きの柔らかさは、身体の柔軟性とどれほど関係するか。この件に関しては、以前から引っかかりを感じていた。日本代表戦やJリーグの試合前、ピッチでウォーミングアップする選手を見て抱いた素朴な疑問だった。巧いのに硬い選手は少なくなかったからだ。

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