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花王あえて「絞る」販促、KATEは「スモールマス」に

こんにちは、思考力特訓中の恩田です。

本日は日経MJに掲載された、
「花王のセルフコスメブランドKATE」
を取り上げます。

このKATE、記事には

・セルフコスメ市場で2002年から15年連続シェアNo.1

・エヴァンゲリオンとのコラボ商品は発売3日でほぼ完売

・大多数(マス)だけでなくスモールマスに向けたプロモーション戦略

といったことが書かれています。


今回私が興味を惹かれたのは、「絞る」「スモールマス」。

前述したようにKATEは売上シェア15年連続No.1。

トップシェアであれば、規模の経済、強者の戦略で大多数狙いにいくのが通例。

ところがKATEはマスだけではなくスモールマスにも目を向け、そのために販促を絞るとのこと。

というわけで、今回は、

「KATEはなぜ成功したのか(成功しているのか)?」
「絞る・スモールマス戦略とは?」

を思考していきたいと思います。


1.KATEはなぜ成功したのか(成功しているのか)?


KATEの成功要因を検証するにあたり、今回は以下の書籍、

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「そのビジネスから儲けを生み出す9つの質問」

のフレームワークを活用し思考してまいります。

活用するフレームは、

(1)顧客は誰で何に困っているのか?
(2)顧客の困りごとを解消するために何を提案するのか(しているのか)?
(3)他とどう違うのか?

順番にいきます。

(1)顧客は誰で何に困っているのか?

本記事によると、花王はKATEユーザーとして、

「メインターゲットは10代後半〜20代前半。その層が足を運びやすいドラッグストアなどに商品を陳列し、自分で選んで購入してもらうセルフ販売の形を取っている」

「花王グループの中でもメーク新規顧客を獲得する入り口と位置づけている」

これを見ると若年層、メイク初心者をターゲティングしているようです。

ただ、@COSME(日本最大美容・コスメの総合サイト)にて、KATEの新作口紅リップモンスター口コミ投稿の年齢層別の割合は、

10代       :1.2%
20代前半:12.7%
20代後半:19.7%
30代前半:24.9%
30代後半:20.0%
40代       :17.5%
50代以降:3.7%

30代が4割以上、40代も2割近くいることから、想定ターゲットだけでなく幅広く支持されていそうです。

この幅広い年齢層が付いている経緯として、KATEはブランド誕生から20年以上経過しており、昔からのユーザーが今も根強く継続的に使用しているのでは?と勝手に想像しています。


では、この女性たちが化粧において困っていることは?

と、その前に、そもそも女性はなぜ化粧をするのでしょうか?

年齢やその人の生活によって違いはあるでしょうが、

「人に会う時の身だしなみ」
「ノーメイクで人前に出るのは失礼」
「自分を少しでもキレイにみせたい」
「コンプレックスの解消」

まだまだたくさんあるのでしょうが、私が思いつくことと奥様へのヒアリングの結果からはこんな感じ。

上の2つ、
「身だしなみ」「ノーメイクは失礼」。

これは、必要最低限、失礼にならないレベルであればOKということでしょう。

この場合のニーズはメイクはさっさと済ませたいでしょうから「簡略化」「時短」「低価格」といったことでしょうか。

下2つの

「コンプレックスの解消」「キレイに見せたい」

この層のニーズは「美肌」「小顔」とか、美の悩み解消になりますかね。

では、これらの悩みに対して、KATEは何を提案しているのか?


(2)顧客の困りごとを何で解消するのか(しているのか)?

KATEの場合、ターゲットが10代~20代のため、「自分をキレイに見せたい」といったニーズに対してソリューションを提供している印象です。

ここでは、どのように困りごとを解消しているか、直近の2つの事例を見ていきます。

①小顔マスク

いきなり、化粧品ではなくマスク!

実は今回、KATEを取り上げるにあたって、実際の商品を見てみようと、マツモトキヨシのセルフコスメ(プチプラコスメ)売り場を見学しました。

私一人だと恥ずかしく、見てもブランド判別すらできないので奥様にも同伴を願い。

色々と解説してもいながら物色しました。

そしたらKATEコーナーの一角に「小顔マスク」を発見。

この商品、「お一人さま2点まで限定販売」でしたので、結構売れているのでは?

