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手管

うまいっていうのはたぶんダメなんだよなぁと思う。
うまいねぇって言われた時点でもうよろしくない。
やっぱりその役に見えちゃっていればうまいもへたもないからさ。
うまいっていうのはもう作品の外から見られている証拠で。
もちろん役者だとか演出家が口にするうまいは別なんだけど。
そもそもの視点が外側からだから。
でもやっぱりお客様には作品の内側にいて欲しいわけで。

でも、この人うまいって言われたいんだなぁって思うことがある。
それでいいのかもしれない。
それでやっぱり、うまいなぁっていう人が現れたりして。
意外にそれがちゃんと評価になって行ったりする。
ほんとうは違うんだけどね。それは。
うまいなんて言葉が絶対に出ないようなのが良いよ。
でも世間様の評価を気にするならそれもありなのか。
ただ僕個人はあまり好きじゃないって言うだけかもしれない。

なんかすごいとか。
とんでもねぇとか。
かっこいいとか。
良かった!とか。
そういう言葉をたくさんもらえてよかった。
テクニカルな部分ではない言葉だった。
うまいとかへたとか関係ないとこ。
いつもそこで勝負している。

僕たちの言ううまいっていうのはうまいって言われないことだ。

まぁでも。
噺家さんとかでさ、通なお客様があいつはうまいねえなんて口にする。
そんな粋な文化もあるんだよな、日本の芸能には。
その技術を楽しむ文化。
だから同じ演目でも何度も通って観に行く。
噺家さんはどうなんだろ。
面白かった!が一番うれしいんじゃないかとは思うけれど。

そういう意味でうまくなりたいんだよ。
もうずっとずっとうまくなりたいなぁって思っている。
うまいって言われないうまさを求めている。
それって評価されないことを求めているのに近い。
そう。評価されたいんじゃないんだろうな、きっと。
いや、評価はされたいんだけれど。そこじゃないというか。

だから厄介なんだろうな。芸人は。
だからややこしいんだよな。

でもやっぱ自意識なんか見せても仕方ねぇって思うな。


映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
題字 豊田利晃

「嘘ばかりの世界」だ
  「ほんとう」はどこにある

【上映館】
・2023年11月18日(土)より
ユーロスペース(東京・渋谷)
http://www.eurospace.co.jp/

出演
藤井菜魚子 河原幸子 広田あきほ
中野圭 織田稚成 金子透
安藤聖 樋口真衣
大多和麦 西本早輝 小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟
録音 高島良太 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希
制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

◆終映(特別限定先行上映)◆
・2023年4月15日(土)16日(日)※限定2日間
シアターセブン(大阪・十三)
・2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)※限定3日間
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
・2023年3月25日(土)~31日(金) ※限定1週間
K'sシネマ (東京・新宿)

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。