【読書感想文】どうせ死んでしまうのに、なぜいま死んではいけないのか?中島義道著

この本のタイトルを目にした時、そーそーそー!なんでダメなん?と思い、読むことにした。

というのは、ところどころで死にたいと思い、一時期は薬のせいか、本当に危ないときがあったからだ。

問いに関する答えは割と早めに出てくる。私が悲しいからだよ。と著者は書いている。

たしかにそうだ。私にも私が死んだら悲しんで悲しんで悲しんでしまう人が最低2人はいる。それは両親だ。だから、両親が亡くなるまでは生きていなくてはいけない。そう思っていた。

だけど、そんな簡単に思いつくやつじゃない、ダメな理由が知りたかった。

その後から、哲学の話に入っていく。哲学の考え方というか…そのあたりであきてしまって、また読むのに時間がかかった。

だましだまし読み進めていくと、著者がなぜ世の中から偏屈と思われるような生き方をしているのかが出てくる。国際別居婚の話をとてもうらやましく読んだ。ウィーンに行ってみたくなった。

偏食のくだりは、偏食の友達がいるので、なんとなく分かるような気もしたが、著者があの苦しい給食がなければここまでひどくなってなかったかもしれないと言うように、偏食というのは、こだわりとか甘えとかの表現方法じゃないかと前から感じている。

きっとその食べ物がどうとかじゃなくて、そりゃー好き嫌いがあるのは理解はしているけど、これだから食べたくないと言った時に、周りがそれを許してくれるかを見ているような気がしているのだ。

そうかそうか、じゃ食べなくていいよ。他のものあげようか?そういう環境が整っていたら、おそらく大人になってまで引きずるような偏食にはなってないのではないかと個人的に思っている。偏食は、世の中への抵抗ではないのだろうか。
 
どうせ死んでしまうのに、という虚しさとは、私も割と子供の頃から向き合ってきているように思う。ただ、著者と違うのはそこまで死ぬことを恐れていないかもしれない。

死ぬとは死ぬほど痛いんだなと大人になってから気がついた出来事があって、その痛みは嫌だなと思うけど、、、いや、やっぱ怖いかなぁ…けど、うちの父親のように何がなんでも生きていたいと言う人を見ると、私は死ぬ時は死ぬんだという覚悟のようなものは決まっている気がする。意識がなくなったら生き延ばさないでほしい。

それで、まぁ、答えは出なかったけど、おもしろい本だったなぁと読み終え、文庫本だし買って手元に置いておきたいとすら思いながら、読んだ文庫本のあとがきに、答えが書いてあった。

あなたが死んではいけない理由は、本当は死にたくないからだ。

ふいにこんなことが書いてあったので、電車の中で思わず泣いてしまった。

そうなん。本当は死にたくないん。楽しい気持ちで生きていきたいん。

見えそうで見えていなかった答えに出会えて、これを胸に生きていけそうだなと思った。

んま、今、人生の転機を前に高揚しているだけかもしれないけどさ。


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