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産学連携は役に立つ

オンキヨー開発部の河村です。
 
先日、noteで加振酒の東京地区での販売のご案内を差し上げましたが、ご来場いただけましたでしょうか。おかげさまで、その週末は多数のお客様に来場、試飲、お買い上げいただきました。来場いただいた方、誠にありがとうございました。

また、先週末には、ゲームやミュージカルなどで大人気の”刀剣乱舞”が姫路城 世界遺産登録30周年記念で実施された、「お城EXPO」とタイアップされた「刀剣乱舞 宴奏会 近侍曲の調べ」において、発酵熟成時に600時間、刀剣乱舞の楽曲を振動で聞かせた加振酒を出品、予約販売いたしました。
現在、秋葉原にある当社の店舗 音アニ2号店で展示も開始しております。無料試飲もできますので、刀剣乱舞のファンの方はもちろん、加振酒に興味がある方はぜひご来店ください。


加振酒については、今後も、皆さんのお目にかかれるように、別の地域などでも実施いたしますので、楽しみにしていてください。
 
、、、宣伝から始めてしまいました。興味のない方、失礼しました。
 

今回の本題ですが、上記で紹介した加振酒を含め、以前紹介した技術、サービスを行っている上で、重要な取り組みがあります。それは

産学連携


です。
 
産学連携とは、ご存じだと思いますが、企業と大学が共同研究を実施する連携協定です。それぞれの特徴を生かして、最大限に効果を発揮する、という目的のもと、お互いがギブアンドテイクできれば、非常に効果的です。

当社はそれほど規模が大きいわけではないですが、これまで産学連携を多数取り組んでいます。

では、企業はどんどん産学連携したほうがいいのでしょうか。私は”Yes”と答えます。

その理由について、当社での経験からお伝えしたいと思います。あくまで当社の経験なのですべての例に当てはまるかどうかはわかりませんが、参考になれば幸いです。
 


産学連携のメリット


1.お互いの得意分野、メリットが違うので分担できる

大学の先生方はその分野の研究を行っていて、日々、最新の論文や研究成果と触れ合っています。知識の質、量ともに優れているので、企業の課題に対して、最新の研究成果や同行から的確にアドバイスしてくれます。当社も困ったことがあったら先生に相談しています。新しいことをやっているので当然ながら正しい答えはありませんが、最新の研究内容やこれまでの知見からこういう方向性はどうでしょう、という提案をいただけます。提案を検討し、実験をやってみる、結果を先生にフィードバックしてその結果を基に新たな提案をする、できたものを企業は事業化する、というプラスの循環が生まれます。当社のAIコールシステム交通量調査システム(オトトルクン)はこの産学連携により事業化できたものです。

2.事業のエビデンスとしての大学の信用度がある

企業が自社でやった成果に対して、時には「ホンマかい」というツッコミ、もとい、指摘が入ることがあります。自社で閉じている場合、本当にそれが正しいのか、他の方には分かりません。そういう時に、大学と一緒にエビデンスを確認しています、ということが言えば、大学、という第三者目線が入りますので、嘘ではないな、と感じてもらえます。研究の権威である大学の信用度です。

実際、初めにお伝えした加振酒はまさに「ホンマかい」案件です。お酒を発酵中に音楽で振動させたら味が変わる、、、普通に説明したら「ホンマかい」ですよね。ですが、東京農業大学と共同研究を行っています、というと、なるほど~、本気なんだな、と感じてもらえます。その上で、試飲をしてもらうと納得されます。

3.人との交流が増加

こちらは技術とは違いますが、大学は企業とは異なるコネクションを持っています。特に、自治体や別大学とのコネクションです。それらのコネクションを通じて、企業の技術を、他の自治体や大学に紹介いただく、ということができます。うまくいけば、大学経由での公募にも応募できたりします。
企業で閉じているより、大学や自治体とつながることで、事業活動が広がります。隠れたメリットではないかな、と感じています。


ここまで、企業側にとってメリットを説明してきました。では、大学はどういうメリットがあるのでしょうか。

大学の先生たちが一番求められるのは、論文を出すこと、です。企業が実証実験した内容を基に、結果を論文発表で共著でも大学名やその研究室の先生の名前が出ると成果になります。海外の一流の研究会で論文が採択されると、すごい成果となります。当社も多数の論文を大学と共著で提出し、国内だけでなく海外でも採択されています。こういう活動は大学で喜ばれます。

また、大学の研究室では、研究室配属の学生への研究のネタを探しているので、企業からの新しい事業課題の相談、というのは研究ネタとしてありがたい、というのもあるそうです。

よく、大学と共同研究する上で、大学は企業から支払われる「お金」を期待していると思われる方がいるかと思いますが、経験上、「お金」を期待するよりも、上記の優先度の方が高いと感じています。(もちろん、大学や研究室の方針にもよるかと思います。)

産学連携の注意点

これまで書いてきたように、産学連携はメリットが多いのですが、1点だけ、気にしておいた方がいい注意点があります。それは「知的財産の取り扱い」についてです。分かりやすく言うと、共同研究で生み出された特許の保有方法、誰が保有するのか、またその利用の制限について、です。
こちらは大学と企業の思惑が入り混じるややこしい交渉事になります。契約時にはご注意ください。

皆さんの参考になれば幸いです。


では、また次回に。