[野球][北海道日本ハムファイターズ観戦日記 2022] 6/23 ハム及びBIG BOSSの現状について

 楽天にも連敗して目下5連敗中。交流戦明けからまだ勝ち星がありません。ロッテ戦初戦に4点差を逆転されてからの悪い流れが全然止められない。もちろん個々の選手の力が足りないこともありますが、エラーや走塁ミス、サインプレーの失敗、継投ミスのオンパレードで、選手もベンチも迷走気味なのは明らか。週末の敵地でのソフトバンク3連戦はさらに苦戦が予想されます。最近新庄監督は記者たちに対して「あまり連敗とか最下位とか書かないで。ファンは選手たちの成長を楽しみにして観戦してて、勝ち負けとか気にしてないんだから」とか言ったらしいですが(ソースの記事が見つからないので、うろ覚えです)、本気でそう思ってるなら、どうかと思いますね。そりゃチームがどんなに無様な負け方をしようが何連敗しようが最下位を独走しようが、選手の懸命のプレーを見ていれば満足、という人もいるでしょうが、私も含め多くのファンは、それだけじゃ面白くない。勝つために全力・最善を尽くし、若く未熟な選手たちの力及ばずして負けるのは仕方ないにしても、どうみても指揮官の自己顕示欲と奇策のための奇策、策に溺れた自爆の連続で勝てるゲームをみすみす落とし続けているのが不満なんじゃないか。ここで何度も書いてますが、プロの最終目的は勝つこと。勝つためのギリギリの戦いの中でしか選手は成長しないと私は思います。歴代の名監督はみな「勝つこと」「育成」のふたつを両立させながら強いチームを作り上げてきた。育成を負けの言い訳にして「育成中だからチームが負けても我慢しろ」なんて、当の監督が一番言っちゃいけないセリフです。

 新庄監督は「めちゃくちゃ難しいからねウチのサイン。で、またオレがアイデアを出してきてメモるからサインが増える、増える。これもですか、あれもですかって」と隣でメモを取る林ヘッドコーチの苦労に感謝する。 
 6月19日時点で日本ハムのサインは20前後あるといい、指揮官は「俺なら、部屋の玄関にサイン貼っておかないと覚えられないくらい。ちょっと林ヘッドに聞いたら『一番難しい』と。だから他のチームより多いと思う。もう見抜けない、あれは」としながら、当初の希望を断念せざるを得ないことにこう触れた。

 これぞまさに本末転倒。本来は勝つための策であるサインプレーが選手をがんじがらめにしてプレーを不自由にしてミスを誘発する。サインを確認するのに時間がかかり過ぎてプレーが中断し、相手に勘付かれるということもありそうですが、そもそも複雑なサインを覚えるために本来やるべき投げる・捕る・走る・打つという基本プレーがおろそかになってるんじゃないか。本来選手たちが基本のプレーをしっかりマスターして、打順も固定し個々の役割をしっかり自覚してこそ、そうしたサインプレーがチームの戦いの幅を広げるんじゃないか。先日の楽天戦の、走者1塁での木村バントファウルからのバスターエンドラン空振り、一塁走者の走塁死というシーンを見てもわかりますが、ハムのサインプレーは相手も織り込み済みで、既に読まれている。相手が十分予期している中での奇襲は奇襲ではなく、ただリスクが大きいだけの奇策に過ぎないわけです。中日戦での石川亮の3バント2ランスクイズは確かに鮮やかでしたが、あんな数年に1回あるかないかの万馬券の快感に酔いしれてしまい一種のギャンプル中毒に陥ってるんじゃないか。選手は監督のサインプレーを実行するための駒じゃない。いや、チームスポーツである限りそういう側面もあることは否定しませんが、育成途中の未熟で未完成な選手たちがまず覚えるべきことは、ギャンブル中毒になった指揮官の自己顕示的な奇策にソツなく対応することではないと私は思います。ツーランスクイズなんて奇策の習得にリソースを割くよりは、確実にバントを決めること、エンドランが出たら確実にバットに当てゴロを転がすこと。そうした基本を教え込むことが大事ではないのか。奇襲、奇策の連続が選手の成長に繋がるとはどうしても思えない。

 3バント2ランスクイズを成功させた石川亮は、その後スタメンマスクの機会が明らかに増えてますが、それが石川の実力ゆえの抜擢ではなく、監督の無茶ぶりなサインプレーを成功させ覚えめでたくなったから、という理由であれば、選手たちは指揮官の顔色をうかがい、勝つためではなく監督に喜んでもらうためにプレーするようになる。いや、既にもうそうなっているのかもしれませんね。

