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映画『演者』公開まで残り5日

お彼岸

暑さ寒さも彼岸までとは言うけれど。
昨日の寒の戻りで少しだけ肌寒いような日。
桜は三分咲きだろうか。

珍しく叔母と従兄弟が墓所が近いからと実家に来た。
娘たちはすっかり大きくなっていた。
もうすぐ高校生の妹がギターを弾き始めていると話す。
でも練習していたギターが壊れちゃったという。
二階に上がってエレキギターを持ってくる。

年代物のバイギブ、レスポール。
既に生産中止だから中古でもそこそこの値で売れるのは知っているけれど。
持っていけばと日に焼けて色褪せたソフトギターケースを空ける。
取り出したギターを見た瞬間、目の色が変わった。

ヤバい、、、と、つぶやく。
そうだよなぁ。これ、かっこいいもんなぁ。
売らないなら、ステッカー貼っても色塗っても自由にしていいよと渡す。
従兄弟は、借りたことにしておくよおなんて言ってた。

その裏で起きていた冷や汗な話

実はその裏で僕はとってもハラハラしていた。
先週の日曜日に入稿したパンフレット。
なんと昨日、6日も経過してからデータエラーの連絡。
データチェックがいくらなんでも遅すぎると腹を立てながらも即時に再入稿した。
ところが再入稿のデータチェック完了の連絡が来ないという。
おいおい。今週末公開だぞ?さすがにちょっとそれは、、、
そう思ってメールしたり電話したりするも中々返事がなく。
印刷にかけるタイミングは自由だけど、データの確認は普通はすぐにやるだろうと思うのだけれど。

午後になってメールが届き、無事公開前には発送すると記載があった。
先方もチェック遅れの自覚はあった。
そこでようやく胸を撫で下ろした。
まぁ、色々あるのはいつものことなんだけれど。
さすがに肝を冷やした。
間に合わないようだったらどんなふうに皆様に報告しようかまで考えていた。
でも発送したとか、届いたとか、その連絡があるまでは発売の告知するのはやめておこう、そうしよう。
冷や汗だぜ。

日々、連絡が届く

毎日のように、いついつに行くねと連絡が届く。
それでも全キャパシティの人数分の連絡というわけではないから全然不安なままなのだけれど。
劇団前方公演墳から知ってくださる皆様はSNSではあまり見かけない方もとっても多い。
せめてちゃんと伝わっていればいいなぁと祈る。

現時点では初日の25日(土)に来てくださるという連絡が多い。
夕方からだし、その後に食事に行っても翌日が日曜日というのは安心なのだと思う。元々、劇団でも土曜と千秋楽の人気がいつも高かった。
でも舞台とまったく違う動きなのもよく知っている。
セブンガールズの公開週の時は初日は瞬殺で完売したのだけれど、やっぱりあの時とは違うだろうと思う。
21日24時からだと思えば、もう明後日の夜には予約開始になるのか。

ぞわぞわする。

お気楽ごん太さん

池袋の東京芸術劇場で公演をしていた頃。
お気楽ごん太さんというお客様が来てくださった。
まだお客様が友人、知人ばかりだった頃に、純粋に偶然に足を運んでくださったお客様だった。
本名は知らないけれど、BBSと呼ばれた掲示板によく書き込みをしてくださったハンドルネームがお気楽ごん太さんだった。
会場で挨拶した時、手が震えていた。

ごん太さんは障碍を持っていた。
あまり激しい光の点滅などは体に良くないとも聞いた。
だから舞台演劇なんて本来は避けるべきだったはずだ。
それでも毎公演、遠い所から足を運んだくださった。
過去形なのは、ごん太さんが亡くなったと耳にしたからだ。
五周年を迎えた頃に体調を崩されて、それからもうBBSの書き込みも途絶えた。
もうはるか昔の話だ。

うまく伝えられないけれど。
僕は忘れない。そう決めた。
そしてごん太さんのように、友人や知人とは違う誰かを探し続けなくちゃいけないとその時に思った。僕たちは大事な一人を永遠に喪ったのだから。
その後、僕が活発に音楽やらお笑いやら映像やら色々やりだしたことは古くからの応援してくださる方は知っていると思う。

今、SNSでのコメントを見ていて。
お彼岸だからだろうか。
ごん太さん、ごん太さん。コメントが届いているんだよと思った。

その延長線に僕は立っていて、今ここにいる。

あきらめの悪い男

我ながら十五年も前のことをとも思う。
そんな昔のことをしみじみと考えるなんてどうかしているのかもしれない。

この作品で初めて僕たちを知る人もきっといるだろう。
そんな皆様を僕は楽しみに待っている。
その時のごん太さんのように、また誰かが見つけてくれるかもしれない。
もう一度出会えるのかもしれない。

あきらめの悪い男だよ、まったく。
でも、あきらめたことなんかない。
手を振るわせて握手した時。
体調を心配したら、感動しているからですよと言ってくださった。
その瞬間をあきらめるなんてどうかしている。

公開は近い。
初日が近い。

映画『演者』

企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル

「ほんとう」はどちらなんですか?

2023年3月25日(土)~31日(金)
※各日程 18:35から上映
K'sシネマ (東京・新宿)

2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
各回10時から上映
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)

出演
藤井菜魚子/河原幸子/広田あきほ
中野圭/織田稚成/金子透
安藤聖/樋口真衣
大多和麦/西本早輝/小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟 録音 高島良太
題字 豊田利晃 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希 制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。
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