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私的ラジオアワード2022

ニューカマー部門 Kroi

5thシングル『Page』を聴いて好きになり、2021年初頭からラジオ出演情報をチェックしています。最初はフロントマンの内田怜央さんが呼ばれることが多く、ベースの関さん、キーボードの千葉さんを加えた出演もありましたが、うっすらコミカルな味わいがある楽曲とは対照的に真摯な音楽談義が聞かれました。

それが今年の夏に一変します。アルバム『telegraph』リリースにまつわるプロモーションで、「Kroiの最終兵器」ことギターの長谷部さんとドラムスの益田さんのコンビが、西日本のラジオ局を行脚したのです。この、人を喰ったようなタレント性と、やっぱり音楽の話になるとしっかり真面目というギャップは、強烈な印象を残しました。

この時期、前後してメンバー全員が出た単発の『Kroiのオールナイトニッポン0』(7月16日)も凄かった。ダダ滑りかと思いきや一気に反転してバカウケというスリリングな展開があって、Kroi、トークもいけるじゃん、おもろいじゃん、となりました。

長谷部さんはJ-WAVE『SONAR MUSIC』レッチリ特集でのシリアストークや、ヒゲダン楢崎さんのレギュラー『ロヂウラベース』(FM FUJI)ピンチヒッターで一人でのトークと、硬軟合わせてラジオとの親和性を聞かせてくれました。

トーク主体でも音楽番組でもイケる、AMとFMの垣根をものともしない型破りの彼らなので、来年あたりどんな形でもいいのでレギュラー番組を期待したいところです。

最も印象に残った回部門 『オードリーのオールナイトニッポン』4月23日 ゲスト ですよ。

スペシャルウィークで「ですよ。」さんを招いた回。これは凄かった。普通はゲストの話を聞くものですが、若林さんが「ですよ。」さんの持ちギャグの言い方を細かく指摘して無茶振りを繰り返し、「ですよ。」さんが何度も「『ですよ。』ですYO~!」「あ~い、とぅいまてぇ~ん!」を延々やらされるというものでした。一人でイヤホンで聞いていたのですが、異次元にトリップしたような気分になりました。この放送は多くの人の記憶に長く残ることでしょう。

番組オブジイヤー 『緑黄色社会 長屋晴子のオールナイトニッポンX』

1月の単発『ANN0』を経て4月から始まった1時間のレギュラー番組。おそらく長屋さん本人としては、自分がリスナーとしてラジオにそれほど親しんできたというわけではないと思うのですが、今では水を得た魚のように生き生きしていています。

その最大の功労者は企画演出に携わるスタッフの方々でしょう。長屋さんには持って生まれた「高嶺の花」感があるので、誉める方向性だと逆にリスナーとの距離が離れていってしまう。彼女のようなキャラクターには突っ込んでイジる、掻き回して賑やかす。そうじゃないと番組としても面白くならないし、本人も乗ってこない。

無理強いしない形で程よくツッコミメールを採用してトークを盛り上げていけば、リスナーもその遊びに乗って次々にそういうメールを送ってくれるようになる。そういう好循環がうまく動いていて、長屋さんも感心するほどのリスナーメールの充実度になっています。

(長屋さんがコロナで欠席した9月にメンバーが急遽出演した回では、そうしたリスナーのツッコミメールに慣れていない彼らにとっては刺激が強すぎたらしく、「翌朝までちょっと落ち込んでいた」などと語っていました。)

多分、長屋さんは今はラジオの楽しさを知りつつあるくらいの時期じゃないかな。これからもっと楽しんで、いろいろなことを吸収して、それが芸の糧になっていくだろうな、と思わせる、いい番組だと思っています。