生活をとり戻す(後編)

「人生」や「幸福」、そして「善悪」や「よい人間・悪い人間」といった巨大な概念を解体し、「今の気分」という小さな単位にフォーカスして生活したとき、鬱屈した人間の思考・行動習慣に徐々に変化が訪れるはずだ。

全体ではなく細部のこと、人生よりも生活、遠い未来の幸福よりも今の気分を意識して生活したならば、数ヶ月もすれば小さな変化が自覚できるのではないだろうか。しかし、これまでの説明ではいささか抽象的すぎて呑み込めない部分があるかもしれない。

そこで、これまでの数々の文章で触れてきた「大きなイメージ」を解体したとき、それぞれ人の思考習慣にどのような変化が起き、何ができるようになるのかを具体的に考えてみたい。



・「ほんのちょっと」できるようになる

問題が問題たる最も大きな理由は「固まっている」ことによる。葉の山のように大きなカタマリ全体を「問題」として捉えたとき、そこには「解決するか、放置するか」というゼロか100かの観念が生まれる。それが「何かをしなければならない」という苦しみの正体だ。

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