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ドラゴンポテト王国が復活の狼煙を上げるのを見逃すな

前回のBBQショックから一ヶ月……そこは時すでに完全にうすしおとバターしょうゆに飼いならされた者どもしか残らない荒野となっていたが自分の生活は変わりない。毎日、早朝から陽の下に出ては双眼鏡で砂塵の向こうを見つめていた。吹き荒れる砂と乾いた風が渦巻く先……そこへ足を向ける旅人はもういなくなって久しい。自分の手前にある古びたモーテルが見えるか? 皆、そこで日がな酒とガラナ飲料を飲みうすしおをつまみながら寝そべっている始末だ。その手元にはスマッホがあり、YoutubeなんかをWi-Fi-回線を通してずっと見ているものだからもうどうしようもない。こいつらもかつては夢溢れた冒険者だったが、BBQ味がなくなり、その場その場で生きつなぐために妥協を続け、いつか飢えも忘れた。腰に吊るしている剣も飾りに成りはて、フルプレートメイルは蜘蛛の巣以外の用をなしていない。奴らはあの砂嵐がいつか晴れ、ドラゴンが飛び去っていく……そういう輝かしい冒険のヴィジョンが見えなくなってしまった。だが自分は違う。来る日も来る日も砂塵の向こうを見つめ、薄汚れたゴーグルに張り付いた砂を拭った……そしてドラゴンポテト王国からの張り紙が砂嵐の向こうから飛んでくるのを、確かにこの目で見た……。

DORAGON POTETO 濃厚コンソメ味
DORAGON POTETO いかづちの麻辣味

ついに二つの新味が登場するというニュースに自分は震え、うなった。ニュービーは生まれた時からうすしお味しか食べていないので「エッ!? 二つも!」と驚きの声を上げ目を剥いてひっくり返ったことであろう。無理からぬことだと自分は思った。しかも、一つは濃厚……もう一つはいかづちだ。いかづち……つまり雷属性……ゼウスの雷。つまり、神話的ウマさを体現している。神々の唐辛子味が消え、終わったと思っていた冒険Verに新たなる神話が始まりし時が到来したということだ。この電撃的ニュースはすぐに国内を駆け巡り、モーテルからスマホを取り落としながら冒険者たちが泡を食って飛び出してきた。こいつらは文明の罠におぼれ長らく冒険の心を失っていたが……立ち並ぶその瞳には再び情熱の炎が戻り始めている。自分は深く頷き、弱まり始めた砂塵の奥を指さした。あの影はなんだ……? 口々にそう言い、目をこする者たちに自分は厳かに答える。「ドラゴン」と。

『ドラゴンボール ドラゴンポテト(ブッチギリマッチ Ver.)』

こいつはなんだ? 自分の入念な調査の末にわかったことだが、どうもドラゴンボールとのコラボらしい。ネットニュースの画像を見るに……メンコとかスマホゲーム用のシリサルコードが付いているということだった。ここから導き出される答えは……自分で考えろとしか言いようがない。そんなことの面倒まで自分は見るつもりはない。勝手にやれ……ただ一つ言えるのは色々な付加価値が付いていることにより、この濃厚コンソメ味は買い占められてしまう可能性があるやもしれない……そういう危惧の念を抱かざるを得ないということだ。「ドラゴンボール Z ブッチギリマッチ」がどのくらい人気でアイテムなどにどの程度の価値があるのか? あまりにも心配ならばそのリサーチをしておく必要もあるだろう。運命が決する日である10/29……自分はカレンダーのその日付にナイフを突き刺し、今や鋭い目の狩人として雌伏して時が至るを待っている。自分に言えるのは、今や何を買うにも争いが起こる世界が訪れているということだ。西部劇……丸まった草とかが乾いた風に転がされているその場所で背を向けあった男たちの早撃ち勝負が唐突に始まり、一瞬で終わる。敗者の死体は風に晒され誰からも省みられず、勝者はだまって酒場へと戻っていく……そういうことがこの現代社会においても起こり続けている。「発売日から二日も経たないうちになくなるなんて、変だよ!」こんなことを言って店の軒下で体を丸めて泣いていてもそんな奴は血糖で負け死んだやつとして無視され続ける。勝利をもぎ取り戦利品を楽しむにはまず四の五の言わずに勝つしかない。欲しければ発売日に行け……できるかどうかは別として自分はそう思うし、できるかぎりそうする。

実はこのネットニュースが出たのは10月の初めといったところで、現在は既に発売日の直前へと迫っている。自分はネットニュースを配信された当日に受け取っていた……しかし、記事を書くのは直前にしようと考え、実際にそうした。何故か? ネットニュースが流れるのはほぼ一ヶ月前くらいであり忙しい現代人は一週間もしないうちに忘却の彼方へと吹き飛ばしてしまうことが目に見えていたからだ。自分のようにカレンダーの日付にナイフを突き刺したり、拳銃で大穴を開けていなければ絶対に忘れる。あるいは気持ちが保たなくなり、別にドラゴンポテトじゃなくてその辺のビーフジャーキーで良いか、みたいな妥協の精神に支配されてしまうだろうことがお見通しだからだ。いいか? 発売日にドラゴンポテトを買う……そのことをナメすぎている奴ばかりだ。何故ならばドラゴンポテトはおやつだからだ。iPHONEの新しいやつとかじゃないのでライバルは少ないし、テントを張って待って買ったりみたいな備えがなくても良い。そうナメ切ってしまったことで発売日に行かず、次の日もまた次の日も行かず……コンビニに立ち寄って酒を買おうと思ったある日、ドラゴンポテト新味のことに気づく。だが完全に遅きに失しており目当てはなく、途方に暮れているうちにコンビニの出入り口のパカパカ自動ドアに挟まれ……死ぬ。ドラゴンポテトを欲する魂と胃の声に耳を傾けなかった結果がその無様な死だ。本当に欲しいと思ったら行動する。それはiPhoneでも妖怪タカメダルでもドラゴンポテトでも等しく同じと悟るべきだ。

この記事は発売日の二日前に書いて、モーテルの壁に貼っておく。つまりこれは自分からのメッセージだ。この二日で油断なく装備を整え、月曜日に備えろという……今回の自分はそういうフェアさを胸に戦いに赴く決意を固めてきた。間抜けなあほは砂漠の向こうで上がった狼煙に気づかないままいつまでもスマホでブラウジングでもしているだろう。だが、飢えた獣たちの行動は決まっている。食らいつき、勝ち取れ。そのために生きてきたということを思い出す時が来たのだ。砂漠を渡る覚悟を決めてモーテルから出た者には荒野の先へ聳え立つ二つの巨塔が見えるはずだ。あの伝説が始まる予感のする場所へ自分は向かう。どうする? とはもはや問わない。好きにしろ……自分はそうする。

#ドラゴンポテト #濃厚コンソメ #おやつ #日記 #警告 #あごぶろぐ



ドーモ! ドネートは常時受け付けています。 ドネートはときにおやつやお茶代に使われます。