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私の彼氏はnoteを知らない

私と彼氏は結構趣味が合わない。彼氏は活字の本を最後まで読めないと言うし、私はごっつええ感じの面白さが分からない。お互いの好きな曲を車内で流すとあまりに好みが合わなくて絶妙な雰囲気になるので、最近は無難に2000年代のヒットソングメドレーを流している。

あの人とは趣味が合っていた。
私が(彼氏を除いて)過去1好きだった人とは、オードリー若林の著書を全て持っているという話で盛り上がった。面白かったところに付箋を貼って初めてデートしたそば屋さんで一緒に読んだ。(「花束みたいな恋をした」ですか?!?!)アパレル店でアルバイトをしていて、服装も好きな感じだった。お互い父親がいない。もうこれは趣味じゃない。

でも彼氏はピチピチのTシャツとか着るし、馬の蹄の形した指輪つけるし、それ派手すぎるからやめなよ!と止めてもオレンジのスウェットの下にバーバリーのシャツを着る。せっかく可愛い顔してるのに、派手で強そうでかっこいい服装が好きみたいだ。出会ったばかりの頃、学生なのにハイブランドばかり身に着けていてちょっと引いた。(地道にバイト代で買っていたと知ってからは、少し好感度が上がった。)他にも、酸っぱいものが嫌いで毎日ジュースを飲んでいるところも合わない。カップラーメンを週2回以上食べられるのも信じられない。あれはたまに食べるからいいのだ。それにお酒が大好きでこの前なんて朝6時まで飲んでいたみたいだ、有り得ない。

あの人は、どうだろうな。好きな本と聴いているラジオと家族構成と服装しか知らないな。

彼氏の合わないところはたくさん知ってる。彼氏のことは沢山知ってる。彼氏は私の好きな物にはあんまり興味無さそうだ。

私が毎日オードリー若林さんとスイスイさんのnoteが更新されることを楽しみに生きてることも知らない。そもそもnote自体、知らない。
だから私は彼氏に文章を書いてることは言っていなかった。でもこの前嬉しいことがあって、それがnoteにまつわることで、どうしても伝えたくなった。なんと説明しようかと迷い、「ブログみたいなもの書いててさ」と話した。「ふーん、アメブロ?」と聞かれた。まあ、ブログみたいなものと言ったらそうなるよな。私たちアメブロ全盛期だしな。
「そんな感じ。違うけど」
「違うんだ」
彼氏は彼女が"ブログのようなもの"を書いているということを知っても、特に興味は示さない。有難い。見つかったら恥ずかしいから、このくらい無関心でいてくれたら安心だ。
私は彼氏と付き合いたての頃にSNSを全て特定し、いいね欄やタグ付けされている投稿を全てチェックしている。幼なじみの女の子が彼氏を見切れさせて「幼なじみとラーメン☆」と書いている投稿もきちんとチェックしている。でも彼氏は全くそういったことをしない。だからたぶん本当は、noteの存在を知られても私のことを見つけようとはしない。でも万が一調べられた時のために、noteの存在は隠し続けようと思う。

嬉しかったことを話したあと、彼に聞いてみた。
「いいねみたいなシステムがあるのね。1番多くいいねが付いたの、どのくらいだと思う。あ、ちなみに全然あれだからね。フォロワーは15人くらいだからね」
あまりに実際の数を上回った数を言われると悲しいので、保険をかけておいた。

「んーじゃあ100かな!」
「...50だよ」

「じゃあ次は、目指せ100だな!」と彼が言い、お互いに笑った。
ああ、彼氏が私の好きな物に興味がなくても、私の文章を読まなくても全然いいな。
彼は私の好きな物には興味がないけど、私が喜んでいたり頑張ろうとしているのは嬉しいみたいだ。それで十分かもしれない。

私の彼氏はnoteを知らない。
私の彼氏は彼女が"ブログのようなもの"を書いていることを知っている。
私は彼氏のことや彼氏に言えないようなことを好き勝手に"ブログのようなもの"に書いている。

この関係性がちょうどいい。

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