面白くて楽しいイイ話をラジオで拾ったので紹介します。
佐久間宜行のオールナイトニッポン０　2023年1月11日

テレ東の後輩で俺の10コぐらい下の、30代後半くらいのソブエっていう女性プロデューサーがいて、「佐久間さんにお会いできたら話したかったんですけど」っていうから聞くことにしたんです。

ハロウィンの夜の話なんだけど、ソブエが、飲み友達、数人と、新宿で飲んでたんだって。

本人たちは仮装とかするわけではなく、むしろ仮装する人たちを避けてたら、歌舞伎町の奥まったところが静かなので、安い海鮮料理屋で盛り上がって飲んでた。
二軒目に行こうということになって、歌舞伎町に詳しい人の勧めでシーシャバーみたいなところで飲むことにして。

その店はパーティーピーポーとかが多くて、テキーラとかコカレロのショットとかをガンガン飲む人ばかりで、こっちも大学生みたいな飲み方をしちゃって。佐久間さん、そこまでは覚えてるんです。

え、どういうこと？何の話？と聞くと、次の日の朝、ソブエはアラームの音で目が覚めて、気が付いたら一人暮らしの自宅のベッドで寝てたんです。頭が死ぬほど痛い、気持ち悪い。完全な二日酔い。

どうやって帰ったのかの記憶はなくても、誰かがタクシーに乗せてくれたんじゃないの、そういうこともなくはないでしょ。

ソブエも最初はそう思ってたんだけど、どうにかベッドから起きてみると、テーブルの上に置手紙があることに気が付いた。そこに手書きでこう書いてあったんです。その文面は…

おはようございます（多分記憶はないでしょうね）。
昨夜、ランニングしていたところ、路上で激しく嘔吐されていたので、一応声をかけて助けた者です。
そしたら、「何もせんでいいから一緒にいてぇ～」と言われたので、家で寝かせて帰りました。
まず、あなたはトイレで吐いて、床でも吐いて、ベッドでも吐いています。気を付けてください。
掛け布団は、吐いてしまったのでベッドの下に置いてあります。床とトイレは掃除しました。掃除したタオルは洗濯機の上のかごに入れてあります。
「仕事、昼からぁ～昼からなんだぁ～」と言っていたので、アラームは9時にかけておきました。
では、帰ります。何か覚えていないこと、不審なことがありましたら連絡ください。（電話番号、LINE ID）

と、結構きれいな、たぶん男性の字で書いてあった。で、玄関の扉の鍵は開いているわけ。見ず知らずの人が、路上で吐いていたソブエを介抱して家まで運んでくれたっていう。

読んで真っ先に、そんなことある？って彼女は思って、現実味が全くなく、誰かと会話をした記憶もなく、ましてこの部屋に男性が入ったなんて覚えもなくて、一応、身体を改めても着衣の乱れもない。あまりの事態を受け入れることができないまま、ソブエはそのまま出社して、職場でもトイレで二回吐いたくらい体調は最悪で。

で、やはり助けてもらったのならお礼はしなくちゃと思い、手紙にあった番号に電話したんだって。

「ゆうべ助けていただいた者です」と言ったら、「大丈夫ですか！連絡がなかったので心配してました」と爽やかな男性の声で。ソブエは謝罪とお礼を伝え、「本当に覚えていないのでどういう状況だったのか教えていただけますか」と尋ねたところ、彼曰く、

日課のランニングコースの途中で、マンションの前で蹲っていた女性を見つけて、心配になって声を掛けたら、「全然大丈夫だから！普段はこんなんじゃないんだから！」というので、立ち去ろうとしたら、「ひとりにぃ、しないでぇ」って言ったんだって。

で、部屋に連れて行ったらゲロ吐いて。うわっ、どうする、って言ったら、「タオルは洗面所の棚、使ったら洗濯機の籠に入れて。廊下の段ボールに入っているお水持ってきて」って、全部、指示したんだって。最悪でしょあたし。本当に申し訳ありませんでした。

そしたらその男性が、「本当に覚えていないんですか？僕、目立つタイプで、会った人からあまり忘れられないタイプなんですよ。体、でかいんですよ。僕、格闘家で、身長結構ある上に、ド金髪なんですよ。だから、路上で人に声をかけるのも躊躇するんですけど、さすがに吐いているので声を掛けましたけど。だから、覚えていないなんて思っていませんでした。僕も、こんな経験滅多にないから、途中から面白くなっちゃって、貴重なエピソードが手に入ったくらいの気持ちなので、あんまり気にしないでください」

なんていい奴なんだこの人って思って、お礼を言って電話を切ったんだけど、でも何かしらの気持ちを形にしたいと思って、会ったりするのも迷惑だろうから、LINE IDがあったから、LINEギフトを送ろうとしてID検索したら、アイコンが、めちゃくちゃイケメンの金髪上裸の男性で、Krushと書かれたパネルの前でポーズをとってる。

なにこのイケメン！と思って調べていったら、どうやら現役のK-1選手で、ソブエの近くのジムの所属で、名前は「哲史」デビューしたての25歳。

超イケメンのガタイのいい金髪格闘家が、酔っぱらってる10歳年下の女性を介抱して、ゲロを掃除して手紙だけ書いて去っていった。佐久間さん、これ少女漫画じゃないですか。

そのあと彼とは連絡は取っていないですけど、ネットに上がっている試合の動画は全部見ました。次の試合は絶対見に行こうと思っています。私は一生彼を推し続けていくつもりです。

俺もその話をソブエから聞いて。動画を見て、めちゃくちゃファンになって。
俺も一生推していこうと思っています。
皆さんも応援してあげてください。

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