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61歳母、留学19日目。~学校卒業!~

早いもので3週間通った語学学校も最終日。
慣れない環境に戸惑ったりお友達ができたりと様々なドラマがあった学校とも今日でお別れだ。

母にとって3週間でやっと通いなれた通学路。
朝、今日もいつも通りホームステイ先から最寄りのバス停まで歩いて向かう。
すると、母がバス停で待っていると、ふと誰かに声をかけられた。
 
「あ、、3週間前の・・・!」
 
振り返ると、そこには見覚えのある女性とベビーカーに乗せられた小さな赤ちゃんの姿があった。
 
さかのぼって3週間前。
母は留学初日、最寄りのバス停からホームステイ先にたどり着くのですら迷いに迷い、手当たり次第に周りの人へ声をかけていた。

「Excuse me… I’m lost…..」

通りがかりのビジネスマンからコンビニの店員さんなど、、あらゆる人に声をかけたのだが、その中の一人に臨月の妊婦さんがいたのだ。
道に迷って半泣き状態だった母に親切に道を教えてくれたあの妊婦さん。
実はこの3週間の間に子供が産まれていたのだ。
 
「無事に子供が産まれたのよ~」
 
「そうだったんですね!よかった!まさかまた会えるなんて・・・!」
 
偶然にも、初日と最終日に同じ場所でこの女性に出会ったそう。
彼女も母のことを覚えてくれていて、声をかけてくれたのだ。
 
この3週間、目まぐるしくあっという間だったが、確実に時は流れていた。
あの時は泣きながら話かけた母だったが、今日の母は違って見えただろうか。
 
・・・
 
話は変わり、語学学校ではお世話になった先生に手紙を渡したそうだ。
クラスでは若者に囲まれながら唯一60代だった母、英語がほとんど分からない母に優しく声をかけてくれ、身振り手振りで面白おかしく教えてくれた先生。
どうしても感謝の気持ちが伝えたかった母は前日に翻訳機とにらめっこしながら手紙を書き、最終日に先生に手渡した。
 
「先生、3週間ありがとうございました。
最初、英語が分からないのでとても不安で泣いてしまいました。
先生が優しく声をかけてくれて見守ってくれてとても嬉しかったです。
先生の明るい笑顔にどれだけ励まされたか分かりません。
私の人生にとって大切な経験になりました。
ありがとうございました。」


 
そして、クラスメイトからもノートに寄せ書きをもらったようだった。

(みんなそれぞれ母国語で書いてあるところが、なんかいい。)

この母のノートには授業内容や友達からの寄せ書き、自分の自己紹介文から困った時の一言英会話、交通機関の乗り方のメモまで、3週間の汗と涙がたくさん詰まっているようだった。

「お母さん、最初授業受けたときは全部英語だし何も分からなくて、これからどうなることかと思ったよ・・・。
でも言葉が分からないもの同士で一生懸命にやり取りしたことは、一生忘れられない経験になった!」
 
普通に日本で暮らしていたらきっと出会うことがなかった人たちや
味わうことのなかった感情に触れられた3週間だっただろうか。
 
ちなみに、日本では「お母さんは勉強苦手…」と公言している母。
きっと改めて学校に通って勉強するのは学生以来、母にとっては約40年ぶりだったのだろう。
勉強嫌いな母に語学「学校」に通ってもらうのはどうだろうか、Duolingoをしているとはいえほぼ英語力0で、しかも語学学校には60代の人なんて周りにいないだろうけど・・・と思いつつも勧めた留学。
母からは「こんなチャンスもう二度とないかもしれないから・・・やってみる!」との返事だった。
きっとその時はここまで苦労するとは考えてなかったかもしれない。
だからこそ飛び込めた環境でもある。

 私の想像する以上に大変だったと思うが、よく頑張ったね!と声をかけてあげたい。。!!

・・・
 
そして実は今回、母はオーストラリアに5週間滞在することになっていて、そのうち、前半の3週間はホームステイと語学学校、後半の2週間は旅行に行けるように時間を取っている。
 
今日で無事に前半の3週間を終えた母、これから2週間はシドニー、ケアンズ、メルボルン、とオーストラリア周遊旅行が始まる。
航空券とホテルは娘である私が手配したのだが、旅行するのはもちろん母一人!
日本でも一人旅すらしたことがない母、果たしてどんな旅になるでしょう。
果たして無事に飛行機に乗れるのか?ホテルまでたどり着けるのか?
これからどんな出会いがあるだろう?
 
大冒険のはじまり、はじまり!
 

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