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口説けなかった、女の子

世間的には、どうでもいい話なんだけど、そういや口説けなかった女の子がいたなぁ、ってことを思い出した。

一時の感情や雰囲気に流されて気になった女の子であれば、別に何もなかったとしても時間が過ぎてしまえば後悔も消えてゆく。
彼女は別に恋愛対象ではなかったけれど、何か自分にとってとても重要な人物に感じられて、今もずっと後悔が残るような女の子だ。

人と人というのは、いくら話し合っても理解し合えないことがあって、男同士なら殴り合えば、男女なら抱き合えば、一瞬でお互いの理解が深まってしまうという不思議さがある。

彼女もいくら話をしても、全く心が読めなくて、だけど、心の奥底に憂いを秘めていて、不思議な女性だった。

若者なんて、終電を逃したらホテルへゴーってのが定番パターンだけど、なぜか彼女とはそうならなくて、代々木公園でふたり朝まで過ごした記憶がある。

割と肉食系なところがあるので、他の誰かであれば、もっと強引な姿を見せていたのだろうけど、心のタブーに触れたい気持ちよりも、そこへ触れてしまう恐れのほうが強くて、僕は逃げだしてしまったのだろう。

ある程度、年を重ねれば誰でも気づくことだと思うけれど、「あの一日がなかったら人生は大きく変わっていた」ということがある。
あるというか、それが全てだ。
それくらいに、人と人の関わりは強くて、それくらいに、タイミングというものは奇跡だ。

もう10年以上前の話だけれど、もし、あの子との一夜が違う動き方をしていたら、今の自分の人生は大きく違っていたのではないかと思う。

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