見出し画像

"A"

日本語の母音は5音。あいうえおのみだ。非常にわかりやすいし覚えやすい。発声もしやすい。最近はラップのフリーバトルで韻なんかが浸透し始めているから母音を意識する人も多いと思う。日本語を発声するのであれば母音をしっかりと意識できるかどうかはとても大事なことだと思う。仮にボソボソと喋るシーンだとしても母音が立っていればなんとなく意味が伝わったりもするから。あのボソボソ喋る伝説的な俳優の台詞を聞けばいかに母音がしっかりしているかすぐにわかる。

母音の中で注意しなくちゃいけないのは?と言われると「A:あ」であると自分は思っている。これはあくまでも自分の経験値の中でだけれど。
ちなみに子音で気を付けなくちゃいけないものは人によって違う。無声音の「H」が苦手な人もいるし、舌の長い人は「T」だとか舌の短い人は「R」だとか濁音半濁音も含めて、それぞれの持ってる元々の資質で得手不得手が変わってくるよなぁと思う。
でも母音は共通的だよなと思う。あいうえおと口を開いて喋ればすぐにわかることだけれど「A」はもっとも口を開いた形になる。直接的に喉も拡がっての発声だから音量が大きくなるし、アタックも強くなる。だから誰にでも発声できるし、赤ちゃんの最初の発声が「あーあー」だとか、比較的楽に声を出しやすい特徴がある。そこに自分は落とし穴があると思っていて気を抜くと「A」だけちょっと大きくて目立つ発声になってしまったり、文頭に「A」があると、頭高の台詞になってしまいがちだったりする。息も大きく出すことになるから続かなくなることがある。
母音が「A」の部分ばかり聞こえる役者がいたら、ああ、これのことかってわかると思う。

Aの持つ力

ここから先は

2,203字
週刊発行で月額300円で全てご覧いただけます 週刊と言いつつ、それよりも少し多めにお届けするかもしれません また、書いてるよ・・・と思いませんように

能書き新聞

¥300 / 月 初月無料

SNSじゃ書けないこととか、劇団運営とか、映像制作とか つぶれていく無謀なアイデア群とか 今週のアイツ、ニュースに一言、インディペンデント…

投げ銭は全て「演者」映画化計画に使用させていただきます。