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映画『演者』ケイズシネマ終映

まずは、ケイズシネマでの上映終了。
足をお運びくださった全ての皆様、ありがとうございました。
会場でご挨拶できなかった方もいらっしゃったと思います。
このnoteもSNSも観ていない方もいると思います。
それでもここに感謝を記しておきます。
心からありがとうございました。

上映が終わって帰宅したら何かの糸がプツンと切れました。
すぐにでも皆様へのお礼をと考えていたのに、まるでスイッチを切ったかのように気絶しました。
目が覚めてこのnoteを書かなくてはと思ったのですけれど書けませんでした。
実は前日まで84日連続で更新していたので、無理してでも書こうとも思ったのですけれども、やっぱりやめておきました。
SNSのタイムラインをみればエイプリルフールで楽しんでいる感じがあってTwitterにお礼だけ書いて、日付が変わってからにしようと思いました。
「ほんとう」を探している映画の挨拶を「うそ」の日にするというのもなんだか皮肉めいていて面白いなぁと思ったのですけれど。

悔しいことに最終日まで満席は記録できなかったです。
満員のお客様ありがとう的な嘘を実はこれまで何度も目にしてきたので正直にちゃんと書くことにしようと思っていました。
だって会場にいる人にすぐにばれるような嘘はなんだかね。
正直に、ウソなく進むと決めているのです。
それに満員という価値を僕はよく知っているからこそ、大事にしたいのです。
そして動員以上の価値を僕はこの作品を通してたくさん知ったのです。

たくさんの。ほんとうにたくさんの感想を聞きました。目にしました。
直接会場で、メールで、SNSで、DMで、たくさん届きました。
もちろん全てがお褒めの言葉ではありません。わからないという方もいました。否定的な言葉は不思議とありませんでしたが感想も届かないというケースがいくつもありました。
全ての感想がそれぞれ違ったものでした。
言葉にすることはとても難しいのですが、僕はその感想を一つ一つ読みながら、そして聞きながら、感想とは別の何かを見つけていました。決して感想を軽んじているわけではなく、僕にはそれ以上に大事だなと思えるものがあったのです。
それはこの作品がどうとか、物語のあそこがとか、そういうことではなく、お客様の心のどこかに触れているということでした。映画を通して心が動いて、その動いた理由を探しているというか、もやもやとした何かを言語化しているというか、伝えた結果を伝えたいというか、そういう衝動的な何かです。
言語化できるのであればきっと映画はいらないし、評論や小説だけでいいのだと思います。言語で伝えることが出来ないからこそ、言語以外の表現が存在していて、心と心が触れ合う瞬間とはきっとどのような表現でも難しいことなのだと思っています。
僕の言語化できない表現は皆様に伝わり、皆様も完全に言語化できないまま何かを返してくれている。そう感じたのです。

それ以上のコミュニケーションはないのだと思います。

僕のスイッチが切れたのは、僕がそんな皆様の言葉以上の何かを必死に受信できるようにアンテナを全開にしていたからなのだと思います。
発信者と受信者という境界線、製作者と鑑賞者という境界線などなくして、なるべく対等に皆様からの返信を受信したかったのです。
なぜならこの映画は鑑賞した誰かの心の中で完成する映画だからです。
ケイズシネマでたくさんの映画『演者』が生まれたのです。

嬉しかったことは、キャストやスタッフへの賛辞の言葉をたくさん聞いたことです。正直、監督や脚本には「負け」はあっても「勝ち」などないのだろうなぁと思います。なぜならそれは生き方というかライフワーク的な過程であり、どんな結果が出ても「勝ち」を実感することは難しい場所なのだと思うのです。でもキャストやスタッフには「勝ち」がある。僕の信頼した仲間たちが絶賛されることは想像以上に嬉しいことでした。

皆様ありがとうございました。
「ほんとう」は見つかりましたか?
いや、きっと見つかるとかそういうものでもないのでしょう。
禅問答の公案のようなものなのですから。
東京での上映は終わりましたけれど。
皆様の「ほんとう」はいつまでも続きます。

そして名古屋、大阪の上映が迫っています。
多くの皆様がネタバレを気にしながら感想を書いてくださっています。
再び、その日に向かって全速力で立ち向かおうと思います。
どんな出会いがあるかなぁ。
観たいと思ってくださる人、どのぐらいいるかなぁ。

感謝と祈り。
映画『演者』の旅は続きます。
「ほんとう」を探し続けます。

ケイズシネマの非常階段から夜空を見上げたら。
その細い夜空に月が煌々と輝いておりました。
智恵子は東京に空がないといふそうです。
確かにせまかったけれど、空はありました。

映画『演者』

企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル

「ほんとう」はどちらなんですか?

【限定3回上映】
2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)
各回10時から上映
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
初日舞台挨拶あり 登壇:小野寺隆一

【限定2回上映】
2023年4月15日(土)、16日(日)
各回夕方上映
シアターセブン(大阪・十三)
予約開始:4月8日9時より
2日間舞台挨拶あり 登壇:小野寺隆一

◆終映◆
2023年3月25日(土)~31日(金)
K'sシネマ (東京・新宿)

出演
藤井菜魚子/河原幸子/広田あきほ
中野圭/織田稚成/金子透
安藤聖/樋口真衣
大多和麦/西本早輝/小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟 録音 高島良太
題字 豊田利晃 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希 制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。