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映画『演者』公開まで残り3日

チケット予約開始

0時をまわってWEBでのチケットの予約が開始した。
開始と同時に予約完了したとのコメントを見て震える。
大きく息をつく。
ようやくここまで来た。
たった一人の誰かに会えるだろうか。
一人でも多くの皆様に届けばと願う。

限定一週間上映。
それが本当に一週間だけで終わってしまうことだってある。
どうやって僕は大成功に向かえばいいだろう。
朝になれば劇場窓口での予約も始まる。

横浜に向かう

横浜のシネマノヴェチェントに向かう。
西横浜の小さな映画館。
日本一小さなフィルム上映が可能な映画館だという。
到着すると昔ながらの写真館のたたずまい。
この中にスクリーンがあって映画上映がと思うと不思議な感覚になる。
横浜と言えば大都会のイメージだけれど、昔ながらの商店街とそのたたずまいに自分がどこにいるのかもわからなくなるような錯覚を覚えた。
まだまだ知られていない小さな映画館が全国にあるだろう。

上映作品は「切腹ピストルズ参上!」
豊田利晃監督作品を手伝う中で知り合った最高の連中。
そのドキュメンタリーはみたいなぁと思っていたけれど、公開が近いこともあって中々タイミングが合わなかった。
実は今日も前売予約をしたかったのだけれど、パンフの印刷で何か連絡があるかもしれないなんて思っていたら予約も出来ず当日の飛び込みで向かうことにした。

今、公開直前の僕はどうやら精神的にナイーブということもあるのかもしれないけれど、途中で泣いている自分に気付いた。
今はつつかれただけで大きく精神が揺れる。
スクリーンに映る切腹ピストルズと出会った人たちのピュアな一言がいちいち心に刺さった。
その出会いを待っていたのだと気付く。イメージしていたのだと気付く。
そういうことだ。そういうことだよ。
僕の心が答えている。

筋書きのないドラマ

WBC準決勝。
まるで誰かが筋を書いたかのような結末。
それもこの試合だけじゃなくて大会全体を通してのストーリー。
嘘だろ!という言葉と同時に。ほれ来た!という言葉。
そうなるような気がしたという不思議な感覚。
子供の頃から何度もみてきた野球の試合展開でそれが起きる流れのようなものがいつの間にか頭にインプットされていた。
大きな感動はより強く刻まれて、経験になっていく。
筋書きはなくても筋はある。

物事には因果があって、流れがある。
スポーツは筋書きのないドラマだ。
フィクションでは乗り越えられないような展開が時に生まれる。
筋書きがないからこそ、プレイヤーが筋を生み出していく。
いつだって大逆転のイメージを選手たちは持っている。

スポーツをみて、ドキュメンタリーをみて、僕はフィクションを公開する。
「ほんとう」を探す旅がどうやら始まっているのだと強く意識する。

うそばっかりさ

帰路。映画館の喫煙所で撮影した隊長のコメントをSNSに即アップする。
応援コメントをお願いすることだってもちろん出来るのだけれど。
応援しないでくださいと伝えた。
だって知っている人からのコメントなんて応援に決まってる。
実際の作品がどうなのかなんて二の次になる。コメントによっては一番苦労しているのが「面白かった」とは口が裂けても言いたくない人が無理に言葉を生み出しているケース。あとは利害関係やら、インフルエンサーへのお礼金やら仕事感が透けて見えちゃっているケース。
普段ならそんなこと、気にもしないのかもしれないけれど、今は「ほんとう」を探す映画の公開前だから余計に神経に触る。
それでも撮影した隊長のコメントを聞けば、これは応援だよと身体に沁み込んで腑に落ちていく。うそがなく、洒落ていて粋な言葉。

世間はうそばっかりさ。
何が何だか分からなくなるぐらいの。
自分の心にあるものだけが真実だとすれば生きていけないよ。
どうしろってんだ、まったく。
公開すれば少しは気が楽になって肩の力が抜けて、楽観的になるかもね。
その時はきっと、うそはうそでケラケラ笑えるようになるのかな。
隊長に会いたかったのかもな。そんな今の僕は。

さあここからだ

チケット予約を見てみる。すでに埋まっているいくつかの座席。
本格的に動くのは明けて午前から昼にかけてだろうか。
相変わらずだけれど、まったく動きが読めない。
このままだったらどうしよう。冷たい汗も流れてる。

ケイズシネマのエレベーター入口に貼りだされる満席マークを今回も見ることは出来るのだろうか。

下北沢でマタネと言った皆様には会えるかな。
映画館で出会って握手をした皆様には会えるかな。

特別な作品がある。
それは人によって違う。
きっと観るタイミングや一緒に観た人やその時の精神状態にも関係する。
でも忘れられない特別な作品というのが誰にだってある。
映画『演者』もそんな誰かに出会えるかな。
心にそっと寄り添ったり、痺れるような体験が残ったり。
そんな作品になるとすればこれからだもの。

桜が咲いている。
満開はもうすぐだ。

お願いします。
どうかどうかこの作品を目にしてください。

映画『演者』

企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル

「ほんとう」はどちらなんですか?

2023年3月25日(土)~31日(金)
※各日程 18:35から上映
K'sシネマ (東京・新宿)

2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
各回10時から上映
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)

出演
藤井菜魚子/河原幸子/広田あきほ
中野圭/織田稚成/金子透
安藤聖/樋口真衣
大多和麦/西本早輝/小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟 録音 高島良太
題字 豊田利晃 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希 制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。
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