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音楽に感謝を伝えた。

大それた理由など…


2021年2月 僕は地元大阪を離れ沖縄へ移住した。

移住した理由は少なくとも100回は聞かれたが
尋ねた人を納得させる理由など無く、いつだって「ノリ」とか「勢い」とか
使い捨ての言葉で深い説明を出来るだけ避けてきた。

しかし、時折「このために沖縄に移住したのかもしれない。」
そう思わされることが増えてきた。

移住した理由の後付けといったところでしょうか。

・この人と出会うために移住したのかもしれない。
・これをするために移住したのかもしれない。

何だか派生的で根源を見失いそうになりますが結果から見れば
キッカケなどどうでもよくなることもあります。

話が逸れていく前に本題に入ります。

これから話すことはここへ来た理由。

いや。

今の自分を形成した「出会い」
その説明付けみたいなものです。

友達が見せてきた1本のLIVE映像。


暇を持て余していればそのLIVE映像を見てみてください。
15分ほどの映像になります。

604 presents[HUMAN ERROR]
2020/3/21 at G+OKINAWA 
Directed by Kohei Yonaha (South Nerd Film)
by 604 FinalWeaponCompany

この映像を見た時の細かい感情は覚えていませんが
一曲目のMorning Glowが流れた時、鳥肌が立つような身震いが起きて
まさに体に衝撃が走る感覚を覚えた。

縦へ横へと揺れる人で溢れかえるフロア。
これでもかと暴れ遊ぶステージ。

やりたい放題する人が集まり生まれる一体感。
似た形をした愛を持ち寄った人間が集まった時のみ許される現象。

それらの根源にある彼らの人間性、そして音楽を
当時、無知ながらの少し理解したつもりだった。

偏見、そして何気なく苦手意識があったナイトクラブはこの映像を機に
僕の肯定したい世界というか、愛したい空気感というか
一種の憧れに変わった瞬間だった。

この場所に居合わせ、シャッターを切りたい。
写真に残したかった。僕は戻りもしない時間に恋をした。

それと同時にこれからの沖縄の生活で
音楽、hiphopと近い距離で写真を撮っていきたいと漠然的な感情が生まれました。

右も左も知らない。


この島に来るまではLIVEに行くどころかhiphopという
音楽に触れたことが無かった。
今になっても詳しいなんて口が裂けても言えない。

「俺は昔から聞いてっぜ!」なんて言われた時には
「なんか、すまん。」しか言えないほどだ。
そんなマウントとって来る人なんて居ないんだけどね。

でも「好き」と豪語する以上
熱量に知識が追いつかないと何だかモヤモヤするでしょう?
「好きなのに何も知らねーーー!」って凄いイレギュラーな気がするし
好きな感情をミーハーの一言で片付けられるのって納得いかないじゃないですか笑

右も左も分かりませんが知ってるラッパーが出てたり
知ってるDJが回してる時にとりあえず行って見ることをしばらくしていました。

この島が持つ不思議な引力


移住してから今もなお感じる沖縄の人繋ぎの引力。
「今日知り合った人は大体知り合いの知り合い。」

石を投げれば知り合いに当たるほど狭い島ここ沖縄は
一人友達ができればウイルス感染かの如く友達が増えていきます。
「あの子と友達なんですね。」というコミニケーションは
この島に来てからすっかり常連に。

悪い噂が立ってしまう人は少し都合が悪い場所かもしれませんが
幸運にも僕は少しだけ相性がいいみたいです。

・LIVEの撮影がしたい。

そう呟いていただけで声をかけてくれる同年代の仲間が沢山出来ました。
それから今もなおイベントを打つ際は声をかけてくれてます。
あの日みた一本の映像にかまされてから写真を撮り続けています。

2021.12.4 at VERONA
2021.12.30 at G+OKINAWA

Big up to stoic jp crew.