 最近私が一番驚いたのは今川の2軍降格です。ケガでもなく、不振でもない。チームの盛り上げ役として懸命に献身的に頑張っていた、そしてプレーの方でも徐々に成長と進化を遂げ成績も残していた彼が、さしたる理由もなく(理由を明らかにすることなく)降格になった。同タイプの右のスラッガーということなら、万波の不振の方がはるかに深刻だし彼こそファームで再調整の必要があると思いますが、指揮官は万波は1軍に残し今川は降格させた。本人は悔しいと思います。ここのところ監督の今川への冷遇というか、便利に使われてるな〜という印象は拭えなかったわけですが、ケガが治った郡は即再昇格させたのに、ファームに落としたまま1軍にあげる気配すらない清水といい、このところ監督のお気に入りの選手とそうでない選手がはっきりしてきた感がありますね。どの球団・どの監督であってもそれはあることでしょうが、実力ではなく監督の好みや気分で使われる選手と使われない選手が分かれてしまうなら、選手は監督の方だけ見て媚びるようなプレーしかしなくなる。

 そして今日になって監督は自分のインスタグラムでこんなことを投稿している。

https://news.yahoo.co.jp/articles/8a4b55bb2c1a55c4931f25cf2498841d738dcd60

 「野球以外の方が何十倍も稼いでますが」って、元プロ野球選手・現プロ野球監督という肩書きがあるから稼げてるんじゃないの、というツッコミはあえてしませんが、エゴサーチして自分に批判的なアカウントは片っ端からブロックしているようなので批判も目に入らないのかもしれませんね(私はまだブロックされてませんがw)。だから阪神戦で無様な逆転負けを食らっても「ファンは楽しかったからいいでしょ」なんて無神経な発言ができるし、「ファンは選手たちの成長を楽しみにして観戦してて、勝ち負けとか気にしてないんだから」なんて実態とかけ離れた発言が出てくるわけです。

 もちろん新庄監督になって明らかによくなった面もあります。守備面も走塁面も去年よりは向上してるし、チーム本塁打も増えて長打力も上がった。松本や宇佐見のような前監督時代はくすぶっていた中堅選手がイキイキとプレーしているのも監督が代わったおかげでしょう。清宮や万波らも期待通りかは別として、成長している。野手の育成において一定の功績があるのは確かです。しかしその代わり去年まではリーグでも上位だった投手陣が崩壊し、先発も中継ぎもボロボロの状態です。現在のチームの低迷はこれが大きい。これは投手コーチと、役立たずな外人をスカウトしてきたフロントの責任も大きいと思いますが(新庄監督は自分の信頼するコーチを連れてきたがっていたが、フロントの「コーチも育てたい」という意向があって実現しなかったという記事をどこかで読みました。それが武田コーチのことなのであれば、なおのことフロントの責任は大きい。同じように監督コーチ経験皆無だった前監督が就任一年目から優勝できたのは、梨田監督時代の優秀なコーチがそのまま残って指揮官を支えたからです。監督が未経験の新人ならベテランコーチを配するのは当然のことで、新人監督に経験不足の若手コーチをあてがええば、それは失敗するだろう、という)、もちろん監督の起用法の問題も大きい。新庄を監督に抜擢したプラスマイナスで言えば、プラスの方が大きいと思いますが、采配に関しては不満も多い。

 監督は今シーズン最後にはスタメン主力を固定し、来季はガチガチに固めたメンバーで戦うと公言しているわけですが、そうは言っても今季結果を出した選手が来季も良いとは限らないし、オフにFAやトレードで出て行く選手もいるしドラフトで新しく来る選手もいる。戦力は毎年変わっていくわけで、スイッチを切り替えるように育成をやめるわけにいかないし、最初から指揮官の思い描いていたプラン通りに行くとは限らない。そしてもし戦力をある程度固定したとしても、今の監督のような采配・起用で、果たしてチームが勝てるようになるのか、という根本的な疑問があります。私の見立てでは、新庄監督は野手の育成には長けていても、チームをまとめ勝たせるような采配や用兵は(現状のままでは)できないと思います。新庄監督は自分は常に最高、自分の采配は常に完璧で成功しない場合は全て選手が悪い、ということをはっきり口に出しますが(その理由は、選手としての絶頂期に引退してしまい、年をとり身体能力が衰え思うようなプレーができなくなって引退する、という選手としての晩年をきっちり迎えることがなかったことが原因だと考えます。つまり「オレが簡単にできたことがなぜできないの?」という、自分の現役時の感覚をそのまま今の選手に当てはめてしまう、名選手あがりの指導者にありがちな過ち)、自分もまた監督1年目の「成長途上」である自覚がないようです。「未熟な選手」を言い訳にできなくなる来季にどうなるのか。それとも来季になっても、2年後3年後になっても「オレの偉大な采配を実行できない選手が悪い」と言い張るのか、その前にやめてしまうのか。

 SNSをエゴサして自分に批判的な発言を見つけ出しさらしあげてムキになって反論する。そんなの無視すればいいのに。観客動員も落ち込み、メディアも以前ほど礼賛一辺倒ではなくなっている今、上記のインスタグラム発言には、指揮官の追い詰められた心境、焦りが反映しているような気がするのは気のせいでしょうか。


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