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61歳母、留学12日目。~お友達になりたいです~

シドニーに来て約1週間、
怒涛の週末を終え、語学学校2週目がスタート。

先週は泣くほど苦労したバスの乗り方もだいぶ慣れてきた母。
今週も気持ち新たにがんばるぞ!とこぶしを握り締めた写真が送られてきた。

前回の記事の通り、語学学校のクラスには20人ほど生徒がいるのだが
ほとんどが20代・30代の若い子たち。
彼らは様々な国出身の人たちだ。
イタリア人、フランス人、トルコ人、ブラジル人、チリ人、
韓国人、台湾人、香港人など、、、
オーストラリアの良いところはさすが移民の国、受入れにオープンな分、
世界中ありとあらゆる国籍の人たちと出会える。

生まれた場所も、育った環境も違う、
バックグラウンドが全く異なる人たちが一堂に集まるとどうなるか・・・?
その壮大な実験場がオーストラリアという国なのだ。

幸か不幸か、母のクラスには日本人がいなかったようで、、
この多国籍な若い集団の中に、英語のほぼ喋れない60代の母が放り込まれている。笑

日本ではおばちゃん根性でコミュニケーション能力を盛大に発揮できる母も
今回は言葉がうまく使えないこともあり、いつもと違う環境に置かれている。

唯一の60代、クラスの中でぽつんと孤立している母。
日本語で話しかけるのは容易いことなのに、英語となるとどう話しかけていいかわからない・・・
若い世代は共通点を見つけて自然と仲良くなりグループができている、、
そんな母に気遣ってなのか、話しかけてくれるのはクラスの先生くらい。。

先週は友達を作るどころか、学校の行き帰りだけでヘトヘトだった母。

しかし今週はすこし気持ちが前を向いてきたようだった。

「よし、、、話しかけてみよう!」

オーストラリアに来てからスマホが使いこなせず打ちのめされていた母だが
徐々に最低限の翻訳機能くらいは使えるようになってきた。
母は伝えたい日本語を翻訳機に打ち込んだ。
近くの席に座っていた台湾人の男の子。
母は意を決して、自分の伝えたい言葉が書かれたスマホの画面を彼に見せた。

「お友達になりたいです」

「i want to be your friend」

・・・

お友達になりたいです・・・
私はこの話を母から聞いたとき、
あまりの健気な姿に心打たれてしまった。

普段、日本で生活していたらこんな言葉を人にかけることなんてないだろう。
友達になっていいですかなんて改めて言う必要もないし、自然にできることだ・・・
しかも自分とは年齢もずっと下の子にこんな言葉で話しかけることって
普通に生活してたら経験することがないだろう・・・

私が半ば無理やりオーストラリア留学を母に勧めたことで
現地で泣くほど苦労をかけていたり、みじめな思いをさせているんじゃないか。。
わざわざそんな環境に母を放り込んだことは正しかったのだろうか。。
すこしそんな気持ちになったりした。

しかし母、強し。
この勇気を持って話しかけた一言が母にとって突破口になったようだった。

話しかけた台湾人の子は優しく母を受け入れてくれて
「授業が終わったらクラスの友達とお出かけしよう!」
と言ってくれた。

そしてこの日、母からラインで送られてきた写真には
若い子たち5,6人とオペラハウスをバックに楽しそうに映っていた。

その日を境に母から送られてくるラインには

「日本人の子たちがいたから、話しかけてみたよ!」
「今日はお友達と初めてパブに行ってきたよ!」
「お友達とカフェに行ってお喋りしてきたよ!」

語学学校の友達と楽しそうにしている写真が送られてくるようになった。

なんだか、とてもうれしかった。

私が小学生の頃、
学校であんなことやこんなことがあったと母に話したら
「あなたが学校で楽しそうにしてくれるのが、お母さん一番うれしいんよ」
と言ってくれてたっけ。。

今は私が同じ気持ち。
大切な人が楽しそうに過ごしているのを見るのって
こんなにうれしいことなんだ・・・
遠く離れていても、自分のことのように嬉しさを感じる・・・

・・・

留学当初は泣きながら電話がかかっていたが
最近は友達との写真やシドニーを街歩きしている写真が送られてくるようになった。
渡航前に教えたインスタグラムの使い方も慣れてきたようで
毎日その日あった出来事や写真を投稿している。
今までSNSを使ったこともなかった母だったが、家族や友達への報告だと思って投稿してくれている。
改めてこうして母の見たことや感じたことが綴られた日記を読むのはとても新鮮な気持ちだ。。

さて、勇気を振り絞ったおかげで友達ができた母、
これからもどんな成長があるかな?

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