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継承する伝統「即位礼」

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令和の御大礼

「御大礼(ごたいれい)」というのは天皇の即位にかかわる一連の儀式の総称で、これら天皇の継承の儀式は半年以上の時間をかけて行われています。

5月に「践祚(せんそ)」が成され、令和天皇が誕生したことは記憶に新しいですが、5月1日に行われた儀式は「剣璽等承継の儀(けんじとうしょうけいのぎ)」といい、皇位を象徴する神器(剣と勾玉)や国璽・御璽を承継し「新しい天皇がその御位に着かれた」ことを意味する儀式です。

その御位を継承する践祚(せんそ)を以って正式に令和の御代の誕生となり、それを内外に宣明する即位礼、重儀である大嘗祭(だいじょうさい)に関する儀式の期日報告の儀へと進むこととなります。

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剣璽等承継の儀から準備期間を置いて、10月22日に行われる「即位礼」。これは即位を国民の総氏神である天照大御神にご報告し、国内外の代表を前に即位を宣明される儀式です。

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そして、11月14日・15日と二日間に渡り行われる「大嘗祭」は、即位後初めて新穀を神様と共に食し、そのお力を戴く一代に一度の大切な儀式。このすべてを成し遂げられ、譲位~即位までの一連の儀式が完了し、真の意味での天皇の御位の継承が完了します。国を挙げての歴史的な瞬間への立ち会いとなります!


「即位礼」は例えるなら「戴冠式」

高御座(たかみくら)の檀上から即位を宣明し、新天皇が皇位を継承したことを国内外に示す「即位礼正殿の儀」。
見慣れない漢字がたくさん出てくるので難しく構えがちですが、ヨーロッパにおける「戴冠式」にあたるものというと少しピンときて頂けるかもしれません。

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天皇陛下は正装である黄櫨染(こうろぜん)の御袍をお召しになり、皇后陛下は十二単を身にまとわれ、盛大に行われます。
今回の即位礼では160ヵ国以上の国から600人以上の元首・使節の参列が予定されています。

継承される伝統と日本

新しい天皇の誕生を宣明する即位礼で、海外からの賓客たちは日本古来から続く儀式や、それに続く饗宴で日本の伝統的な精神文化に触れることになります。
世界最古の国と称される日本。そして、貴族社会から 武家社会そして近代へと「時代」が変化するなかでも、変わらず国の中心に在るのは天皇の御存在です。

天皇を国の中心と仰ぐという構造を変わらず保ち、その心を護り続けることで、日本は日本たらしめる一貫した文化形態の中で幾重にも智慧と知見を積み重ね発展をしてきました。

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連綿と長い長い時間をかけて紡いできた126代の御代がもたらした日本の伝統は、ただ古いものではなく、変わらない心を伝え繋げる国を挙げてのミッションの積み重ねであり、連綿と続く国体の本質を守るため、常に工夫を重ね時代にあった守り方を模索し更新されてきました。
即位礼も、時代により古代から近世までは唐風、明治からは日本古来の文化を色濃く受け継いでいるなど、時代を反映する鏡という側面もあります。


伝統の本質を守りつつ、瑞々しい精神を保つ「常若」という心

伊勢の神宮では、20年ごとに内宮外宮の正殿は勿論、構成する14の別宮の社殿をはじめ、各種殿舎や鳥居、御垣、宇治橋のほか、714種1576点にものぼる御神宝や装束、調度品までを新たに造り替え、神様に新宮にお遷りいただく「式年遷宮」が1300年もの間、断続的に行われ、その精神や技術が継承されています。

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常緑樹である松の木も枯れ葉が落ち、新たな葉が芽吹くことで緑を保つことができるように、神宮も伝統を守り伝える中、20年に一度全てを新調することで、常に美しく瑞々しく生まれ変わる「常若(とこわか)」の精神を保ち、時代を超えてその本義を示し続けることができるのです。
伝統は古くて新しいものなんだ!

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特集1:継承する伝統「即位礼」
特集2:一代に一度の「大嘗祭」を知る
特集3:『神話と神使を巡る旅』
キラキラ二層構造の『御大礼奉祝 限定御朱印』


テキスト・イラスト:井口エリ
写真提供:宮内庁・神宮司庁

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