調べてみると、第一弾は即日完売で今売られているのは第二弾とのこと。

コロナ渦において着用が余儀なくされている「マスク」に「小顔ニーズ」を反映させ商品化。

マスクはつけなきゃいけない。
どうせつけるならかわいく見える(この場合は小顔)がいい。

生活習慣と女性の欲求を上手に汲み取った商品と感じます。


②リップモンスター(口紅)

触れ込みは、

「つけたての色がそのまま持続する落ちにくい口紅」

ユーザーの悩みとして、

「メイク仕立ての状態を長時間キープしたい」

「マスクを外したり、飲食をした時に口紅が落ちてしまう」

「マスクを外すその一瞬もかわいくいたい」

確かにありそうですね。

これを解消すべく発売されたのが「リップモンスター」。

ちなみにこの商品、前述のアットコスメで口紅部門人気1位になってました。

直近の2つの事例から、KATEは、

「顧客の困りごとの解決するための商品を開発し、その商品は顧客からも支持を得ている(売れている)」。

と言えそうです。


(3)他とどう違うのか?

では、これら商品は、

「他とどう違うのか?」

どんなに顧客ニーズを汲み取っても、どんなに素晴らしい商品を提供しても、

他と代わり映えしないサービスや商品であれば、顧客から選んでもらえない可能性が高まります。

そうならないためには、他には代替できない何かが必要です。

この点に関して、上記2つの商品を検証してみましたが。。

私的にはそこまで大きなインパクトがある違いは見い出せませんでした。

小顔マスクも落ちにくい口紅も他社からも商品化されてます。

(小顔マスクはコスメブランドから発売されているのはKATEのみかもしれません)

KATEにしかない商品というよりは、その商品のブランド価値、長年の信頼感、商品の質といったことが顧客から受け入れられ、それが顧客にとっては違いとなっているのかもしれないですね。

ここで、少し話を逸らします。

最近はプチプラコスメと言えば、100円均一で売られている「100均コスメ」も人気のようです。

我が家の娘ちゃんも100均コスメは良く使っていて、その優秀さを私に熱弁してくれました。

(安いけど品質はそこそこ良いそうです)

例えばKATEと100均コスメを比較。

商品力やブランド力はKATEの方が上かもしれませんが、例えば口紅の値段はKATEが1,300円ほどで、100均はもちろん100円。

1/13です。

プチプラユーザーとって「安い」ことは商品購入おける一因でしょう。

そうすると、KATEユーザーが100均コスメを選択肢に入れる可能性は十分にあり得ます。

KATEが他との違いをを考えるとき。

100均コスメも視界に入れる必要が出てきますね。



2.「絞る」「スモールマス」戦略とは?

ここまで、

「顧客は誰で、その顧客に何を提供して、他と何が違うのか?」

を見てきました。

「10代・20代のメイク初心者が抱える美に対するニーズ(小顔・メイク仕立ての状態をキープ、いつでもかわいい)を実現するための商品を提供し、商品力や信頼感で顧客から支持を得ている」

まとめるとこんな感じでしょうか?

企画力・商品力・ブランド力といったトップシェアの強さが発揮されている感じを受けます。


で、このトップシェアブランドが絞り込み・スモールマスに対してプロモーションを仕掛けている。

今回の記事で紹介されていたのは、

「コスプレヤー」
「エヴァンゲリオン」

これはかなり絞り込まれている感じがします。

コスプレ好き、エヴァンゲリオン好きとなると、一般というよりは個性派、少数派と言えるでしょう。

また、もう一つ記事にあったファンの育成。

LINE公式アカウント登録者数1ヶ月で30万人突破。

KATE MAKEUP LAB.のバーチャルメイク利用回数が1週間で230万回を突破。

なんか凄そうですね。

ちなにみLINE公式アカウント数は今日現在、47万人を突破してました。

SNS上でファンとつながり、そのファンたちをさらにコアに育成していく。

これもKATEファンというスモールマス、絞り込みと言えますね。
(ただ、47万人もいれば一定規模の市場と言えるとも思いますが)


「コスプレ・エヴァンゲリオン」=「既存の一定のスモールマス」
「自社ファン(コミュニティー)=「新規のスモールマス」

既存のスモールマスに対してのプロモーション、新規のスモールマス作り。

このような自分たちの顧客を定めたり、育成したりしてそこに対して商品を売る。

売る商品のベースは前述の

「世の中の多くの女性から支持されているシェアNo1商品」


そうすると、花王の言う絞り込み・スモールマス戦略とは、

「多くの女性から支持された商品(大多数のニーズ)」を「絞り込んだ対象」に提供する。

「大多数のニーズ」×「絞り込んだ対象」

と言えるかと思います。


5.本事例からの学び

「大多数が抱える悩みを解決する商品を、絞り込んだ対象に提供する」

これはちょうど私が最近学んでいる内容と関連しています。

今後の自分のビジネスでも実践したいことなので、今回その事例に触れられたことはとても有意義でした。

ビジネスの規模の大小問わず、この考え方、やり方は転用できると思います。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。












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