旅路で拾った音


話は少し飛ぶが、僕は沖縄に移住して一年立った頃に
歩いて沖縄を歩く旅に約一ヶ月出ていた。
旅についてはnoteの別記事にて記録をアップしている途中なので
そちらをぜひ見ていただきたい。

旅をしていた時、孤独を騙すためよく音楽を聴いていた。
普段から聞いている曲、あまり聞いてこなかった音楽まで。

この時、改めて604の音楽を聴き漁ってた。
ここで僕の心を震わせた名盤と出会ったのです。

TORAUMAさん「Sternbergia」です。
このアルバムを聴いた時の細かい心の情景は旅の記事にでも
書くつもりです。

何はともあれ、ひたすら辛く痛い旅の途中で
このアルバムに何度も救われました。

この時、旅の終着点をBAR604(TORAUMAさんが立っているbar)
にすることを決めました。

当時のDMでのやり取り

まず見ず知らずのリスナーのDMが届くとも思っていませんでした。
返事していただいた上、旅の無事まで気を配ってくれた。

ちなみにDMにあるTORAUMAさんの音楽の師匠とは同604メンバーのHANGさんです。
冒頭に引用させていただいたLIVE映像の一番最初にドアを開けた方です。
TORAUMAさんが二番目に出てくるバケハを被っている人になります。

旅を終え、開店間際のBAR604の扉を開けた時
TORAUMAさんが一人で立っていました。

「長旅お疲れ様でした。無事で良かったです。」と
テキーラをご馳走してくれた後、さんぴんハイを嗜みながら
旅の話を聞いてくださいました。
「必ずLIVE見にいきます。」と言葉を残しBAR604を後にしました。

あの音をあの場所で


あの日、LIVEを見に行くと言ってから1ヶ月。
TORAUMAさんがG+OKINAWA(冒頭引用した映像と同じ場所)でLIVEをすることをSNSで知った。

その日も次の日も仕事だった。

いや、考える間もなく僕はLIVEを見に行った。

会場までの道中、目に焼き付けようか。
写真に残そうか。どう向き合うか逡巡していた。

ひとまず、カメラを手にクラブに足を入れた。
バーカンにいたTORAUMAさんに挨拶した後
「突然なんですけど、今日写真撮ってもいいですか?」
と口走っていた。

あまりにもイレギュラーのコミニケーションだなと
一瞬後悔がよぎった。

チグハグにも思えた僕の問いかけにも関わらず
端から分かっていたかのように「もちろんです!」
と答えてくれた。

その瞬間、先ほどよぎった後悔も昨日のことのように消え
撮れる喜びを噛み締めていた。

2021.5.12
2021.5.12

この日撮影した後、TORAUMAさんに
7月”HUMAN ERROR"以来のビッグイベントがあることを聞きました。
※HUMAN ERROR=冒頭に引用させていただいた映像

戻りもしない時間に恋をした。

そう過去を嘆いていた時とは違い
今まさに目の前で動き出そうとしている事実に
興奮が隠せませんでした。

Disry Presents VERSE DAY

TORAUMAさんが紹介してくれたこともあり
Disryさんに直談判したところ撮影させて頂けることに。

彼らの音の上で、私はカメラを握った。


LIVEを撮る時、なぜ無心にシャッターを切れるのか。
なぜ苦手だった場所が大好きになったのか。

普段、街を歩き。
日常にあるストリートスナップを撮っていて
突然LIVEを撮るようになったのか。

僕はこの日、少しだけわかった気がする。

LIVEをよく見ると、わかる。
単純に音楽を楽しんでいる彼らを見ていると、わかる。


Disry(敬称略)
HANG(敬称略)
TOCCHI(敬称略)
仙手,HANG,TOCCHI(順不同、敬称略)
Morning Glow
TORAUMA(敬称略)

真っ直ぐ。
偽りがなく、着飾らず、等身大。

媚びず、仲間を大切にし、自分の出した正義に忠実。

彼らが音楽を通して表現する”本物の生き様”そのものに影響された。

今まで大人に説教された言葉より
彼らのリリックが何倍も深く刺さり、痛みが沁みた。

あまりにも重く真っ直ぐでリリカルな音に行き場のない感情が救われた。

フロアで揺れている彼ら、彼女らも
何度もこの音楽に救われてきたのだろう。

この日を誰よりも楽しみにきたのだろう。

我に帰った時ふと思ったことがある。

何故撮るかよりも、撮ることを楽しめたかが答えな気がした。

彼らの音の上で、カメラを握った。

それは人生で一番楽しい時間だった。

僕は初めて音楽に感謝を伝えた。


Big respect to Disry.
Big respect to 604.


− Fin –


p.s.

改めて好きなことを続ける重要性を感じた体験でした。
不恰好でも這いつくばっても続ける。
痛みを伴う行為だからこそ、きっとそこには沢山の気付きの種があり、ギフトが詰まっていると思います。

最後に先日リリースされたこのMVを見て終わりにします。
それじゃ、また。

柊人”好きなこと”





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