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映画は出会い

どんどん映画公開が迫っている。
丸裸にされていくような気分だ。
映画を観てもらうということは僕の頭の中を見られるということだ。
そのことを思うと縮み上がるのだけれど。
そのことよりもずっとずっと映画を観て欲しいという気持ちが勝っている。

何の情報もなく、何か映画でも観ようかと飛び込んだいつかの映画館。
その映画がいつまでも心に残ってしまうような。
そんな体験をこれまでも何度か重ねてきた。
あのシーンは忘れられないんだよなぁという数々のシーンがこびりついてる。
それってまるで奇跡みたいなことだって思う。
映画は出会いだ。

面白い作品はたくさんある。
人に薦めるような作品だってある。
でもなんというか特別な作品がある。
自分にとっては特別なやつ。
他の誰がどんな評価をしていても関係ない。
世界中で僕一人だけが評価していても構わない。
そういう作品。
いい映画だったとかそういうのとは毛色の違うやつ。

そんな誰かと出会えるかな。
たった一人でも構わない。
誰かにとっての特別な映画になれるかな。
なれるはずだ。
そんな出会いを求めている誰かがきっとどこかにいるはずだ。
それだけは信じようと思う。
君に向けて創った映画だ。

コメディだとか、サスペンスだとか。
そんなふうに説明出来たらいいのだけれど。
僕にはこの映画「演者」は他のどんな作品にも似ていない作品で。
だからどんな映画なのかって聞かれても実はちゃんと答えられない。
別にそうしようと思ったわけではない。
僕が創ったらこうなったというだけだ。
何にも縛られず、熱中して制作したらこうなった。

中にはなんとなく観てみようかな?なんて人もいるだろう。
映画館のチラシや予告編をみて、観ようかなと思ったとかさ。
そんな誰かがなんと言うだろう。
それはすごく怖いことだけれど楽しみなことだ。

逆を言えば僕たちを知っている人はなるべく前提を消してほしい。
元劇団前方公演墳だし出演者もそうだけど、作風は忘れて欲しい。
殆どがセブンガールズの出演者だけど、まるで違う作品だ。
あいつらが飛び出してから別の何かを創ったと思ってくれたら。
そしてそれは見逃してはいけないやつだってことは約束できる。
僕たちを知っている人が観たことのない、あの人たちの芝居を存分に楽しむことが出来るはずだから。
僕たちだけが稽古場で知っていた凄さを体感できるはずだから。
何かと似たような作品を期待して来たらガッカリするのかな?
いや、しないか。すぐにその違いは冒頭でわかるだろう。
そしてきっと、新しく再び出会うのだ。

なんだこれ。
なんだこれ。
なんだこれ。

いつか、頭の中でリピートしながら劇場を出た。
理解を越えていた。
とにかく、僕の中に刻まれるような作品に出会った時の事だ。

なんだこれ。
なんだこれ。
なんだこれ。

暴れだしたいような気持になって。
人の目も気にせず大声で泣きたいような気持になって。
痺れるような、震えるような。
あの時は確か、どうにもできなくて走り出した。
とにかく、なんか出会っちゃったことに驚いていた。

その頃悩んでいたことも。つらかったことも。
いとも簡単に全部吹き飛んだ。
確実に僕の人生に影響を与えた。
もう二度とこんな作品には出会えないと思った。
そして僕はいつかこんな作品を創らなくちゃと思った。

映画は出会いだ。
きっといる。
映画「演者」と出会ってくれる誰かがそこにいる。

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。