弁護士ドットコム

メディアトレース_弁護士ドットコムニュース

メディア運営者や編集・ライター向けのマーケティングトレース(メディアトレース)勉強会に参加したので、会でやったワークをまとめました!

マーケティングトレースは初耳だったけど、コンテンツマーケティングの勉強になった。他社を分析しながら、自然と「自分ならこうするのに」とか「これは自分もやりたい」とか考えるし、続けたらコンテマーケの引き出し増えそう。

ここから本題。
画像は、断りがない限りすべて弁護士ドットコム社のIR資料から抜粋。

弁護士ドットコムNEWS
https://www.bengo4.com/topics/

1.対象メディアの概要

会社概要
社名:弁護士ドットコム株式会社
理念:専門家をもっと身近に
売上:23億円(FY2018)
設立:2005年7月
事業:
・弁護士ドットコム(ニュース、マッチング)
・電子契約サービス「クラウドサイン」
・BUSINESS LAWYERS/弁護士ドットコムキャリア
人数:159名

売上が四半期ベースで右肩上がり…!

メディア概要
理念:法律をわかりやすく、司法を身近にする。
規模:月間1,095万人(弁護士ドットコム全体)、月間666万人(ニュースのみ)
設立:2012年4月~
記事:月間130本
編集長:新志 有裕さん(しんし ありひろ)
一橋大学商学部卒。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科修了。2003年から2010年まで西日本新聞社で記者として働いた後、マーケティングリサーチ会社での研究員などを経て、2014年5月、弁護士ドットコム株式会社に入社。2014年10月より弁護士ドットコムニュース副編集長。2015年4月からは弁護士ドットコムニュース編集部長として組織運営にも携わってきた。

2-1.市場分析

・市場規模は右肩上がりだが、それを上回る勢いで供給が増加中
・供給過多=弁護士による、消費者とのマッチングニーズ ↑
     =「弁護士ドットコム」プラットフォームの需要 ↑
・競合は目立つ企業・メディアなし。強いて挙げるなら法テラス、日弁連の弁護士情報提供サービス。

2-2.事業・メディア分析

ユーザーの流れ
①弁護士ドットコムニュースに一般ユーザー・弁護士が流入
②みんなの法律相談で一般ユーザーが投稿・閲覧、弁護士が回答
③弁護士検索で問い合わせ

図にすると、以下のような感じ。


有料サービス概要
上述①~③それぞれに、マネタイズのポイントがある。

A. 【③に対応】弁護士マーケティング支援サービス(to 弁護士)
・「弁護士プロフィール」での詳細記入や、「弁護士検索」の上位表示
B.【②に対応】有料会員サービス(to 一般ユーザー)
・法律相談データベース(※)にあるすべてのQ&Aが閲覧可能に
 ※IRでの表記。「みんなの法律相談」と思われる。
C.【①に対応】広告その他サービス(to 弁護士メイン)
・ニュースを含む弁護士ドットコム内での広告表示

売上高はA>>>B>>C。今後も市場が拡大する見込みのため、主力サービスであり顧客への提供バリューが大きいA・Bをさらに伸ばしたいところ。

そうなると、①ニュースの役割は②③にいかに送客し、A・Bを伸ばすか

気になるのは、①ニュースを利用することと、②③(A・B)を利用することに、どれほど親和性があるのか。弁護士に有料相談される民事トラブルは、約4割が家事(遺言相続や離婚など)だが、ニュースでは社会性の強いテーマがかなり扱われている。もっと日常生活に寄った(=自分ゴト化しやすい)テーマも扱うと、「遺産相続で困った…弁護士ドットコムで相談してみるか」と想起してもらいやすくなるように思える。

と考えていたら、弁護士ドットコムLIFEというサイトがある。体験談募集をしていて、記事テーマもニュースより日常寄りな内容。
たとえば、以下のような記事。
・『モラハラ夫に「必ず仕返しする。倍返しどころじゃない」妻たちの心の叫び』
・『パート、バイトでも「有給休暇」「休憩時間」もらえます【短時間労働の法律知識1】』

直近(2019年1月)の記事を見ると、家庭・職場などの男女関係が多い印象。有料相談されやすい法律トラブルということなのかもしれない。

現状、ニュースとライフのドメインは、両方とも弁護士ドットコム配下だけど、別サブドメイン。ニュース→ライフにはバナーで動線をつなげている状態。このあたりは手の入れようがありそう。

3.自分が編集長だったら…

考えたい課題
①他サービスへの送客機能を高めるには?(量の問題)
②ニュース利用時点で、弁護士ドットコムのファンになってもらうには?(質の問題)
③(ニュース単体でも、もう少しマネタイズしたい)

具体案
●ニュース×LIFEの強化(①への対応)
・ニュースとLIFEを統合
※記事テーマの毛色が違うので、LIFEの一部転載か、LIFEとは別に日常テーマでニュース用記事を配信した方が良いかもしれない。
・ニュースとLIFEの強みを活かす
ニュースの強み:更新性、ブランド向上、yahoo等での認知向上
LIFEの強み:法律問題を自分ゴト化しやすい

●軽めなタッチのコンテンツ(②への対応)
例)「もしも弁護士が◯◯(アニメとか)の世界にいたら…」(空想科◯読本のようなの)
例)「法律クイズ」(身近な話題についての法律クイズ)
※書籍やテレビ番組で似たものをやってるので、二番煎じ感あるが…

●「専門家を身近に」感じるコンテンツ増(②への対応)
・弁護士事務所の利用法などを解説
例)「弁護士が必要になったらやること」「弁護士の選び方」「弁護士を上手に“使う”には?」など

●回答権を一部有料化(③への対応)
・記事で答える(露出する)回答枠を一部有料化する。
・中立性を担保するために、回答枠を1つ→複数に増やす(TV番組「行列のできる~」みたいに専門家の意見を相対化

4.感想

弁護士ドットコムはメディアもサービスも唯一無二で、以前から気になってたので取り上げました。本当は3Cや4Pのような分析もしたかったけど、IRが思いのほかまとまってて、やる意義をあまり感じず… ただ、分析が甘いように思うので、後日アップデートしたい!

参考資料

・弁護士ドットコムニュース
https://www.bengo4.com/topics/
・弁護士ドットコム決算短信(2018年3月期)
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80401/1a0ac500/9a3b/4438/a664/bd1917576365/140120180511435404.pdf
・弁護士ドットコム決算説明資料(2018年3月期)※スライド
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS80401/35dc4e51/a4e9/4889/b9f9/7a48059b0428/140120181029424168.pdf
・弁護士ドットコム、通期は売上高・各利益で開示予算を達成 「クラウドサインSCAN」を拡販へ(ログミーファイナンス)
https://finance.logmi.jp/286804
・弁護士会等の法律相談件数の推移/東京三弁護士会の法律相談の内容別割合(日弁連)
https://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/statistics/reform/fundamental_statistics.html

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?