小説を書くことー17(C)

疲れがどっとと襲ってきて僕はすぐ寝付くことができると思ったのですが、なかなか寝付くことはできませんでした。

やはり、香港で取り残された大型機械の件が頭に残っていたわけです。

最終的には香港経由の大型機種の飛行機に乗り換えをするやり方しかないような気がします。シエンにキャセイのボスと話しをつけさせ、キャセイの倉庫から最悪の場合は別の飛行機会社とに搬入、今回はかなりの赤が出るかもしれないけれど、1台7000万円ぐらいする機械の賠償金を払うよりましかもしれない、と思うようになりました。

と言っても、そんなことが簡単に進むことができるとは思ってもいないのですが、僕自身何とか納得させて眠りにつきました。

それから夢を見ました。

僕が蝶蝶になって海を渡っていく夢です。

なんか、すみませんね、猫と話をしたり、蝶蝶になったり

見渡すかぎり海です。微風で蝶々になった僕の体が揺らぐとき、海に横殴りの白い線が浮き出ます。途中でどこか止まれるようなところを探すのですが、全くの大海原。私の羽は頼りなく大気をかき回していきます。時々聞えてくるのは、オーイどこへ行くのだあ、という声です。その声は波の中から聞こえてきたり、空から聞こえてきたりします。その声の主は間違いなく僕なのです。僕が蝶蝶になった僕に間断なく聞いてくるのです。

僕は、安西冬衛さんの

てふてふが一匹韃靼海峡を渡つて行つた。

という詩を突然脈絡なく思い出しました。

朝、起きたときに気が付いたのですが、ピローが濡れていました。

                          ー続くー

ドイツ生活36年(半生以上)。ドイツの日常生活をお伝えいたします。