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これぞガラパゴス。なぜJリーグに攻撃的な3バックは存在しないのか

 日本サッカーは2000年代に入ると3バックを敷くチームが急増した。2002年日韓共催W杯に臨んだ時の代表監督、フィリップ・トルシエが、フラット3なるシステムを採用したことと、それは深い関係にある。

 多くの指導者がこの影響を受けることになった。3バックを敷くチームは、Jリーグでは一気に半分以上にまで増加。大学、高校、中学、少年サッカーの現場にまで波及した。国内の津々浦々まで浸透することになった。

 トルシエのサッカーについて批判的な立場を取っていたジーコも、その後任として代表監督の座に就くや、ほどなくすると3バックを採用。その理由について「選手たちはJリーグでやり慣れているから」と語っている。

 世界的な使用率が当時、2割に満たなかった3バックが、日本では6割を占めるという珍事に陥った。日本サッカー界は、まさにガラパゴス化することになった。

 しかし、このガラパゴス化は奥が深い。日韓共催W杯から20年目を迎えたいま現在でさえ、息づいているからだ。国内で3バックが占める割合は2、3割まで減少したが、世界が逆にやや増加傾向にあるので、それ自体はガラパゴスと言うほど特異な現象に見えない。世界の平均値より少し多い程度だが、ここで問題視したくなるのは数や割合ではない。3バックの中身である。

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