見出し画像

鯖チョコ

食べてみたのです。鯖チョコ。チョコレート味の鯖缶。気になって購入はしていたのだけれど、なかなか食べるに至らず、缶詰ストックの中に置いてあった鯖チョコ。ここのところのマイさば缶ブームの勢いに乗って、遂にオープンしたのである。

鯖チョコ缶

チョコ味のものは色々あるが、自分にとって忘れられないのが小学校の給食。偏食児童だった僕は、給食が全部食べられずに、昼休みもそのまま教室に残されて、手を付けられない給食を目の前にしてなすすべもなかった。僕の行っていた小学校はどうやら横浜市の給食モデル校と云うことで、給食教育に余所よりも力を入れていたので(余所に転校して判った)食べ残しとかには大変に敏感で、僕以外にも昼休みに教室に残された子は何人もいた。そんな給食モデル校、力の入り過ぎでたまにとんでもないメニューが登場した。その最たるものがキャベツ千切りのチョコレートソース和えであった。これならキャベツ嫌いの子供でも食べると思ったのだろうか。これは僕どころかクラス全員沈鬱な面持ちでチョコまみれのキャベツを見つめるしかなかった。チャレンジした級友も「まずい」と一言発して二度と手を付けなかった。いつもなら「ちゃんと食べなさい」と云う担任教師もお手上げ状態で「今日は残して良いですよ」と敗北宣言をしたのである。ざまあみろってんだ。いつもこんな気持ちでいるんだぞと、言葉にはしなかったが強く心が動いたのをつい先日のことのように思い出す。脱線が過ぎた。鯖チョコに話を戻す。それにしても給食を作っていた人達はあのチョコキャベツを味見したのだろうか。今でも不思議に思う。

鯖チョコ缶

そんなわけでチョコレート味にはちょっと不安があるのだ。この鯖チョコ缶、岩手県は釜石市の岩手缶詰株式会社の製品。売り文句は「意外な組み合わせですが、相性の良さにおどろきます」とある。どうなのだろう。気になって気になって仕方がなくて購入したけれど、なかなか食べる勇気が湧かなかった。そして自分の気持ちと鯖チョコがクロスした日が遂にやって来たのだった。レッツオープン。

鯖チョコ缶オープン

開けてもそれ程はビックリしない。醤油煮とかでもこうした色にはなろうかと思う。原材料は国産のサバに、清酒、みりん、しょうゆ、チョコレート、砂糖、バター、食塩などとある。このラインナップにもビックリはしない。それでもいきなりご飯の上に載せるのは無謀かと思い、お皿に出してみることにした。

鯖チョコ

何となくではあるが、パンを買って来て添えてみた。何かこう、色味的に何かが足りないような気もするが、これはお皿が白くて素っ気ないのでその辺りも要因かと思う。アヒージョを入れるような皿が良いかとも思ったが持っていなかったので仕方がない。サバにチョコ。サバにチョコ。どうにも違和感を拭えずにいる。でも開けたんだから食べませんとね。

鯖チョコ

何事も経験。百聞は一見に如かず。内田百閒先生がこれを眼前にしたら何と云うだろうか。「いらないからいらない」と仰るか。池田満寿夫先生だったらど「これが意外といけるのである」と仰るか。イタダキマス。

鯖チョコを食らう

おおっ。最初の一口ではまだ判断が出来ない。サバの味、チョコの味、合っているのか合っていないのか。暫くすると接点が判り、融合点が判り、総合判断に至る。摩訶不思議ではあるが、変な感じはしない。甘くない。そう、予想していたよりもずっと甘くないのだ。チョコと聞いて甘いイメージがどうしても拭えずにいたが、これなら味噌煮の甘いヤツよりもずっと甘くない。その甘さが塩と上手く両立しているのは、原材料にあった日本酒やみりんやしょうゆの効果であろうか。不思議にウマイ。ちょっと時間がかかったがウマウマウーである。

鯖チョコを食らう

ウマウマウー。パンと一緒に食べると「これは〇〇国の〇〇〇と云う魚料理で、〇〇国では庶民の味なんです」と云われて「ああそうですか、美味しいですね」と思わず応えてしまう感じである。正体不明摩訶不思議なものを不明不思議ながらに受け入れて楽しんでいる自分が今ここにいる。子供の頃はチャレンジ精神など皆無で、新しいものを取り入れるなんてリスクは全て避けた。自分が隅々まで知っている自分の小さな世界の中だけで充分満足して生きていた。ガチガチの保守派。それがどうだ。今では好き嫌いなく何でも食べるどころか、未知の味を求めてネットで情報を収集しては東奔西走している。先出の学校給食のキャベツ千切りのチョコレート和えであれば、とりあえず食べてみてからウマイとかマズイとか云うヤツの方に今の僕はなっているではないか。正反対。ポジとネガ。その変わりように自分が一番ビックリしている。まあ今の方が楽で良いけどね。

鯖チョコを食らう

ウマウマウー。面白いことに気が付いた。サバの身よりも、それ以外の液状部分の方がサバの風味が断然強い。身の方はあっさりとしている。液状部分の方が対立が激しい。サバの味と云うのは強いのだな。チョコに負けないのだなと感じた。そしてパンとの相性であるが、ここにも疑問符が出た。パンと合うのか。どうなのか。その点に於いては比較対象すべきものがあるではないか。やはり比較せねばなるまい。

鯖チョコとご飯を食らう

ご飯ですよ。やはり鯖チョコを載せて一緒に食べてみなくてはなりません。どうでありましょうか。

鯖チョコとご飯を食らう

ウマウマウー。これは僕の独断的意見だけれども、鯖チョコにはご飯の方が合うと思う。ご飯と食べた方がサバの風味が落ち着くと感じたのだ。しかしやはり摩訶不思議で正体不明である。ゆっくり味わいながら何か他の料理との類似点を探すのだが、思い当たるものがない。何かをプラスして(食材でも味付けでも)試してみたいと思ったけれど、一缶しかなかった。残念である(ホッとした気もしないでもないが)。いつかまた手に入ったら何か策を講じてみたい。そんなわけで今回は鯖チョコのお話でした。さば缶にはこれからもお世話になる予定であります。どうぞよろしく。

末永くがんばりますのでご支援よろしくお願い致します♫