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"優しく寄り添う秋風が"

9月7日(木) 日記

朝から涼しくて、もうすっかり秋の気配だった。

電車に揺られて、イヤホンを半分こしながら聴く音楽は、とっても気分が良かった。

目的地は映画と本が一遍に楽しめる夢のような空間。
レトロモダンな雰囲気が漂う本棚たちにはうっとりしたし、お店のところどころに店主のこだわりが感じられる小物雑貨があちこちに飾られていた。

訪れた人たちが自由に書き残せる"あなたのおすすめの映画を教えてください"みたいなノートも良かったなぁ。
人並みより映画は観てきた方だと思うけれど、意外と何を観たのかって思い出せなかったりする。そこに残された映画たちを見て、"あぁこんなのあったな"とか"これ良かったよなぁ"とか"気になっていたけど見逃したやつだ"なんて思ったりした。
わたしのマイベストムービーってなんだろう。

今日観た映画は、確実にランクインしたと思う。
映画の感想を述べたり言語化したりすることが苦手なので、うまくここに書き残せないのがもったいないくらいに、終始心惹きつけられる作品だった。

朝、温かいココアを飲みながら彼が語ってくれたあのはなしと、その数時間後に観た映画の内容が、驚くほどにぴったりと重なって、なんだか不思議な体験をしたような気持ちになった。
この人の感性にはいつも驚かされっぱなしだ。


帰りの電車、ひとりになったら、急にセンチメンタルになったけれど、ホームの隙間から覗く空があまりにも眩しくて、力強くて、このまま眺めていたら吸い込まれてしまいそうだ、と思った。

改札を抜けたら、みんなあの吸い込まれそうな空にスマホを向けていた。まるでこの瞬間を切り取って残しておかなければ。と言わんばかりに。
立ち止まって、"わたしも"と思ったけれど、髪を撫でるように優しく吹いた風が心地良くて、"もう秋だ"って思ったら、足を止めたくなくなった。


あの秋風が、ひとりぼっちの帰り道の中、いつまでも優しく寄り添ってくれた。


追記

今夏のMVPは色んな意味でぶっちぎりに"向日葵"だ。