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OMOの実装を考える #2 : 国内OMO事業者カオスマップ - コンサルティング・ソリューションプロバイダー編 -


前回はOMO事業者マップのうち、インフラ・ソフトウェア・テクノロジー領域についてご紹介しました。

BtoB領域では、そういったテクノロジーやサービスを利用したコンサルティング、ないし、ソリューションプロバイダー的な立ち位置でビジネスを行うプレイヤーが多数出てきています。

今回は下記事業者マップのうち「コンサルティング・システム導入」領域のプレイヤー動向をご紹介します。

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OMOに特化したコンサルティングを行うプレイヤーの登場

ニューリテール・OMOの国内での浸透に従い、特化型のコンサルティングを謳う国内プレイヤーが増えてきました。

たとえば、OMOの流れを「リテールイノベーションの時代」と称して、コンサルティングだけでなく、タブレットPOSやサイネージなどの物理デバイスも含めたシステム構築も行うエスキュービズムや、UXコンサルティング事業からはじまり、昨年出版した書籍がベストセラーとなった記憶も新しい、「アフターデジタル」を提唱するビービットあたりが独立系としては目立ちます。

その他店舗プロデュースなどを手がけていたところからOMOのコンサルティングを行うようになったThe Standardなど、店舗・空間からの事業展開アプローチも出てきました。

こういった、恒常的な店舗運営だけでなくポップアップストアを通じたOMOの事例は今後さらに多く出てくると予想されます。

アメリカではFourpostのような、ポップアップストア立ち上げと運営をSaaS化して提供する事業社のサービスの一つにオンラインと店頭データの統合などOMO的なアプローチが含まれてきています。

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ポップアップストアソリューションを手がけるfourpost(Photo by Fourpost

既存店舗を丸ごとOMO化するのではなく、小さく効果検証を行いたい有店舗事業者のニーズを拾う軽量なサービスの需要は増えてくるものと考えられます。

総合ファームによる大企業のOMO化

アクセンチュアやデロイトなど、総合ファームによる大企業有店舗事業者のOMO化はかなり前から前兆がありました。

たとえばアクセンチュアは、従来からのクライアントであるファーストリテイリングと、2015年時点からジーユーの実験店舗でOMO化を進めていました(当時は「デジタル店舗」などと呼称)。
その実証実験をもとに原宿の次世代型店舗「ジーユー スタイル スタジオ(GU STYLE STUDIO)」を2018年にオープン。デジタルミラーやスマートカートなどの技術を実装しています。

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原宿GU STYLE STUDIO(2018年オープン)(Photo by GU STYLE STUDIO

一方で、こういったリテールテックに特化したSIが現状は目立ちますが、たとえばNikeのHouse of Innovationのケースなど、より体験に振り切った、リアル店舗単体の売上ではどう考えても採算が取れない大規模な改修・立ち上げが増えるかどうかは未知数です。

つまり、大企業の経営陣、ステークホルダーを説得できるかどうか(そしてその結果をオン・オフラインを統合した数字として出せるかどうか)、といった政治力も含めた話になってくることが予想されますので、こういった事業者側の意識改革も含めて推進できるファームが事態を牽引しそうです。

D2CコンサルティングはOMOを意識したものに

小売のもう一つの大きな流れとしてD2Cがありますが、D2C事業者が店舗を体験の場として捉えて設計をする場合、必ずOMO的な発想になります。すなわち、フラクタtakramなど、ブランディングの視点から企業やプロダクトをコンサルティングするような事業者が、店舗やイベントなどを企画設計する際は、そこで体験した顧客がオンラインでどのように行動するか、を踏まえるはずで、より世界観が地続きとなっているオン・オフライン施策が重要になります。
その中でアプリやセンサーなどのデバイスとそのバックグラウンドのデータを必要十分に利活用できるプレイヤーやソリューションが、総合ファーム、独立系など、どの領域から出てくるかも注目されます。


以上、コンサルティング、ソリューション領域に絞ってご紹介しました。次回はBtoC領域について解説します。


シリーズ「OMOの実装」過去ログ:

OMOの実装を考える vol.1 : 国内OMO事業者カオスマップ - インフラ・ソフトウェア・テクノロジー編 -



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