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一撃

とかくこの世はなめてくる。
人はどうも人の中身よりもなんの意味もない背景をみる。
若い頃はさ、男はなめられたら終わりなんて考える。
んだが、実はなめてかからせたら勝ちなんだよな。大人的には。
実力以下に見られた時の方がチャンスで。
実力以上に見られた時はピンチだったりする。
まったく、なんなんだ。

なめんなよってのは腹の底にずっと持ってればいい。

竹のようにしなやかに。
曲げられればその分、パワーを貯め込むような。
そんなイメージでいいのさ。
鋼のように硬くても折れたら終わりだからさ。

凹むことはある。
いやむしろ凹んでばかりだ。
どんどんいびつになっていくよ。
もう凸凹さ。
精神的にタフじゃなければ凹んだまま沈むだろうさ。

はったりだらけのあいつ。
何もかもわかったような顔してさ。
でもほんとうは必死なんだぜ。
底が見えてらあ。
つっぱらかるなら、つっぱりつづければいい。
いつか、はったりもほんとうに変わるかもしれない。

虚空に叫ぶ。
誰にも届いていないんじゃないかという不安。
叫び声は吸い込まれていくようだ。
別に甘い夢なんて見ちゃいないさ。
苦い薬でもなんでも飲みほしているだけさ。
でも期待はしているよ。
誰かはきっと観てくれているんだってさ。

街でくだをまいている、あの人。
きっと、たくさんたくさん馬鹿にされてきた。
馬鹿にしてきたやつらが、じゃあ何を持っているんだ?
精々隣の芝生と背比べしているぐらいのもんさ。

もくもくと岩を穿つように。
とかくこの世はなめてくるもんさと。
一撃に力を籠める。
意思という名の一撃。

それを止めることなんて誰にもできない。
あいつらはそうやって大事なものを見逃してしまうだけなのさ。

僕は見逃さない。


映画『演者』
企画 監督 脚本 小野寺隆一
音楽 吉田トオル
題字 豊田利晃

「嘘ばかりの世界」だ
  「ほんとう」はどこにある

【上映館】
・2023年11月18日(土)より
ユーロスペース(東京・渋谷)
http://www.eurospace.co.jp/

出演
藤井菜魚子 河原幸子 広田あきほ
中野圭 織田稚成 金子透
安藤聖 樋口真衣
大多和麦 西本早輝 小野寺隆一

撮影 橋本篤志 照明 鈴木馨悟
録音 高島良太 絵画 宮大也
スチール 砂田耕希
制作応援 素材提供 佐久間孝
製作・宣伝・配給 うずめき

【あらすじ】
昭和20年春、終戦直前のとある村。嶋田家に嫁いだ3人の女たち。
血の繋がらない義理の三姉妹は男たちが戦時不在の家を守り続けている。

家長であるはずの長男の嫁、智恵は気を病んでいた。
三男の嫁、恵美は義姉を気遣う日々を送っている。
次男の嫁、陽子は智恵がおかしくなったふりをしているのではと疑っていた。

やがて魔物が再び女たちの前に現れる。
世界は反転して、演技は見抜かれる。

◆終映(特別限定先行上映)◆
・2023年4月15日(土)16日(日)※限定2日間
シアターセブン(大阪・十三)
・2023年4月15日(土)18日(火)21日(金)※限定3日間
名古屋シネマテーク(愛知・名古屋今池)
・2023年3月25日(土)~31日(金) ※限定1週間
K'sシネマ (東京・新宿)

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。